第116条【無権代理行為の追認】
追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
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【解釈・判例】
1.追認者の通常の意思表示を推測して、追認に遡及効を認めた。
2.法定追認の規定は、無権代理行為について類推適用されない(最判昭54.12.14)。
3.無効な代諾縁組の追認につき、養子が15歳に達した後の追認は縁組当初から有効となる(最判昭27.10.3)。
4.無権利者が、他人の権利を自己に属するものとして処分した場合、後に権利者がその処分を追認したときは、本条の類推適用により、処分の時にさかのぼって効力を生ずる(最判昭37.8.10)。
【問題】
Aの代理人であると称するBが、Cとの間で、Aが所有する甲建物の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結したところ、Bが代理権を有していなかった。この場合において、本件売買契約を締結した後に、Bの無権代理によるCへの甲建物の売却を知らないDに対してAが甲建物を売却し、その後、AがBの無権代理行為を追認したときは、追認の遡及効は制限され、対抗要件の具備を問うまでもなく、Dが甲建物の所有権を取得する
【平23-6-ウ改:×】