第1条【基本原則】
① 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
② 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
③ 権利の濫用は、これを許さない。
目次
【超訳】
① 私権の内容及び行使は、社会共同生活の全体としての向上発展と調和していなければならない(私権の公共性の原則)。
② 権利の行使、義務の履行にあたっては、信義に従い誠実に行わなければならない(信義誠実の原則)。
③ 適法な権利の行使であったとしても、それが権利の濫用である場合には、その行使はすることができない(権利濫用の禁止)。
【解釈・判例】
1.1項は、私権の内容及び行使が、社会共同生活全体の向上・発展と調和しなければならないことを宣明したものである。
2.2項は、形式的な権利義務の背後に信義則があることを明文化したものである。したがって、行動原理としてだけではなく、契約の趣旨を解釈する基準ともなる(最判昭32.7.5)。
3.3項は、外見上正当な権利行使のように見えても、それが反社会的な場合には権利行使として是認されないことを規定する。その判断基準は、権利者の受ける利益と相手方の損害を比較衡量して、社会全体の利益という客観的標準によって決定される(通説)。