第850条
① 民事訴訟法第267条の規定は、株式会社等が責任追及等の訴えに係る訴訟における和解の当事者でない場合には、当該訴訟における訴訟の目的については、適用しない。ただし、当該株式会社等の承認がある場合は、この限りでない。
② 前項に規定する場合において、裁判所は、株式会社等に対し、和解の内容を通知し、かつ、当該和解に異議があるときは二週間以内に異議を述べるべき旨を催告しなければならない。
③ 株式会社等が前項の期間内に書面により異議を述べなかったときは、同項の規定による通知の内容で株主等が和解をすることを承認したものとみなす。
④ 第55条、第102条の2第2項、第103条第3項、第120条第5項、第213条の2第2項、第286条の2第2項、第424条(第486条第4項において準用する場合を含む。)、第462条第3項(同項ただし書に規定する分配可能額を超えない部分について負う義務に係る部分に限る。)、第464条第2項及び第465条第2項の規定は、責任追及等の訴えに係る訴訟における和解をする場合には、適用しない。
超訳
① 責任追及等の訴えの原告となった株主と被告が訴訟上の和解をした場合であっても、当該和解については確定判決と同一の効力を生じない。ただし、会社が和解の当事者になった場合又は当該和解について会社の承認がある場合は、当該和解は確定判決と同一の効力を生ずる。
② 株式会社等が責任追及等の訴えに係る訴訟における和解の当事者でない場合には、裁判所は株式会社に対し、和解の内容を通知し、かつ、和解に異議があるときは2週間以内に異議を述べるべき旨を催告しなければならない。
③ 株式会社が2週間以内に書面により異議を述べなかった場合は、②の規定による通知の内容で和解を承認したものとみなす。
④ 上記①~③の要件を満たす訴訟上の和解をする場合は、会社法424条等の総株主の同意を得ることなく、被告の責任を免除することができる。