第816条の4【株式交付計画の承認を要しない場合等】
① 前条第1項及び第2項の規定は、第1号に掲げる額の第2号に掲げる額に対する割合が5分の1(これを下回る割合を株式交付親会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合には、適用しない。ただし、同項に規定する場合又は株式交付親会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
一 次に掲げる額の合計額
イ 株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する株式交付親会社の株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額
ロ 株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する株式交付親会社の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額
ハ 株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する株式交付親会社の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額
二 株式交付親会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額
② 前項本文に規定する場合において、法務省令で定める数の株式(前条第1項の株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)を有する株主が第816条の6第3項の規定による通知又は同条第4項の公告の日から2週間以内に株式交付に反対する旨を株式交付親会社に対し通知したときは、当該株式交付親会社は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、株式交付計画の承認を受けなければならない。
解釈
1.株式交付の対価の合計額が、株式交付親会社の純資産額に対する割合の5分の1を超えない場合、株式交付計画について株主総会の特別決議による承認を受けることを要しない(1項本文、簡易な手続による株式交付)。
2.以下の場合、簡易な手続による株式交付をすることはできない。
① 株式交付親会社に差損が生ずる場合(1項ただし書、816条の3第2項参照)
② 株式交付親会社が公開会社でない場合(1項ただし書)
③ 株式交付親会社の一定割合の株主が株式交付に反対する旨を通知した場合(2項)
3.株式交付には、いわゆる略式手続に関する規定は存在しない(株式交付子会社自体は当事会社とならないため)。