5月16日(金)一部時間帯休館のお知らせ

第796条【吸収合併契約等の承認を要しない場合等】

第796条【吸収合併契約等の承認を要しない場合等】

① 前条第1項から第3項までの規定は、吸収合併消滅会社、吸収分割会社又は株式交換完全子会社(以下この目において「消滅会社等」という。)が存続株式会社等の特別支配会社である場合には、適用しない。ただし、吸収合併消滅株式会社若しくは株式交換完全子会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社に対して交付する金銭等の全部又は一部が存続株式会社等の譲渡制限株式である場合であって、存続株式会社等が公開会社でないときは、この限りでない。

② 前条第1項から第3項までの規定は、第1号に掲げる額の第2号に掲げる額に対する割合が5分の1(これを下回る割合を存続株式会社等の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合には、適用しない。ただし、同条第2項各号に掲げる場合又は前項ただし書に規定する場合は、この限りでない。

一 次に掲げる額の合計額

 イ 吸収合併消滅株式会社若しくは株式交換完全子会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社(以下この号において「消滅会社等の株主等」という。)に対して交付する存続株式会社等の株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額

 ロ 消滅会社等の株主等に対して交付する存続株式会社等の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額

 ハ 消滅会社等の株主等に対して交付する存続株式会社等の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額

 二 存続株式会社等の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額

③ 前項本文に規定する場合において、法務省令で定める数の株式(前条第1項の株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)を有する株主が第797条第3項の規定による通知又は同条第4項の公告の日から二週間以内に吸収合併等に反対する旨を存続株式会社等に対し通知したときは、当該存続株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない。

超訳

消滅会社等が存続株式会社等の特別支配会社である場合、存続株式会社等においては合併契約等を承認する株主総会の決議を要しない

② 存続会社等が交付する組織再編行為の対価が、存続会社等の純資産額として法務省令の規定により定まる額の5分の1を超えない場合には、合併契約等を承認するのに株主総会の決議を要しない。

③ 法務省令で定める数の株式を有する株主が通知又は公告の日から2週間以内に吸収合併等(吸収合併、吸収分割、株式交換)に反対する旨を存続株式会社等に対し通知したときは、当該存続株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない。

解釈

① いわゆる「略式組織再編」。支配されている存続会社等が非公開会社であって、譲渡制限株式を交付するときは、略式組織再編はできない。

② いわゆる「簡易組織再編」。差損が生ずる場合(会795条2項)、譲渡制限株式を交付する場合であって、存続株式会社等が公開会社でないとき(会796条1項ただし書)及び本条3項の場合は不可。

比較

略式組織再編・簡易組織再編の可否(○=可、×=不可)

略式組織再編

簡易組織再編

消滅会社等

存続会社等

(設立会社)

消滅会社等

存続会社等

(設立会社)

吸収合併

×

吸収分割

○(会784条2項)

株式交換

×

新設合併

×

×

新設分割

○(会805条)

株式移転

×

比較

略式組織再編の手続

消滅会社等(会784条1項)

存続会社等が消滅会社等の特別支配会社である場合には、合併契約等を承認する株主総会の決議は不要。

ただし、吸収合併・株式交換における合併対価等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合であって、消滅会社等が公開会社であり、かつ、種類株式発行会社でないときは、必要(会784条1項ただし書)。※1

存続会社等(会796条1項)

消滅会社等が存続会社等の特別支配会社である場合には、合併契約等を承認する株主総会の決議は不要。

ただし、吸収合併消滅株式会社・株式交換完全子会社の株主、吸収分割会社に対して交付する金銭等の全部又は一部が存続株式会社等の譲渡制限株式である場合で、存続株式会社等が公開会社でないときは、必要(会796条1項ただし書)。※2

※1 消滅会社・完全子会社の株主の投下資本回収の手段が制限されるため。

※2 存続会社等の譲渡制限株式の株主の持株比率を維持する利益を保護するため。

比較

簡易組織再編の手続

分割会社(会784条2項、805条)

会社分割により承継(設立)会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が分割株式会社の総資産額の5分の1を超えない場合、株主総会の承認決議は不要。

この場合、反対株主は株式買取請求をすること不可(会785条1項2号、806条1項2号)。

存続会社等(会796条2項)

存続会社等が消滅会社等の株主等に交付する対価の合計額が純資産額の5分の1を超えない場合、株主総会の承認決議は不要。

以下の場合は承認決議が必要。

ⅰ 存続会社等に差損が生ずる場合(会796条2項ただし書、795条2項)

ⅱ 吸収合併消滅株式会社・株式交換完全子会社の株主、吸収分割会社に対して交付する金銭等の全部又は一部が存続株式会社等の譲渡制限株式である場合であって、存続株式会社等が公開会社でないとき(会796条2項ただし書、796条1項ただし書)

ⅲ 法務省令で定める数の株式を有する株主が会社の通知・公告(会797条3項、4項)の日から2週間以内に吸収合併等に反対する旨を存続株式会社等に対し通知したとき(会796条3項)

講座パンフレットや特別セミナーDVDなどを無料でお届けします。
講座についてのご相談を受け付けております。お気軽にお問合せください。
講座のお申し込み案内ページです。講座をお申し込みの方もこちらからどうぞ。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!