第795条【吸収合併契約等の承認等】
① 存続株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない。
② 次に掲げる場合には、取締役は、前項の株主総会において、その旨を説明しなければならない。
一 吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社が承継する吸収合併消滅会社又は吸収分割会社の債務の額として法務省令で定める額(次号において「承継債務額」という。)が吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社が承継する吸収合併消滅会社又は吸収分割会社の資産の額として法務省令で定める額(同号において「承継資産額」という。)を超える場合
二 吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社が吸収合併消滅株式会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社に対して交付する金銭等(吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社の株式等を除く。)の帳簿価額が承継資産額から承継債務額を控除して得た額を超える場合
三 株式交換完全親株式会社が株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等(株式交換完全親株式会社の株式等を除く。)の帳簿価額が株式交換完全親株式会社が承継する株式交換完全子会社の株式の額として法務省令で定める額を超える場合
③ 承継する吸収合併消滅会社又は吸収分割会社の資産に吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社の株式が含まれる場合には、取締役は、第1項の株主総会において、当該株式に関する事項を説明しなければならない。
④ 存続株式会社等が種類株式発行会社である場合において、次の各号に掲げる場合には、吸収合併等は、当該各号に定める種類の株式(譲渡制限株式であって、第199条第4項の定款の定めがないものに限る。)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合は、この限りでない。
一 吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員に対して交付する金銭等が吸収合併存続株式会社の株式である場合 第749条第1項第2号イの種類の株式
二 吸収分割会社に対して交付する金銭等が吸収分割承継株式会社の株式である場合 第758条第4号イの種類の株式
三 株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等が株式交換完全親株式会社の株式である場合 第768条第1項第2号イの種類の株式
超訳
① 吸収合併存続株式会社、吸収分割承継株式会社、株式交換完全親株式会社は、効力発生日の前日までに、株主総会の特別決議によって、吸収合併契約、吸収分割契約、株式交換契約の承認を受けなければならない。
解釈
① 株主総会の特別決議による(会309条2項12号)。効力発生日までに株主総会決議、株式買取請求、債権者保護手続等の全てが完了していればよく、その時間的な先後は問われない。
② いわゆる「合併差損」等が生ずる場合。差損が生ずる場合は、原則として簡易組織再編はできない(会796条3項参照)。
③ 承継する資産に自己株式が含まれる場合。
④ 種類株主総会の特別決議(会324条2項6号)
問題
吸収合併存続株式会社が種類株式発行会社である場合において、吸収合併消滅株式会社の株主に対して合併対価として吸収合併存続株式会社の譲渡制限種類株式が割り当てられるときは、当該譲渡制限種類株式を引き受ける者の募集について当該譲渡制限種類株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがあるときであっても、吸収合併存続株式会社において、当該譲渡制限種類株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要する
【平30-34-ウ:×】