第789条【債権者の異議】

第789条【債権者の異議】

① 次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める債権者は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる。

一 吸収合併をする場合

吸収合併消滅株式会社の債権者

二 吸収分割をする場合

吸収分割後、吸収分割株式会社に対して債務の履行(当該債務の保証人として吸収分割承継会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む。)を請求することができない吸収分割株式会社の債権者(第758条第8号又は第760条第7号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、吸収分割株式会社の債権者)

三 株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合

当該新株予約権付社債についての社債権者

② 前項の規定により消滅株式会社等の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、消滅株式会社等は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者(同項の規定により異議を述べることができるものに限る。)には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第4号の期間は、一箇月を下ることができない。

一 吸収合併等をする旨

二 存続会社等の商号及び住所

三 消滅株式会社等及び存続会社等(株式会社に限る。)の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの

四 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

③ 前項の規定にかかわらず、消滅株式会社等が同項の規定による公告を、官報のほか、第939条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告(吸収分割をする場合における不法行為によって生じた吸収分割株式会社の債務の債権者に対するものを除く。)は、することを要しない。

④ 債権者が第2項第4号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該吸収合併等について承認をしたものとみなす。

⑤ 債権者が第2項第4号の期間内に異議を述べたときは、消滅株式会社等は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該吸収合併等をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

目次

超訳

①一 吸収合併をする場合、吸収合併消滅株式会社は、吸収合併消滅株式会社の債権者に対して債権者保護手続をとらなければならない。

①二 吸収分割をする場合、吸収分割株式会社は、吸収分割後、吸収分割株式会社に対して債務の履行を請求できない吸収分割株式会社の債権者(吸収分割契約に配当財産を吸収分割承継株式会社の株式とする剰余金の配当又は取得対価を吸収分割承継株式会社の株式とする全部取得条項付種類株式の取得についての定めがある場合は、吸収分割株式会社の全ての債権者)に対して債権者保護手続をとらなければならない。

①三 株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合、株式交換完全子会社は、当該新株予約権付社債についての社債権者に対して債権者保護手続をとらなければならない。

解釈

①二2つ目の括弧書 分配可能額を超えて分割会社の財産が流出するおそれがあるため、すべての債権者が異議を述べることができる。

①三 全ての債権者ではなく、新株予約権付社債の社債権者のみである点に注意

② 株主総会決議の前に公告・催告をすることもできる。

③括弧書 吸収分割の場合、不法行為によって生じた吸収分割株式会社の債務の債権者に対する各別の催告は省略できない。

問題

吸収分割をする場合、吸収分割承継会社においては常に債権者保護手続をとる必要があるが、吸収分割会社においては債権者保護手続をとる必要がない場合がある

【平18-29-オ:○(分割後、吸収分割会社に対して債務の履行を請求できる債権者に対しては、債権者保護手続をとることを要しない。)】

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