第774条の2【株式交付計画の作成】

第774条の2【株式交付計画の作成】

株式会社は、株式交付をすることができる。この場合においては、株式交付計画を作成しなければならない。

目次

解釈

1.「株式交付」とは、株式会社が他の株式会社をその子会社とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付することをいう(会2条32号の2)。

2.株式交付は、他の株式会社を買収しようとする株式会社(買収会社)が株式を対価とする手法により、円滑に他の株式会社(被買収会社)を子会社とすることができるように、買収会社が被買収会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人には、買収会社の株式を対価として交付できるとする制度である。株式交換と異なり、子会社となる被買収会社の株主全員ではなく、希望する者のみから株式を取得する点に特徴がある。ただし、被買収会社の発行済株式の全部について譲渡しの申込みがあった場合、その全部を取得することは可能であると解されている。

3.株式交付は、株式会社が他の株式会社を子会社とする場合に限ってすることができる。持分会社又は外国会社を子会社とすることはできない(会774条の3第1項1号括弧書)。

4.清算株式会社が株式交付親会社となることはできない。清算株式会社を株式交付子会社とすることもできない(会509条1項3号)。

5.株式交付の手続については、株式交換完全親会社が株式会社である場合とほぼ同様の規定が適用される(会816条の2~816条の10参照)。一方、株式交付子会社の株主からの株式の譲渡に関する手続については、募集株式の発行における引受けの申込み、割当て及び現物出資財産の給付に関する手続に類似した規定が適用されることになる(会774条の3~774条の11参照)。

比較

株式交付と株式交換の異同

 株式交付株式交換
定 義株式会社が他の株式会社を子会社とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付すること(会2条32号の2)株式会社が発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させること(会2条31号)
当事会社親会社:株式会社のみ 子会社:株式会社のみ親会社:株式会社又は合同会社 子会社:株式会社のみ
子会社からの株式の取得株式交付計画で定められた効力発生日に、株式交付親会社は、株式交付子会社の株式の譲渡人となった者から給付を受けた株式交付子会社の株式を譲り受ける(会774条の11第1項)。株式交換契約で定められた効力発生日に、完全親会社は、完全子会社の発行済株式の全部を取得する(会769条1項)。
組織再編行為の対価株式交付の対価として、株式交付親会社の株式を全く交付しないとすることはできない(会774条の3第1項3号)。株式交換の対価として、完全親会社の株式を交付しないとすることができる(会768条1項2号)。
子会社による親会社株式取得規制(会135条1項)の特則の有無なし。株式交付親会社は、株式交付の対価として交付するために、株式交付親会社の親会社である株式会社の株式を取得することができない。あり。完全親会社は、完全子会社の株主に対して交付する限度において、完全親会社の親会社である株式会社の株式を取得できる(会800条1項)。
子会社の新株予約権の取扱い株式交付親会社は、株式交付子会社の株式と併せて株式交付子会社の新株予約権を譲り受けることができる(会774条の3第1項7号参照)。株式交付親会社は、株式交付の効力発生日以後、給付を受けた株式交付子会社の新株予約権に係る新株予約権者となる(会774条の11第1項)。株式交換契約に株式交換契約新株予約権の定めがあるときは、株式交換の効力発生日に当該新株予約権は消滅し、当該新株予約権に係る完全子会社の新株予約権者は、完全親会社から交付を受けた新株予約権に係る新株予約権者となる(会769条4項)。
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