第763条【株式会社を設立する新設分割計画】

第763条【株式会社を設立する新設分割計画】

① 一又は二以上の株式会社又は合同会社が新設分割をする場合において、新設分割により設立する会社(以下この編において「新設分割設立会社」という。)が株式会社であるときは、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 株式会社である新設分割設立会社(以下この編において「新設分割設立株式会社」という。)の目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数

二 前号に掲げるもののほか、新設分割設立株式会社の定款で定める事項

三 新設分割設立株式会社の設立時取締役の氏名

四 次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項

 イ 新設分割設立株式会社が会計参与設置会社である場合

新設分割設立株式会社の設立時会計参与の氏名又は名称

 ロ 新設分割設立株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合

新設分割設立株式会社の設立時監査役の氏名

 ハ 新設分割設立株式会社が会計監査人設置会社である場合

新設分割設立株式会社の設立時会計監査人の氏名又は名称

五 新設分割設立株式会社が新設分割により新設分割をする会社(以下この編において「新設分割会社」という。)から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務(株式会社である新設分割会社(以下この編において「新設分割株式会社」という。)の株式及び新株予約権に係る義務を除く。)に関する事項

六 新設分割設立株式会社が新設分割に際して新設分割会社に対して交付するその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる当該新設分割設立株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該新設分割設立株式会社の資本金及び準備金の額に関する事項

七 二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をするときは、新設分割会社に対する前号の株式の割当てに関する事項

八 新設分割設立株式会社が新設分割に際して新設分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる当該新設分割設立株式会社の社債等を交付するときは、当該社債等についての次に掲げる事項

 イ 当該社債等が新設分割設立株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法

 ロ 当該社債等が新設分割設立株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法

 ハ 当該社債等が新設分割設立株式会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのイに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのロに規定する事項

九 前号に規定する場合において、二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をするときは、新設分割会社に対する同号の社債等の割当てに関する事項

十 新設分割設立株式会社が新設分割に際して新設分割株式会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該新設分割設立株式会社の新株予約権を交付するときは、当該新株予約権についての次に掲げる事項

 イ 当該新設分割設立株式会社の新株予約権の交付を受ける新設分割株式会社の新株予約権の新株予約権者の有する新株予約権(以下この編において「新設分割計画新株予約権」という。)の内容

 ロ 新設分割計画新株予約権の新株予約権者に対して交付する新設分割設立株式会社の新株予約権の内容及び数又はその算定方法

 ハ 新設分割計画新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、新設分割設立株式会社が当該新株予約権付社債についての社債に係る債務を承継する旨並びにその承継に係る社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法

十一 前号に規定する場合には、新設分割計画新株予約権の新株予約権者に対する同号の新設分割設立株式会社の新株予約権の割当てに関する事項

十二 新設分割株式会社が新設分割設立株式会社の成立の日に次に掲げる行為をするときは、その旨

 イ 第171条第1項の規定による株式の取得(同項第一号に規定する取得対価が新設分割設立株式会社の株式(これに準ずるものとして法務省令で定めるものを含む。ロにおいて同じ。)のみであるものに限る。)

 ロ 剰余金の配当(配当財産が新設分割設立株式会社の株式のみであるものに限る。)

② 新設分割設立株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項第3号に掲げる事項は、設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役とを区別して定めなければならない。

目次

解釈

①三 新設分割設立会社の代表取締役は、分割計画の定めに従って選任された新設分割設立株式会社の設立時取締役の過半数によって選定する
十 「新設分割計画新株予約権」とは、分割会社の新株予約権のうち、分割計画で設立会社の新株予約権の割当てを受けると定められたものである(会763条10号イ)。発行当初の条件と相違した場合は、買取請求権が発生する(会808条1項2号)。
十二 イは全部取得条項付種類株式の取得対価に分割会社が交付を受けた承継会社の株式を交付し、ロは分割会社が交付を受けた承継会社の株式をその取得と同時に株主に配当することによって、結果的に旧商法時にあった人的分割となる。剰余金分配規制は適用されない(会812条参照)。

問題

A株式会社がその事業に関して有する権利義務を新設分割により設立するB株式会社に承継させる場合、B社は、A社に対し、承継する権利義務に代わる対価を交付しないことはできず、B社は、対価として、B社が発行する株式を必ずA社に対して交付しなければならない

【平28-33-ア改:○】

講座パンフレットや特別セミナーDVDなどを無料でお届けします。
講座についてのご相談を受け付けております。お気軽にお問合せください。
講座のお申し込み案内ページです。講座をお申し込みの方もこちらからどうぞ。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次