第750条【株式会社が存続する吸収合併の効力の発生等】
① 吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。
② 吸収合併消滅会社の吸収合併による解散は、吸収合併の登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
③ 次の各号に掲げる場合には、吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員は、効力発生日に、前条第1項第3号に掲げる事項についての定めに従い、当該各号に定める者となる。
一 前条第1項第2号イに掲げる事項についての定めがある場合
同号イの株式の株主
二 前条第1項第2号ロに掲げる事項についての定めがある場合
同号ロの社債の社債権者
三 前条第1項第2号ハに掲げる事項についての定めがある場合
同号ハの新株予約権の新株予約権者
四 前条第1項第2号ニに掲げる事項についての定めがある場合
同号ニの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
④ 吸収合併消滅株式会社の新株予約権は、効力発生日に、消滅する。
⑤ 前条第1項第4号イに規定する場合には、吸収合併消滅株式会社の新株予約権の新株予約権者は、効力発生日に、同項第5号に掲げる事項についての定めに従い、同項第4号イの吸収合併存続株式会社の新株予約権の新株予約権者となる。
⑥ 前各項の規定は、第789条(第1項第3号及び第2項第3号を除き、第793条第2項において準用する場合を含む。)若しくは第799条の規定による手続が終了していない場合又は吸収合併を中止した場合には、適用しない。
超訳
①④ 吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継し、吸収合併消滅株式会社の新株予約権は、効力発生日に消滅する。
② 吸収合併消滅会社の吸収合併による解散は、吸収合併の登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない(第三者の善意・悪意を問わない)。合併の効力発生日後、その登記前に合併消滅会社の不動産が第三者に譲渡された場合、合併存続会社は悪意の第三者にも対抗できないということである。なお、吸収分割では対抗問題として処理されるため(民177条)、規定がない。
問題
吸収合併消滅株式会社の代表取締役が効力発生日後吸収合併の登記の前に第三者に対し吸収合併消滅株式会社が所有していた不動産を譲渡した場合には、吸収合併存続株式会社が吸収合併により当該不動産を取得したことは、当該第三者が悪意であるときであっても、当該第三者に対抗することができない
【平30-34-オ:〇】
問題
吸収合併契約において定めた効力発生日に債権者の異議手続が終了していない場合には、効力発生日後に債権者の異議手続を終えたときであっても、吸収合併は、その効力を生じない
【平31-34-ウ:〇】