第627条【債権者の異議】
① 合同会社が資本金の額を減少する場合には、当該合同会社の債権者は、当該合同会社に対し、資本金の額の減少について異議を述べることができる。
② 前項に規定する場合には、合同会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第2号の期間は、一箇月を下ることができない。
一 当該資本金の額の減少の内容
二 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
③ 前項の規定にかかわらず、合同会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第939条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
④ 債権者が第2項第2号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該資本金の額の減少について承認をしたものとみなす。
⑤ 債権者が第2項第2号の期間内に異議を述べたときは、合同会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該資本金の額の減少をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
⑥ 資本金の額の減少は、前各項の手続が終了した日に、その効力を生ずる。
超訳
③ 合同会社が公告を、官報のほか、定款の定めに従い、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告の方法により公告する場合は、債権者に対する各別の催告はすることを要しない。
解釈
1.合同会社において債権者保護手続が要求されるのは、出資の払戻しや持分の払戻しによる資本金の額の減少だけではなく、損失のてん補のための資本金の額の減少も含まれる。
2.合名・合資会社でも出資の払戻しや持分の払戻しによって資本金の額が減少することがあるが、合名・合資会社では債権者保護手続はとられない。これらの会社には無限責任社員が存在するからである。
問題
合名会社及び合資会社が資本金の額を減少する場合にはそれらの債権者は異議を述べることができないが、合同会社が資本金の額を減少する場合にはその債権者は異議を述べることができる
【平20-35-イ:○】