第331条の2
① 成年被後見人が取締役に就任するには、その成年後見人が、成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人及び後見監督人の同意)を得た上で、成年被後見人に代わって就任の承諾をしなければならない。
② 被保佐人が取締役に就任するには、その保佐人の同意を得なければならない。
③ 第1項の規定は、保佐人が民法第876条の4第1項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人に代わって就任の承諾をする場合について準用する。この場合において、第1項中「成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人及び後見監督人の同意)」とあるのは、「被保佐人の同意」と読み替えるものとする。
④ 成年被後見人又は被保佐人がした取締役の資格に基づく行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。
目次
解釈
1.従前の会社法331条1項2号が削除され、成年被後見人又は被保佐人であっても取締役に就任できるとされたことに伴い、成年被後見人等が取締役に就任するために必要となる手続が本条で設けられた。
2.成年被後見人が取締役に就任するには、成年後見人が、成年被後見人の同意を得た上で、成年被後見人に代わって就任の承諾をすることを要する(本条1項)。就任の承諾をするのは成年被後見人本人ではなく、成年後見人である。
3.本条の規定によって成年後見人等がした就任の承諾は、取り消すことができない。
4.成年被後見人の同意を得ずに成年後見人が就任の承諾をした場合又は成年被後見人自身が就任の承諾をした場合のように、本条に規定された方法によることなくされた就任の承諾は初めから無効となり、取り消すことができない。