第130条【株式の譲渡の対抗要件】
① 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
② 株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。
目次
解釈&判例
1.株式の譲受人が、株主名簿の書換えを失念していたところ、株式会社から株主名簿上の株主(譲渡人)に、募集株式の割当てが行われることがある。この割り当てられた募集株式を失念株という。判例(最判昭35.9.15)は、名義株主が募集株式を取得し、失念株主に返還する義務はないと解している。株式会社から株主割当による募集株式の発行があり、株主名簿上の株主(名義株主)に募集株式の割当てを受ける権利(202条1項1号)が付与され、その者が引受けの申込みをし、払込みをした以上、名義株主が募集株式を取得すると考えられるからである。
2.株式を譲り受けた株式取得者が、株式会社に対して株主名簿の名義書換の請求をしたにもかかわらず、当該株式会社の過失により名義書換が行われなかった場合、当該株式会社は、株主名簿の名義書換がないことを理由として、当該株式の譲渡を否定することができない(最判昭41.7.28)。
問題
株券発行会社の株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社に対抗することができない
問題
株券発行会社の株式の相続による移転は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない
比較
株式譲渡の効力要件と対抗要件
株券不発行会社 |
株券発行会社 |
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効力要件 |
意思表示 |
意思表示+株券の交付 |
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対抗要件 |
対会社 |
株式取得者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載・記録(株主名簿の名義書換え) |
株式取得者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載・記録(株主名簿の名義書換え) |
対第三者 |
株式取得者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載・記録(株主名簿の名義書換え) |
株券の占有 |