第103条【発起人の責任等】
① 第57条第1項の募集をした場合における第52条第2項の規定の適用については、同項中「次に」とあるのは、「第1号に」とする。
② 第102条第3項に規定する場合には、払込みを仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、前条第1項の引受人と連帯して、同項に規定する支払をする義務を負う。ただし、その者(当該払込みを仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
③ 前項の規定により発起人又は設立時取締役の負う義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
④ 第57条第1項の募集をした場合において、当該募集の広告その他当該募集に関する書面又は電磁的記録に自己の氏名又は名称及び株式会社の設立を賛助する旨を記載し、又は記録することを承諾した者(発起人を除く。)は、発起人とみなして、前節及び前三項の規定を適用する。
目次
超訳
① 募集設立の場合には、発起人及び設立時取締役は、会社に対し、現物出資財産等の不足額について無過失責任を負う。
比較
不足額填補責任の発起設立と募集設立における差異
検査役の調査あり |
検査役の調査なし |
|
現物出資者・財産引受けの譲渡人である発起人 |
無過失責任(会52条2項柱書括弧書) |
|
上記以外の発起人、設立時取締役 |
責任を負わない(会52条2項柱書) |
・発起設立の場合、過失責任(会52条2項2号)※ ・募集設立の場合、無過失責任(会103条1項、52条2項1号) |
※ 職務を行うにつき注意を怠らなかったことを証明した場合、責任を負わない。
問題
募集設立における発起人は、会社の成立の時における現物出資財産等の価額が定款に記載された価額に著しく不足する場合であっても、当該発起人がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば、不足額を支払う義務を免れる
問題
検査役の調査を経た場合を除き、現物出資の目的財産の価額が定款に記載された価額に著しく不足しているときに発起人が会社に対して当該不足額を支払う義務は、発起設立の場合には、当該発起人がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば、当該発起人が現物出資をした者でない限り、免れることができるが、募集設立の場合には、当該発起人がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したとしても、免れることができない