黒川 健吾さん
受講コース: 中上級パーフェクトBコース安心保証プラン
なぜ司法書士資格を目指したか
こんにちは、初老の受験生だった黒川です。合格したのは7回目の受験です。50歳を過ぎた頃から多くの人が人生を振り返るように、私もこれまでの人生でやり残したことを考えるようになりました。
あと少しで30年近く過ごすことになる、現在勤務する会社で営業担当者として定年退職を迎えます。これまで担当してきたお客さまの環境が変化し、様々なお客さまの問題に接するようになったのが司法書士を目指したきっかけでした。経年とともに、相続の問題、認知症の不安、家族信託の要否や成年後見制度の利用など、ゆとりをもって検討しておいた方が良い事案に直面する機会が増えてきました。
お客さまに一生涯寄り添っていくことができる担当者として、司法書士の資格を取得し、専門知識を活かして、お客さまの人生をもっと豊かにしたいという思いで司法書士を目指しました。
予備校選びのポイント
20代後半の頃に現在の仕事に就く以前にも、法律に携わる仕事の経験がなく、受験勉強について相談する人もいませんでした。「司法書士の仕事が、担当しているお客さまの役に立てるのではないか」という気持ちだけで志したものの、今の仕事やお客さまにできるだけ迷惑をかけずにできる学習スタイルが必要だと思っていました。
私がクレアールを選択した理由は、すべての講座がWebで受講できることでした。平日は通勤とフルタイムの勤務があり、予備校の通学は不可能でしたので、「通勤・営業の移動時間や仕事の合間の隙間時間を積み重ね、どうやって1日の学習時間を確保するか」が予備校を選択する際のポイントでした。
クレアールは、テキスト、答練や模試の問題・解説冊子がすべてPDFでダウンロードでき、タブレットひとつで学習が完結するので、隙間時間の活用が重要な私にとっては、それが最大のメリットでした。講義を全て2倍速で視聴できたことも、何度も繰返し学習しなければ忘れてしまう私にはなくてはならないものでした。
クレアールで学習して良かった点
私は他校の受講歴や、独学の経験も全くない状態でクレアールの受講をしましたので、初学者向けの「合格ルート1年スタンダードコース」で初めて司法書士試験の学習が始まりました。その後、「中上級パーフェクトBコース」、「上級パーフェクトコース」を受講しましたが、『択一六法』中心の学習が効果的だと再認識したので、最後は「中上級パーフェクトBコース」に戻って学習していました。
法律の知識が全くなかった私にとって、クレアールの初学者向けコースで司法書士試験の基礎知識から学習をスタートできたのがよかったと思います。
CROSS STUDYの進め方
私が受講を開始した当初はCROSS STUDYが導入されていない時代でしたので、CROSS STUDYが導入される以前は、付箋で膨れ上がった紙の過去問題集を見ると、「本試験前にどこを開いて勉強をすればいいのか」と不安が増すばかりでした。
CROSS STUDYの利用ができるようになった令和5年8月当初は、民法の1問目から順番に解いていきました。重要度の★の使い方は、最初は「★5」から、正解できると「★4」にと、少しずつ★の数を減らしていき、重要度が高いと思える問題は★5に設定していました。
ユーザータグは自分が気になっているワードで、例えば「登記原因」や「農地法」などという設定をしましたが、私にとって重要だったのは「間違えた問題」と間違えた時期を、例えば「2025年6月」というように設定することでした。CROSS STUDYは出題条件設定で「解答済みの問題」で「前回間違えた問題」と「一度でも間違えた問題」を抽出することができますが、各問題の正誤は、直近の3回分を確認することができる仕様のため、3回連続で正解するとどの問題を間違えたかがわからなくなるからです。
CROSS STUDYを1回転した後は、1週間の中で「月曜日は民法、火曜日は不動産登記法」というようにマイナー科目を含め全科目学習する曜日を決め、ランダム出題で100問とか200問を演習し、CROSS STUDYでの学習を習慣化しました。
CROSS STUDYの学習では、「前回間違えた問題」だけを抽出して復習するときは、解答するときに〇×をチェックせず、必ず「スキップ」して間違えた問題は間違えたままの状態にして、いつでも間違えた問題を確認できるようにしていました。
ランダム出題にして正解できたときだけ、「前回間違えた問題」から「一度でも間違えた問題」に移行し、3回以上正解すると、自分で設定したユーザータグの「間違えた問題」で検索できるという状態にしていました。膨大な過去問題集の中に、自分が一度でも間違えた問題が埋もれてしまうのが不安だったからです。
私のCROSS STUDYの正答率は必ず99%が上限で、常に100%にならないようにして、「人間は必ず忘れるのだから」と、「間違えた問題」をいつでもチェックできる状態を維持しました。この方法により、常に優先順をつけて学習することを可能にしてくれました。
紙の過去問題集を使っていた頃は、問題ごとに付箋を貼って日付を書き、マーカーをつけるなどの作業をしていましたので、これらの作業にかなりの時間を奪われていたのが、CROSS STUDYを利用できるようになり、ユーザータグを利用し、メモ欄を活用するといった作業に変わり、問題を解いて処理するスピードが格段に上がったと思いました。高速でCROSS STUDYを回転させることで、午後の部の択一式の時間短縮に効果があったと思います。
学習スケジュールをどのように立てて、学習を進めたか
私の学習は、司法書士の学習が全く未経験の状態でスタートしましたので、クレアールから配布される「発送予定表&学習計画表」の通りにカリキュラムを消化できるように進めました。勤務のある平日は、机で学習できる時間を2~3時間しか確保できない日もありましたので、通勤や営業先への移動の際は、必ず講義や答練の解説講義などを1.5倍から2倍速で聞くことを習慣とし、記憶の維持と復習の時間にあて、最低でも週40時間の学習ペースを目標としていました。
受験勉強を開始してからは、休日は終日学習時間にあて、金曜日の勤務が終わってから、月曜日の仕事までは外出しませんでした。家族の協力のおかげで、ゴールデンウィーク、夏季休暇、年末年始といった仕事以外の可処分時間は、すべて学習時間に充てることができる環境を提供してもらっていました。
学習初期、学習中期、直前期の学習方法の変化
学習初期(学習開始から択一式で基準点が取れるまで)
司法書士試験についての知識が全くない状態で、クレアールの「合格ルート1年スタンダードコース」から学習を始めました。講義の配信スケジュールのとおりに学習を進めていた時期ですが、この時期は講義を聞いてもすぐに内容を理解することができないような状況でしたが、とにかくスケジュール通りに講義を視聴することを目標にしていました。一通りマイナー科目まで講義を終えても講義の内容を十分に理解した状態とは言えず、過去問を解けるレベルではありませんでした。この頃は50代の記憶力は全くあてにならないと痛感し、繰り返し学習することの大切さを改めて思い知らされました。
答練や模試が始まると、土日に時間を決めて問題を解きましたが、復習に丸々1週間かかり、全肢、解説冊子を読まなければいけないような状況で、学習初期の段階では過去問を十分に回す余裕がなく、答練を提出期限に間に合わせて提出するのがやっとの状況でした。
この段階では、記述式は本試験前の学習が不十分でしたし、午後の部の択一式の解答に時間がかかりすぎて、70分以上択一式に時間を取られ、本試験では記述式に充てる時間が足りず、記述式の問題にまともに解答できる状況ではありませんでした。
学習中期(択一式で基準点が取れるようになってから)
「中上級パーフェクトBコース」から「上級パーフェクトコース」で学習をしていた時期です。私が択一式で基準点を超えることができたのは4回目の受験からです。この時期はまだ紙の過去問題集を使っていましたが、クレアールの講義と紙の過去問題集の演習だけで、択一式の基準点を超えられるようになりましたが、本試験の記述式は全く歯が立たない状況でした。
午後の部の択一式は70分から75分で終えられていましたが、記述式を解く十分な戦略もなく、不動産登記記述式に多くの時間を取られ、商業登記記述式の途中で時間切れになるような学習レベルでした。
直前期(合格1年前と合格年度)
CROSS STUDYが使えるようになってからは、学習方法が劇的に変化しました。紙の過去問題集はほとんど使わなくなり、先ほどの方法でCROSS STUDYを使って択一式を学習していれば、答練や模試でも正答率が安定するようになりました。
過去問はCROSS STUDYでの学習で完成度が上がっていましたので、学習当初とは違って、この時期の答練や模試は間違った選択肢を復習することに集中ができ、多くの時間を記述式の学習に充てることができました。
私は短期合格者のように、1年ごとに学習の成果が急激に上がることはありませんでしたが、それでも受験回数を重ねるたびに、クレアールの学習スケジュールの通りに受講すれば択一式の点数が上がっていくのを実感していました。ただ、択一式で点数が上がり基準点を超えるようになっても、本試験では記述式の点数が全く取れない時期が長く続き苦しみました。
効果的であった記述式対策
記述式対策は、『合格書式マニュアル』の暗記と、『記述式ハイパートレーニング』が解けるようになることが、本試験の記述式を解くためには最低限必要だと考え学習をしました。それでも今振り返ると、ひな形の暗記ができ、答練や模試でもある程度得点できるようになり、4回目の受験から択一式の基準点を超えるようになって以降も、私が本試験の記述式で点数が伸びなかった原因は次の通りです。
午後の部の択一式に時間がかかりすぎていた
基準点が取れるようになっていても、択一式の解答に時間がかかり過ぎていました。クレアールの講義では午後の部は択一式を60分から70分で解くのが理想的だと教えてもらっていましたが、私の場合、70分で択一式を終えることができたとしても、不動産登記記述式で躓いてしまい、商業登記記述式に十分な時間が充てられていない状態がかなり続いていました。記述式の得点を上げるためには、いかに択一式を短時間で終えるかが課題でした。
合格年度は、午後の部の択一式は50分から55分くらいでマークまで終えることができるペースでした。私は不動産登記記述式について本試験で全く得点できない状況が長く続いていましたので、合格年度と前年度は、択一式→商業登記記述式→不動産登記記述式の順で解答することに決めていました。答練や模試でも商業登記記述式の解答の方が圧倒的に記載する文字の分量が多いので、もし不動産登記記述式に時間がかかった場合、商業登記記述式は何を書けばよいか判断できても、答案用紙に書ききれないと思ったからです。
実際に合格年度の商業登記記述式では記述量が多かったので、答案用紙を全部埋めるのに70分以上はかかったと思います。
答案構成用紙の使い方が間違っていた
学習当初から答案構成用紙は、講師の先生方が講義で使われているような講義用の書き方と同じような使い方をしていました。記述式の点数が伸びなかった頃を振り返ると、答案構成用紙を書くことに時間がかかりすぎ、問題文から答案構成用紙に登記原因日付や登記原因を写すときにミスが発生し、時間がない本試験では文字が汚くなり、答案構成用紙に書けば書くほどミスを誘発していました。
そのため、合格年度はなるべく答案構成用紙を使わないで解く方法に変更しました。例えば、商業登記は問題文の方にマーカーをつけ、間違って書いてはいけない日付は先に斜線で消し、登記の事由も基本的に問題文の順番通りに記入しました。
自分に合った解答順序がわかっていなかった
記述式の解答順序については、不動産登記記述式→商業登記記述式の順で解答していた時代は、不動産登記の論点が解らず本試験でどんどん時間を削られ、記載量の多い商業登記で挽回することはほぼ不可能でした。
合格年度は、商業登記記述式→不動産登記記述式の順で解答することに決めて、商業登記で60点くらいを得点し、不動産登記は半分くらいできればいいという気持ちで臨みました。
令和7年度司法書士試験に合格することができた一番の秘訣
私の場合、受験生の平均年齢に比べかなり高齢であり、文章を読む速度や、記述式で文字を書く速度が劣っていると認識していましたので、知識だけで合格レベルに達することはできず、択一式で基準点を超えるようになってからも合格までに4年かかりました。
答練や模試で講師の先生がいつも指摘されていた、「択一式はどの順序で解くのか」「5肢を全部読んで解くのか」「わかっている肢から解くのか」「記述式はどの順番で解くのか」といった本試験での戦術を確立していくとこが重要だったと思います。
択一式で基準点を取れるようになってからも、記述式対策の学習方法は、答練や模試で間違えた問題を何度も繰り返し解くという学習スタイルでしたが、このような学習方法は前回解答したときの記憶に頼って問題を解いているだけで、初見の問題に対応する力が伸びないと反省しました。
合格年度の直前期は、記述式の対策はとにかく新しい問題を解くことに重点を置き、記憶で解くのではなく、その場の判断で問題を解く訓練を重視しました。記述式の過去問は市販の過去問題集で15年分くらいさかのぼって解き、初見の問題にいかに対応するかを重視して、幅広く教材を準備して学習しました。
今後の展望について
司法書士試験の難易度を知らずに、ただ今の仕事や自分のお客さまに役立つ資格だと思って飛び込んだ受験生活でした。今思えば本当に無謀だったと思います。
令和7年度の試験後は、「2026年合格目標 中上級パーフェクトコース」を受講し、学習を継続していました。筆記試験の合格発表の当日、学習の終わりを知らせてくれたのは、クレアールからの合格者向けのメールでした。今年度も合格点を超えていないと思っていましたので、呆気ない受験生活の終わりでした。
私は仕事と受験で消耗し、情けないくらい身も心もボロボロでかっこ悪い初老の受験生でした。間もなく今の仕事が定年を迎えますが、その前に司法書士試験に合格することができ、セカンドライフの選択肢を大きく広げることができました。生涯現役で、これまでお世話になったお客さまに一生涯より添えるパートナーとして、自分がどのような働きや貢献をできるか、追求して努力しようと思っています。
最後に、人知れず、苦しい受験生活を続けることができたのは、私の大切な家族の協力のおかげです。本当に一人で勉強を続けていれば、合格する前に行きすぎてしまい、多くのものを失っていたかもしれません。唯一私の受験生活を理解し、いつも優しくそばで寄り添ってくれた妻と娘に心から感謝しています。
令和8年度以降の合格を目指すクレアール司法書士講座受講生へのメッセージ
先の見えない不安にいつも襲われていましたが、勉強からひと時も遠ざかることなく、合格へのモチベーションが落ちることがないように、クレアールが私の7年間の受験生活を支えてくれました。少し前からクレアールで学習している受験生の方は覚えているかもしれませんが、全国公開模擬試験の午後の部の解説講義での浅沼先生の最後のメッセージを今でも思い出します。
「本試験ではだれもが諦めたくなる時間が必ず来る。最後の10分で100人を抜く気持ちで、最後の最後まで合格を信じて答案を書ききってください!」
何年かにわたって、模試の最後の解説講義で浅沼先生からこのメッセージを聞いたときは、私は本当に辛かったのか、励まされたからなのかわかりませんが、いつも涙がこぼれたのを覚えています。
令和8年度以降の合格を目指される受験生の皆さんも、仕事や家庭・子育て、ご自身の健康状態など、さまざまな本当に大変な環境の中で合格を目指されていると思います。私はクレアールのCROSS STUDYや『択一六法』をはじめとする教材、答練や模試で「知識」を習得できれば、合格レベルに達すると実感しました。ただ、受験生の置かれている環境によって、合格するまでの年数が異なるだけだと思います。1年でも早くクレアールからの合格を知らせるメールが届くことを祈ります。

