木本 優亮さん
なぜ司法書士を目指したか
私は行政書士試験を受験中に「登記」というものが気になり、合格後により詳しく「登記」について調べ、そこで司法書士という資格を知りました。業務の内容の中でも特に、会社の設立登記や組織再編に興味を持ちました。また、取り扱うことのできる業務が幅広く、さまざまな人々と関わりが持てる点がとても興味深く、自分も司法書士として社会に貢献していきたいと思い司法書士試験を受験しました。
予備校選びのポイント
クレアールを受講した理由は主に2つあります。
1つ目は、受講料がリーズナブルであることです。他の資格試験と比べると、大手他社の司法書士講座の受講料はとても高く、驚いたのを覚えています。また、仕事をしながらの受験であったため、どうしても通学での講座に参加することができず、通信講座を取り扱っている予備校を探していました。クレアールは通信講座であり、他の予備校と比べ、とても良心的な価格でした。
2つ目は、資料請求の際に知った択一六法に惹かれたからです。資料の内容を読んでみると、択一六法のサンプルの記載がありました。超訳・解釈・関連する判例や過去問が添えられていて、テキストと六法、過去問が一体化しており、かつ六法特有の読みづらさがなかったことが、クレアールで受講することを決めた大きな要因です。
クレアールで学習して良かった点
初学者の時の講座(ターゲット論点攻略講座)のパワーポイントが簡潔でわかりやすく、イメージしづらい単元の内容も、初学者でも理解することができる言葉で説明してくださっていたので、理解しやすかったです。さらに、講義動画を倍速視聴できる点もクレアールで学習して良かった点です。他資格の勉強のため他の予備校を受講していた際に感じていた退屈さが改善され、講義の時間短縮にもなりました。聞き逃してしまった際にも、自分の好きなタイミングでその部分まで巻き戻したり飛ばしたりできるので、とても効率的に学習が行えました。また、PDFで学習していた為、全教材・全資料をタブレット1つで見ることができ、どこでも勉強することが可能でとても便利でした。タブレットでテキストや択一六法に書き込みをするわけですが、あらかじめパワーポイントから使う画像を保存することができます。本来ならば印刷したり自身で図を書いたりするところを、そのまま張り付けることができて効率的でした。
そして、模試と答練の回数が多かったことも良かった点のひとつです。記述式だけの書式解法マスター答練(現:科目別ベーシック答練(記述式編))、択一式だけの択一式解法マスターWeb答練(現:科目別ベーシック答練(択一式編))以外にも、本試験と同等レベルの実戦形式の答練模試は10回あったと思います(注:現在は答練6回、模試2回の計8回)。内容も豊富で何よりも本試験と同様の形式なので、時間配分を考えることができ、緊張感をもって取り組むことができました。
学習を進めていく上でのポイント・心構え
行政書士試験の勉強中もそうでしたが、法律の勉強が苦になったことはありません。なぜなら、法律に興味があって勉強を続けているからです。試験に合格しなければならないという気持ちはもちろんありましたが、その強迫観念だけで勉強するのであれば続いていなかったと思います。
基本的に毎日勉強をしていますが、1日の勉強時間はまちまちでした。私は、コーヒーを淹れて飲むことやゲームをすることが好きなのですが、趣味の時間やスマホを見る時間などに、特に制限を設けませんでした。試験勉強も趣味などと同じように適度な距離感で向き合うことが大切だと思っています。その方針で取り組んでいたため、今までの受験期間中、毎日勉強をすることが楽しかったです。
学習スケジュールをどのように立てて学習を進めたか
受講してすぐの初学者の時は、講義を見ながらPDFのテキストに書き込みをして学習を進めました。予定がある日や仕事の日は1日2~3単元、休日は6単元くらいずつ視聴できるように心掛けました。
合格した年度の学習は、今日何を学習するか、明日何を学習するかという目の前の目標は敢えて決めずに、大きな枠組みで目標を立てました。
本試験が実施される7月から逆算して計画を立て、4月から6月の直前期は各科目の過去問・択一六法・記述式関連教材をできるだけ短期間で周回しました。
1月から3月は択一式の精度を上げるために過去問を回しました。
8月から12月末までは、昨年は記述式の基準点未達で不合格だったため、ほとんどの時間を記述式に費やしました。
しかし、択一式・記述式のいずれかに重きを置きすぎるのは危険だと考えたため、どちらも両立して学習することを大事にしました。
効果的な学習方法
講義も講義で使用するテキストも簡潔にまとめられていますが、初学者の時はわからない単語が多く、一読するだけではなかなか頭に入ってきませんでした。初めはそういうものだと思って、大枠を覚えられるようにし、深堀りはせず学習を前に進めます。すると、最初は分からなかった所も知識が増え、だんだん理解が深まります。そして、ある程度知識がまとまった際に、過去問や択一六法などを横断しながら知識を拡充していくことが効果的な学習方法ではないかと考えます。
また、記述式の学習に関してですが、とにかく記述式は他の資格試験と比べても難解であるため、解き方を講義でしっかりと覚えることが重要だと思います。記述式の答案作成の方法はいろいろありますが、私は講師の先生が作成する答案がとても簡潔で見やすいものだったので、とにかくそれを真似して書けるように講義をしっかりと視聴しました。
その後、ひな形を覚えることはもちろん、合格書式マニュアル対応問題集を使用し、ひな形の知識が定着しているかを確認しながら問題を解きました。記述式ハイパートレーニングという本試験に近い形の教材も使用しましたが、やはり記述式は基礎がとても大事だと思うので、合格書式マニュアル対応問題集を反復し、基礎を定着させることに重点を置き学習を進めました。
制限時間内に解くためのコツ・実際の本試験について
合格した年度を除き、午後の部の試験時間内にすべての解答をし終えることができたことは1度もありませんでした。とにかく時間が足りないので、まずは時間内に間に合わせることを第1目標にしました。
具体的な対策としては、択一式は過去問と択一六法の周回で明確な知識を定着させ、記述式はひな形を頭に叩き込みました。また、記述式問題については、情報処理能力が重要になってくるので、問題文の前提を読み落とさないようしっかり読み込んで必要な部分にはマーカーで印をつけ、情報を取りこぼさないように気を付けました。そして、模試や答練を繰り返す中で、自分に合った時間配分を見つけることが大切だと思います。
最終的に私は、最初から順に解答し、試験内容にもよりますが択一式50分・不動産登記記述式55分・商業登記記述式60分、残り15分で見直し等を行うという配分が適していました。実際の本試験もこのような時間配分で解くことができました。
途中で学習方法を変えることはあったか
記述式の知識が全体的に曖昧だったため、合格した年の7割は記述式の学習に時間を割いていました。今思えば、間違った学習方法だったと思います。
それまではバランスよく全体的に学習を進めていたのですが、どうしても各科目の勉強時間のムラは出てきてしまっていたので、それらを埋める作業を行いました。私は比較的民法の定着は早かったので、定着しづらかった商業登記法・供託法・民事保全法を特に時間をかけて学習するよう心掛けました。
モチベーション関係
やる気の出ないときや集中力が切れてしまった時は、択一六法を読み込むのに飽きたなら過去問を解く、過去問を解くのに飽きたなら択一六法を読み込む、というように、試験勉強の中で勉強の種類を変えて取り組むようにしていました。
それでも難しい時は、趣味の時間や仮眠を取るなどして、勉強することそのものが嫌になってしまわないよう勉強から離れる時間というのも大事にしてモチベーションを維持しました。また、私は家事や仕事をしながらこの試験に挑んでいたので、仕事や家事も気分転換のひとつだと考え、合間に家事をすることもありました。
試験当日までの心境と試験当日の心境
今年度の試験は私にとって大きな節目でした。入籍をして環境が大きく変わり、妻という存在ができました。いつまでも支えてもらっていてはいけないという思いもあり、今年は必ず合格しなければならないという気持ちが強く、漠然と焦りも感じていました。もし今年受からなければ、補助者として働くか、行政書士の登録をして働くか、正直色々なことを考えました。そういう焦りやプレッシャーで、試験1週間前くらいから眠りが浅くなったり、なかなか寝付けなかったりと不眠気味になっていました。睡眠時間はとても大事だと思っているので、最低でも6時間くらいは睡眠時間を取れるようにサプリメントや眠剤を使用してこの症状と向き合いました。
試験当日は、電車を降りてから試験会場までの間、普段よく聴いている音楽を聴きながら向かいました。普段と違う環境にいるというのを自覚しないように、ノイズキャンセルのイヤホンで足音や人の声などが聞こえないようにしていました。試験会場の自分の席に着席してからは、出来るだけリラックスして過ごしました。
また、昨年の試験では不動産登記記述式でいわゆる枠ズレを起こし、記述式の基準点が未達で不合格でした。今年の試験では何が何でも枠ズレを起こさないようにと、午前の部の試験問題の裏に『名変忘れるな!』と自分に忠告するメッセージを書き、午後の試験が始まる直前の、試験官から筆記具以外のものをしまうように指示があるまで、しっかりと自分の目に入る位置に置いておきました。試験では入念に確認を行い、そのおかげもあってか枠ズレを起こすことなく試験を終えることができました。
最後に
今回、私が司法書士試験に合格することができた一番の理由は、周りの方々の理解と助けがあったからです。正直な話、筆記試験の合格発表で自分の受験番号を確認したとき、「ホッとした」という安堵に近い感情でした。自分自身の力だけではなく、自分の周りに居てくれる人たちの支えがあったからこそ本領を発揮できたし、合格という結果が得られたのだと思います。恩返しと言ってはなんですが、自分の周りの人たちに少しでも返していけるよう、そして司法書士として人々を助け、幸せや喜びを提供できる人間でありたいと思っています。