森吉 邦夫さん
なぜ司法書士を目指したか
私は現在、事務系の公務員として働いています。世間的には「安定している」などと言われることも多いのが事実ですが、昨今の政府の方針により、定年の引き上げや、定年退職者の再雇用が促進されるようになってからは、私が勤務する組織においても、60歳で仕事を終える人は少なくなりました。定年を迎える人のうち、多くの人が、同じ組織で定年を延長したり、また、他の企業への再就職を含めた再雇用制度を利用するなどして、60歳以降も何らかの形で仕事を続けようとしているように感じられます。
しかし、現状、少なくとも私の知る限りにおいては、定年退職する事務系の公務員のうち、他の一般企業に採用されたという方は非常に少数であり、かつ、その方々の大半は、公務とは別に、自分が持つ特技や才能を生かした形で就職されたという印象です。前職が事務系の公務員であるというキャリアは、少なくともそれだけでは、たとえその期間が長かろうとも、役職がどうであろうとも、転職市場においては価値が非常に乏しいのだということを認めなければならないと感じました。
当然、私も、いつまでも公務員でいるわけではありません。もしかすると定年まで公務員として勤めるかもしれませんが(合格した現在、状況は流動的ですが)、日本人の平均年齢は右肩上がりに上昇し、それに伴って60歳以後の生活設計はますます重要になっています。公務員退職後も、必要的に働かなければならないでしょう。
私は自問しました。
「この先、公務員という服を脱いだとしても、社会から必要とされる個人でありたい。」
「客観的にも主観的にも、生きていく上で確固とした柱を手に入れたい。」
「他人の意見に左右されず、自分の思うように、また、年齢に期限を設けることなく社会に貢献できるようになりたい。」
その答えが、司法書士試験に合格し、有資格者となることだったのです。
なぜクレアールを選んだか
私は地方在住であり、仕事を持っていることからも、通信制で学習できる予備校を選びました。現在では、ほとんどの予備校は通信制でのカリキュラムを備えていますが、クレアールは通信専門の予備校の老舗であることから、他の予備校と比べて、通信教育のノウハウに長けている部分があるのではないか思い選びました。
クレアールの講座には、充実した教材、丁寧な講義やサポート体制が備わっているにも関わらず、受講料が比較的安価なのであるのも、その長所の一つではないかと思います。
クレアールで学習して良かった点
長年、受験指導校として培ってきたノウハウと研究が詰まった教材群は、学習年数が進むにつれ、その秀逸さに感服していました。
また、講師の先生方の人柄も大変感じの良い方ばかりで、お会いしたことはありませんが勝手に親愛の念を抱いております。
受講料が他社と比べて安価であることは前述の通りですが、クレアールの教材を信じて勉強すれば、他社の模試でも合格判定を取れますし、もちろん本試験で合格できるクオリティです。
CROSS STUDYの進め方
受講開始2年目から実装されたCROSS STUDYは、
・(過去問を)一問一答形式で解ける
・スマホで出来るので、スキマ時間に活用できる(紙媒体を持ち歩く必要がない)
ため、大変重宝しました。
私は、CROSS STUDYが使えるようになった去年(注:2023年8月リリース)の段階では、択一式は既に基準点は到達しておりましたので、民法を1か月、不動産登記法を1か月、会社法と商業登記法を1か月、マイナー科目を1か月と、それぞれ1か月で1周し、1年で3周することを目標としました。
また、敢えて、その時講義を視聴している科目とは別の科目の問題を解くことで、なるべく試験科目全体としての知識レベルの保持ができるようにしました。
CROSS STUDYでは、「間違えた問題」や「見直したい問題」についてのみ、重要度を設定することにより再度当たることができるので、便利です。
私は、当初は3周とも、満遍なく全ての問題に触れることを目標にしていましたが、配点が倍増された記述式問題への時間を捻出したいとの考えから、CROSS STUDYの出題対象絞り込み機能を利用して、1周目は全ての問題に触れ、2周目は自分で重要度を設定した問題にのみ繰り返し当たり、3周目に再度全ての問題に触れて確認することにしたところ、大変効率が上がりました。
紙冊子の問題集との使い分け
もちろん、紙冊子での過去問を解く作業も、本試験形式(5肢択一)に慣れる意味では無くてはならないとも思いますが、学習経験者の方であれば、答練・模試で代用可能だと考えます。
私は、紙冊子で過去問に取り組むと、どうしても正解に絡まない肢について、慎重に検討しない癖がありました(当時でも1肢1肢を検討する重要性は頭では理解しているつもりでしたが、1日何問、1日何ページといったノルマを決めると、早く先に進んでその日の勉強から解放されたいといった類の誘惑が有ったためだと思われます)。
しかし、「本試験で過去に出題された」という、いわゆる「過去問」には、当然、正解に絡んでいない肢も含まれます。そして案外、過去問題集を曲がりなりにも何回か真面目に繰り返し、自力で正解が出せる問題が大半を占めるようになれば、(基準点付近までは)得点できるようになると思います。通常、この段階まで来ると、「過去問はできる」と考えてしまうかもしれません(私もそうでした)。ただし、そこから先の領域、つまり上乗せ点を取り合格点を目指す上では、正解に絡まない肢も確実に押さえておかなければなりません。
司法書士試験において「過去問ができる」との語意は、この領域のことを指すのだと、合格間際になって悟りました。同じ問題を精査しながら何度も取り組むのは精神的に辛いものがありますが、昭和や平成の初期からの問題をやらなければならないということではありません。クレアールの過去問題集に採用されている過去問について、確実に押さえてください。
私は今年、CROSS STUDYを利用させていただき、強制的に1肢1肢慎重に検討する機会を得たことで、択一式は、他社の模試を含め、答練・模試でも安定して30問近く得点することができるようになりました(昨年から比較すると、午前・午後とも3問程度は上がったと思います)。
過去問は何周もやって、過去問は正解できるのに、答練・模試では得点が頭打ちだ。という方は、ぜひ、CROSS STUDYで1肢1肢、慎重に正誤を検討してみてください。
私は最終的に、過去問のうち、9割程度(自分で解説できる状態で)正解していました。本試験での択一式の得点は、午前32問、午後32問で少し運もありましたが、CROSS STUDYをやり込めば、択一式は高得点が狙えると思います。
反対に、初学者の方は、いきなりCROSS STUDYの一問一答形式で過去問にチャレンジすることは、結構難易度が高いのではないかと思います。特に不動産登記法や、会社法・商業登記法は「何を書いているのか意味のわからない日本語が何行にもわたってズラズラと記載されている問題」が続くと思いますので、私が経験した下記の例を参考に、対策してみていただいてもいいのではないかと思います。
不動産登記法・会社法・商業登記法の学習について
1年目
講義を一通り真面目に受講した後、過去問題集を開いてみましたが、最初、問題の意味がわかりませんでした。民法はなんとなく意味だけは分かるだけに、結構な衝撃です。問題文を読むだけで大変です。解説を読んだら分かるのかな?と読んでみると、さらにわけが分からなくなりました。
そこで、講師の先生が示される参考過去問のみ、やってみてください(講義をしっかり聞いていれば、示される問題については、おそらく出来ます)。
初学者の方の第一目標は、ともかく、「全科目一周すること」ですので、分からなくとも気にせず進んでください。
どうしても気になる方は、紙の過去問題集で選択肢を判断しながら、消去法により組み合わせでなんとか正解にたどり着くような感覚で、正誤は気にせずとりあえず進んでください。
2年目
講義と並行して過去問題集を何周か繰り返しているうちに、なんとか正解できる問題が増えていきました。ただし、この段階では、内容面の理解は未だにできてなく、「過去問通りに聞かれれば、(理由はいまいち分からないけれども、正解か不正解なのかは判別)できる状態でしたので、過去問と同じ論点を問われても、問い方を変えられると解けませんでした。模試・答練では半分くらい正解できる程度でした。
民法の問題よりも、1問あたりにかかる時間は多くなると思いますが、ノルマなどを決めてなんとか進めてください(少しずつでも毎日読むことをお勧めします。そのうち慣れる時が来ます)。だんだんと見たことのある用語や論点が多くなり、理由はよくわからないけれど、正解肢が選べるようになると思います。
3年目
引き続き、講義と並行して過去問に取り組んでいきました。
過去問も毎日のように触れていると、見たことのある問題ばかりになるので読むスピードが上がり、一日に処理できる問題の量も増えてきます。
ある日、もはや日常と化していた勉強中、ふいに点と点が線でつながったような感覚を得ました!
この感覚が生じたときの感動は忘れられません。問題が問おうとしている論点が何かが分かるようになったのです。ようやく問題文を解読できるようになり、模試・答練でも8割得点できることも多くなりました。他の科目との兼ね合いもありますが、ようやく「合格」を意識できるようになってきたのもこの頃です。
しかし、同時に、過去の努力によって頭の中に蓄積された、膨大な判例や先例といった知識の混同が多く起こるようになり、模試・答練でも回によって得点が上下するなど、成績は不安定でした。
浅沼先生が講義中、「知識の混同が生じるようになるのは勉強が進んできた証拠で、ここを乗り越えれば得点が安定する」ということを仰っていたように記憶しています。知識が混同している論点に取り組む時は、自分の頭の中も混乱しているので嫌になることもあるかと思いますが、最後の試練と思って乗り越えてください。講義視聴を活用されると良いと思います。
クレアールの講師の先生は、私が混同していた論点を講義の中で取り上げてくださることが多く、知識の整理が大変はかどりました。受験生のことを知り尽くした、研究された講義だなと思います。
4年目
知識の混同が生じている論点については、自分である程度把握していたので、上記のように講義でその論点が触れられる時は、特に集中するなどして、自分の頭の中を整理していきました。
登記法は答練・模試でほぼ8~9割の得点で安定するようになり、得点源となりました。
最後に
司法書士試験は、簡単に合格できる試験ではありません。4年6か月、来る日も来る日も勉強し、4回目の受験で合格することができました。
合格の頂に達するためには、「途中どんなことが起ころうとも」「挑み続ける」意識を持ち続ける覚悟が必要なのではないかと思います。
決して合格が不可能であるわけでもありません。覚悟を持って勉強を続ければ、必ず合格の頂へと達することができる試験です。山頂への「合格ルート」は、クレアールが示してくれます。背中だって押してくれるでしょう。皆さんも、クレアールを信じて、合格の頂に上り詰めてください。必ず出来ます。
クレアールを選んで良かったです。本当にありがとうございました。