「『合格するためには、どのような作戦を立てるのが最も現実的か』を常に模索したことが合格目標年度より1年早く一発合格できた秘訣」夏目田 莉紗さん

夏目田 莉紗さん

目次

なぜ司法書士資格を目指したか

 私は子供の頃から、将来は「人に頼られる人間になりたい」という想いが強く、就職活動の軸として、「専門知識をもって人の相談に乗ることができる職に就きたい」と考えていました。その考えから、学生時代には弁護士を目指していましたが、当時祖母と二人暮らしという事情があり、法科大学院に進学するよりも公務員になった方が良いと考え直し、国税専門官として税務署で5年弱働きました。しかし、公務員という立場では、たとえ目の前の納税者の相談に乗ることはできても、その性質上一時的な対応しか許されず、私を頼ってくれる方の話を最後まで聞くことができずに、非常に歯痒い思いをすることがありました。また、国税専門官の長期研修を受ける中で、税務・会計の知識よりも、やはり私は「法律の知識を使う方が相対的に得意であり、何より好きである」と再確認できました。そこで、法律の知識を用いて広く人々の相談に乗ることができ、また会社等の組織に縛られる事無く自由な働き方を選択することができる、司法書士の資格を目指すことにしました。

なぜクレアールを選んだか

私がクレアールを選んだ主な理由は3つあります。

1つ目は、択一六法というクレアール独自の教材に強く惹かれたからです。司法書士試験が法律に関する資格試験である以上、「条文を読む」という行為は絶対に避けて通れません。択一六法を眺めることで、その法律全体についての体系的な理解が早まると考え、学習初期からなるべく触れるようにしていました。テキストや問題集と同時に、学習を始めてすぐの段階で択一六法を頂けることは、非常に大きなメリットであると考えます。私にとってはこれが、クレアールを選んだ最も大きな理由です。

2つ目は、教材が「テキスト」「択一六法」「過去問題集」「合格書式マニュアルシリーズ」という、非常にシンプルな構成でありながら過不足ない分量である点です。司法書士試験は試験範囲が膨大ですので、幾ら豊富な教材を手にしても、それを使いこなせなければ意味がありません。むしろ、消化しきれない量の教材を抱えるのはかえってストレスになり、継続的な学習の妨げになると思います。クレアールの教材はシンプルな構成だからこそ、迷いなく択一六法に知識を集約することができた点が大変良かったです。

3つ目は、紙教材とPDF教材をフルで利用できるにもかかわらず、価格が非常に安く、コストパフォーマンスが凄まじく良い点です。私は安心保証プランをつけて3年間受講できるコースを申し込みましたが、おそらく大手予備校の1年分の受講料の半分近い金額で済んだことは、専業受験生の身としては非常にありがたいことでした。また、お試し受験の受験料まで負担していただいたので、「ここまでサービスしてもらってるんだから頑張るぞ!」という気持ちになりました。私は飽き性で、問題集のみ市販のものも併用していましたが、クレアールの基本講座が安価で済む分、他に気になった市販の教材を、予算を気にせず随時購入することができたのも良かったです。

クレアールの良かった点(講師、教材、講義、答練、カリキュラム等)

 クレアールの講義は要点をギュッと絞っていることに加え、講師の方々の話し声も大変明瞭ですので、2倍速にしても何も問題なく視聴することができました。タイムパフォーマンスが良く、どんどん自分のペースで学習を進められる点が私に合っていました。パワーポイントも色数が抑えられていて非常に見やすく、何よりメモが取りやすくて良かったです。また、たとえば「共同抵当」「区分建物」「処分禁止の仮処分」「組織再編」等の、苦手分野の復習講義を定期的に視聴することで、記憶喚起に役立ちました。復習講義は5分程度と非常にコンパクトですが、最重要知識のみがしっかり印象に残る構成になっていて良かったです。それに加えて、過去問の1問ずつの解説講義も付属していますので、学習初期からガンガン過去問を解くことができて、問題演習への意欲が湧きました。

 クレアールのテキストや答練等の教材すべてに共通して言えることですが、ボリュームがありすぎず、また足りないということは勿論なく、満遍なく重要なポイントが網羅されていました。あまりに量が多いとやる気が削がれてしまうので、丁度良い分量で良かったです。試験範囲が膨大ですので、全てにおいてハイペースで回転させることができる教材であったのが魅力的でした。

答案練習の効果的な活用方法

 答練を受ける時は、臨場感を出すために、図書館で時間を計って受けるようにしていました。そして何より、必ず30分以上余らせるように、常にハイスピードで解く練習をしていました。短期合格を目指すためには、11科目のインプットについて準備万端な状態になってから答練を始めるのでは遅すぎると考えたので、学習が不十分でもとにかく答練が届いたタイミングですぐに解いて、早く解き終わった分、解説を読み込む時間を長く取るようにしていました。特に直前期の答練・模試は、当然ですが簡単な回が殆んどなく、択一・記述ともに心が折れそうになりましたが、しっかり解説まで読み込むことで、自信に繋げることができました。また、ハイスピードで答練を行っていたお陰で、本番の記述式で多少フリーズしてしまっても、無事に時間内に解答を終えることができました。

過去問題集の学習の進め方

 過去問は、その科目の講義を全て聴き終わってから一気に一冊解くようにしていました(会社法、商業登記法を除く…後述)。科目が増えていくと皿回し状態になりますが、自分の記憶の中で薄くなり始めたと感じたら、他の科目の講義と同時並行で解いていました(たとえば、不動産登記法の講義を聴きながら、民法の過去問を一気に解いていました)。科目ごとの周回数は、民法・不動産登記法・会社法・商業登記法→8~10周、民訴系→5~7周、その他のマイナー科目→3~4周でした。ちなみに、市販の問題集も併用していたので、その他の教材の延べ周回数を加えますと、民法・不動産登記法・会社法・商業登記法→20周、民訴系→15周、その他のマイナー科目→10周程度は少なくとも解いたかと思います。択一の学習中心でしたので、記述については、クレアールの記述式ハイパートレーニング、市販の過去問題集や問題集をそれぞれ1、2周程度解いて、答練や模試に臨んでいました。雛形を書く練習はほぼ行いませんでした。

学習初期は復習にあまり力を入れず、できなくても気にせずにどんどん問題集を回していましたが、2月3月になってもできるようにならない問題や正答率の悪い分野については、随時テキストを読み込み、択一六法に知識を集約していました。模試や答練で間違った問題やまぐれで正解した問題についても、同様の対応をしていました。

お試し受験について

 お試し受験によって、試験会場や他の受験生の雰囲気を知り、実際の試験時間や試験問題のページ数の厚さを体感できることは貴重だと思いました。自分の本番の年になると、例えば持ち込める文房具は何か、朝・昼ごはんは何が良いか、どのような服装が適当か等本当に細かいところまで気になってきてしまうので、たとえ一年も前であったとしても、一度本試験の空気を味わっておくのは、経験値を積んで心の余裕を持つために有効だと思います。

苦手科目の克服法

 会社法の講義の配信開始時期に宅建士試験を受験しており、カリキュラムの消化がずれ込んでしまったことと相俟って、会社法と商業登記法が非常に苦手でした。あまりに定着しないので、年末年始の時期は思い切ってこの2科目に絞って学習しました。重要な知識に慣れるまでは、会社法の問題を解いたら、必ずその会社法に対応する分野の商業登記法の問題を解くようにしていました。横断的に学習するようになったら正答率が安定してきたので、会社法・商業登記法それぞれ特有の分野に手を広げられるようになりました。結局過去問題集を1冊通しで解けるようになったのは2月の終わり頃で、その頃は言葉に言い表せないほどの焦りを感じていました。この2科目は範囲が広い上に暗記の要素が強く、広く浅く学習してもすぐに知識が抜けてしまうので、重複する分野を重点的に押さえてから全体を概観した方が良いと感じました。

午後の部の解く順番・時間配分について

 かなり少数派だと思いますが、私はマイナー科目択一→商業登記法択一→商業登記記述→不動産登記法択一→不動産登記記述の順番で解くようにしていました。これは答練でも、模試でも、本試験でも一度も揺るぎませんでした。時間配分としては、マイナー科目・商業登記法択一までで25分、商業登記記述までで1時間20分、不動産登記法択一までで1時間45分、残り時間で不動産登記記述と全体の見直しを行うことを目安としていました。

 理由としては、登記法の択一と記述を纏めて解いた方が効率が良いと考えたのと、不動産登記記述が一番苦手でしたので、もし難問が出題されて動揺したときにその影響を減らすために最後に解くようにしていました。しかし、今年の本試験は商業登記法が難問でしたので、私の解く順番は一番相性が悪かったのではないかなと思います。

モチベーションの維持・気分転換の方法

 私は周りを気にせずにマイペースにどんどん勉強を進めたい性格でしたので、通信教育での学習は性分に合っていました。しかし孤独であることは辛かったので、勉強した内容を共有できる話し相手を求めて、SNSで勉強アカウントを開設して自由に投稿していました。同じ受験生の方と繋がることもありますが、特に前年度以前の合格者の方や実務家の方とやり取りして励まして頂くことが度々あり、その都度前向きな気持ちを持ち直していました。実際にお会いしたことはありませんが、繋がってくださった方々には深く感謝しています。

 また、週に2日学習塾でアルバイトをしていまして、生徒達や他のスタッフと関わるのがとても良いリフレッシュになっていました。学習塾という環境から、資格試験受験への理解が非常に深く、試験直前は一カ月間お休みを頂くことができ、大変ありがたかったです。とても雰囲気の良い職場で、受験のことはスタッフ全員に伝えていたので、応援に応えることができてほっとしています。

合格目標年度より早く一発合格できた秘訣

 短期合格のためには、「今の自分の実力で合格するためには、どのような作戦を立てるのが最も現実的か」を常に模索することが肝心だと思います。私は実体法の択一が得意で、不動産登記の記述が苦手でしたので、最短で合格するためには「午前択一で30問以上取り、商業登記記述で30点以上取る。そうすれば午後択一は基準点のちょっと上、不動産登記記述は半分もできなくでも合格できるかもしれない。」と考えていました。この作戦は、残念ながら令和4年度の本試験には全く通用しませんでしたが、そうなったときに「問題が悪いから今年はもう駄目だ…」と諦めるのではなく、「何か崩壊している分野があっても、他で守り切れれば合格可能性はある!」と考え直して、最後まで粘りました。実際のところ、私は本番2週間前の超直前期に「記述は出たとこ勝負」と開き直り、確実に取れる択一の復習に時間を全て振り分けていました。その結果、模試や答練でも取ったことのない最高点を取り、択一で逃げ切ることができました。勿論運の良さもありましたが、それと同時に合格に対する“本試験会場での執念”も凄まじかったと思います。

来年度の合格を目指す方へのメッセージ

 どのような勉強内容でも、初見の1周目を終わらせるのが何よりもキツイと思います。特に司法書士試験は、「民法」「不動産登記法」「会社法・商業登記法」のとても重いメイン科目に加え、年明けから加わる「民事訴訟法等」もなかなかのボリュームですので、どの段階においても挫折する方が少なくないと想像します。ですが、その挫折しそうな気持ちは合格者であっても同じです。結局勝負が決まるのは、本試験の当日というタイミングで、重要知識を確実に頭に入れて会場に持っていけるかどうかだと考えます。私は、正答率や成績を気にする割には、危機感に襲われて平常心を乱す方が点数に響くタイプでしたので、「自分を追い込み過ぎず、しかし弛み過ぎず」を心がけていました。とにかく勉強を継続することが大切で、学習が進めばだんだんと問題集を周回するスピードがアップしていきます。地道な努力が一番の近道ですので、あとは合格するまでやるかどうかだと思います。

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