「どんな状況でも、気持ちを強く持って諦めないことが大切」 大澤 千夏さん

大澤 千夏さん

目次

1.はじめに

大学時代に、司法書士になった女性の体験記を読み、独立開業に興味を持ったことが司法書士を目指したきっかけです。大学卒業後は司法書士とは別に興味があった安定した事務系の仕事に就職しましたが、司法書士への憧れが消えず、仕事を辞めて勉強に専念することにしました。

仕事を辞めれば、勉強時間を多く確保できると軽く考えていましたが、いざ仕事を辞めて収入がなくなると、不安に駆られました。仕事を辞めたことで、直前期に勉強に時間をたくさん使えるというメリットもありましたが、私にとってデメリットの方が多かったかもしれません。生活の急激な変化に気持ちがついていかず、仕事中心から勉強中心の生活に頭を切り替えられるようになるまでに無駄な時間を使ってしまったと思います。単純に使える時間が増えれば効果も上がると思っていましたが、時間が増えても集中して勉強ができなければ効果的ではありません。無収入の焦りや不安が邪魔をして集中力がそがれ、学習効果は低かったと思います。生活やお金のこと等、安定した会社にいた時には自由にできていたことができなくなり、友人と遊んでいても試験やお金のことが頭から離れず、ストレスが溜まりました。

しかし仕事を辞めて二年目には勉強のペースを掴んできて気持ちが落ち着いてきたこともあり、今の自分の状況をスポーツ選手と同じだと思うようになりました。スポンサーのつかないスポーツ選手のように、いつか結果を出すため毎日練習をしていると思うと、もっと過酷な状況で頑張っている人や同じように違う目標に向けて努力している仲間がいると思えて心強かったです。スポーツ選手と違い、体を故障したりしても受験できる上、点数を取れれば報われる試験だと思うと不安感は薄れました。

2.なぜクレアールを選んだか

もともと基本的なことについてはある程度学習していたため、中級コースを探していました。仕事を辞めて一年目の試験は、択一、記述共に基準点には届きましたが総合点には足りませんでした。択一では、知識として知っているはずの選択肢を切れず間違いが多く基準点から上乗せ点を稼ぐことができませんでした。記述は自分なりによくできたと思っていましたが、後日確認すると枠ズレはなかったものの、添付書面に抜けや間違いが多かったため、思ったより得点を伸ばせませんでした。

結果を分析すると、択一では暗記している項目にも関わらず、問題が解けていないのは、条文知識がないこと、少し表現が変わるとすぐに間違えてしまうのは理解度が低いからだと考えました。記述では、不動産登記は特徴的な添付書面を見落としていました。商業登記は株主総会の議決要件がうろ覚えで登記できるか検討するのに時間をかけすぎてしまいました。とにかく数をこなせば書けるようになると考え、量を重視して勉強していましたが、基本的なことがきちんと身についてないのだと気がつきました。添付書面は法改正のあったところを分からないまま調べもせず、半ば勘で書いていたことも問題点でした。

自力で改善できる自信がなかったので、いくつかの予備校のテキストを取り寄せ自分に合ったテキストを探しました。その中でクレアールの択一六法は、条文と知識が一体となっていて、間違えやすいポイントが分かりやすく、自分に足りないところを補えるテキストだと思いました。

学習を進めていくうちに、誤って覚えていた点や混同してしまっていたところが見つかり、択一の正答率が上がりました。記述もきちんと頭の中を整理することができました。書式講義では、基本の書式の中に引っかかりやすい論点が入っているので、見落としも減らすことができました。

また、以前、独学で行政書士試験を受けた際に、法改正に気がつかず本番で後悔したことがありました。来年(2020年度)の司法書士試験では民法改正により、出題内容が大きく変更されることが懸念でした。改正される内容を自分で調べる場合、多くの時間を割いてしまうことになります。安心保証プランをつけることで、改正後の民法に対応できるテキストを使い、効率的に正確な情報を得られるという安心感がありました。

3.合格した年の勉強方法

合格した年の目標は苦手を潰して全体の点数を上げることでした。この一年は、失敗と向き合って原因を精査すること、結果を分析することを特に大事にしていました。

無収入2年目に突入して追い詰められて、やっと目を背けていた失敗に向き合う事ができました。模試の結果を見るまで意識していませんでしたが、全体の正答率の高い問題でも間違っている問題がいくつもありました。原因は端的に言って、苦手な範囲を避け続けたことでした。難易度に関係なく、なんとなく見たくないとか、どうしてもやりたくない科目や範囲がありました。嫌々やっていると効率が悪いことには気がついていましたが、急に好きにはなれないので、まず苦手意識を克服することから始めました。どんなに苦手なものでも毎日見ていると仕方なく覚えてしまうように、毎日苦手な範囲を見ることにしました。朝起きてすぐの頭が働かないうちに、毎日苦手な部分を読んでいました。一週間くらい同じページを繰り返し読んでいると、思い出すことに苦労しなくなってくるので問題も解けるようになり、あまり苦手ではなくなりました。

勉強のスケジュールは、かなり大雑把に立てていました。3か月ごとにどこまで進めるのかを決めて、毎月1日に今月はどこまで進めるかを決めていました。また必ず毎月、15日ごろと月末には答案練習の問題や過去問を使い、学習効果が出ているか確認していました。具体的には、年末まで不動産登記法、商業登記法、民法の問題を解いてテキストを読むのを繰り返しました。並行して、映像講義を聞きインプットしました。年明けからは記述対策を加えました。4月からは予定を決めずに苦手対策と記述対策に使いました。勉強を始めたばかりのころは時間を決めてやっていましたが、時間より成果に集中したいと思い、時間を決めるのではなく覚えた量で計画を再考しました。

自分の中で焦る気持ちが大きかったので、計画は目標進捗から割り出した最低限の量で作りました。1日の学習計画はその日の朝に決めていました。決めた量が終ると、気持ちに余裕ができ、その日に学習した内容の復習と追加してやっておいた方がいい課題 を冷静に判断できたからです。あえて少なめにすることで単純なようですが毎日「計画以上に頑張った」と思え、達成感を得てモチベーションを維持できました。

毎月中旬頃と月末に行う答案練習や過去問で忘れているところや苦手なところ、得点につがっていない範囲や科目を割り出し、細かく月ごとの内容を追加変更していました。毎月頭に立てる1ヶ月の計画は前月末の答案練習の結果の反省を入れつつ大まかに立て、中旬頃に計画通りに進んでいるか確かめるというサイクルで回していました。通学費用削減のために選んだ通信講座でしたが、細かい変更を自分のペースでできることや、時間をかける部分を自分で選べたことが結果的に自分の学習法に合っていたと思います。

焦りや不安で勉強が手につかないときには、一年目の反省を活かして軽い運動をするか家事をするようにしていました。仕事を辞めて一年目には、体調を崩すことが多かったのですが、寝込んでしまうと何日も無駄になってしまい非効率だと思いました。勉強に専念するスタイルだと、ついつい外に出ない日が続き、生活が不規則になり季節感もなくなりがちになるので、暑さ寒さに対応できなくなり健康がおろそかになります。家事は段取りを考えることで気分転換ができます。軽い運動は自律神経を整え、本番で集中し続けるための体力維持ができるので、大事だと実感しました。

4.試験当日

午前の部の試験は、午後の部の問題と比較して時間に余裕があるため、集中力を温存するために一問一問に時間をかけて解くという意識で臨みました。

午後の部の試験は、例年に比べ解きにくい言い回しの問題が出題されました。択一を解く際に、一問につき一分半で解く練習はしていましたが、今年の択一では全く見覚えのない問題で粘ってしまい時間を浪費してしまいました。択一の一問に拘るよりも、記述で点数になるものを書いた方がいいので、時には切り捨てる勇気も必要だと思います。不動産登記の記述では、直前まで勉強したところが出題されたにも関わらず上手く対応できず、商業登記の記述を解く時間がほとんど無くなってしまいました。この経験から、記述式については、時間がない時こそ解きやすい問題から解くことを徹底した方がいいと思います。私は不動産登記の記述から解きましたが、合格年度の試験では商業登記の記述の方が解きやすく、先に解いていれば点数になったかもしれないと気がついた時には残り時間がほとんどありませんでした。見直す時間も取れませんでしたが、最後の3分だけでも見直しに使えれば、ケアレスミスをなくせると思います。

5.受験生の方へ

私が司法書士試験に合格したのは、最後まで諦めなかったからです。
合格した年の試験直前期、家庭の状況の変化によりお金がなくなり、仕事をしていた時より勉強時間が取れなくなりました。気持ちの動揺も激しくて集中することが難しく、耳鳴りに悩まされました。当然、直前期に受けた模試の結果も悪く、順位は下から数えた方が早く、少なめに立てた計画さえ終わらなくなりました。今年は受験を諦めようと何度も思いました。試験当日には、午前は出来たはずの問題で焦って読み間違いをし、最悪の気分で昼休みを過ごしました。午後は想定していたより択一に時間を取ってしまい、記述を書き始めた段階で手が震えて、吐き気がしました。記述は不動産登記の登録免許税の計算に時間を割きすぎてしまい、商業登記を検討する時間はほぼ取れませんでした。それでも、最後の一秒まで手を動かし、不安や諦めたい気持ちを考えないようにしました。結果、もし最後に書いた記号の一つでも書いていなかったら合格していませんでした。

人それぞれ受験勉強や試験本番のコンデション、日常生活や仕事にも不測の事態はつきものだと思いますが、いつどんな状況に陥っても、気持ちを強く持って絶対に諦めないことが一番大切だと思います。

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