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『確かな合格戦略を立てた事が合格の秘訣』 齊藤 潔さん

はじめに

大学卒業後、サラリーマンをしていましたが、仕事上、司法書士の先生方とお話する機会があり、専門家として自信を持って働く姿に憧れて司法書士を目指すこととしました。そこで、無謀にも退職して受験に専念することとし、最初から受験のプロである予備校を使うのが近道と考えました。
クレアールを選んだのは、

1 何度も聞き直しができる通信講座であること、
2 六法以外必要なものが全て教材に含まれており、なおかつ他校より安かったこと、

が気に入ったからです。

1年目の学習

思い切って飛び込んだ受験生活にも関わらず、勉強にはなかなか身が入らず、送られてくる講義を聞くのがやっとで、過去問にまでは手が回りませんでした。

日々の勉強方法としては、講義を聴いて、憶えるべきものをカード(H75、W125mmのもの)にしていきました。カードを作るまではよかったのですが、それを復習したり、憶えたりすることを怠っていましたので、直前期に見直しても何のことかさっぱりわからなくなったものが多くありました。

また、答練も受けましたが、過去問をやっていなかったので、点数は低かったです。さらに悪いことに、答練の復習に何日も時間をかけてしまいました。手をつけていない過去問をやるよりも一度解いた答練の復習をすべきと考えてしまったのですが、過去問をこなしていない段階での答練の復習は、とても効率が悪く、点数も伸びませんでした。

直前期になって、ようやく過去問に取り組み始め、午前科目については、準備できたものの、不登法、商登法にあまり手が回らず、試験本番を迎えてしまいました。本試験の結果は、午前31問、午後25問(足切り)でした。記述式は壊滅的でした。

1年目の反省点

この年で最も反省すべきだったのは、「どうせ今年は無理だろう」と心の底で思ってしまっていたことです。答練や模試の出来が悪いと、ついつい今年は駄目なんじゃないか、と弱気になってしまいますが、答練・模試では一度も結果が出ていないのに、本試験だけ結果を出して受かっていく人も毎年います。最後の最後まで講師に言われたとおりの勉強を続けることができた人が1年目で受かる人なんだろうと思います。
なお、1年目のときは、次の年になれば知識も安定して楽になるのではないかと思ってしまいがちです。確かに点数は伸びますが、精神的には年を重ねる毎にきつくなります。

2年目の学習

試験終了後3週間ほど断食道場に行きました。社会人生活・受験生活のストレスや脂肪を1回リセットしたかったからです。余談ですが、直前期の勉強中から、試験後の予定(旅行など)を入れておくといいです。日々の勉強の励みになりますし、試験が終わって燃え尽きてからでは行動する意欲が低下してしまうからです。
まずは、基礎講座(民法・不動産登記法)の講義を1日1単元、再生スピードを上げて受講しなおしました。その後、テキストをざっと読んで知識を確認して、すかさず過去問をやりました。講義、テキスト、過去問を集中的にやることができたので、知識が定着しました。年明けの答練までに主要4科目の基礎知識を確認し、過去問をやりました。
この頃は、朝に記述式の基本問題を解き、午前中に基礎講座を聞き直し、午後に復習をしました。
情報の集約については、六法を使いました。午前科目と民事訴訟法は判例六法(有斐閣)、午後科目は詳細登記六法(東京法経学院出版)を使いました。いずれも、科目毎に切り離して、必要な部分だけを持ち歩きました。使い方は、過去問で出題された条文のキーワードに赤もしくは緑の線を引きました。原則となる部分を赤、例外となる部分を緑にしていました。判例については、出題されたものにマーカーでしるしをつけました。そして、過去問を解く上で必要となるポイントを六法の余白に書き込みました。条文の素読はしませんでしたが、ことあるごとに参照していました。
また、勉強するときは、クレアールで計算用紙(コピー用紙の裏面再利用)をもらって、書きながら憶えるようにしました。書いたものはすぐには捨てずに、寝る前や次の日の勉強の最初に見返しました。
年明けからは答練を受講しました。答練では、過去問の範囲の知識がちゃんと備わっているかを重視しました。
答練が始まるまでに、主要4科目を仕上げ、3月の模試までにマイナー科目を仕上げました。基本的には、民法→不動産登記法→商法→商業登記法のように順番にやりましたが、答練を受けていたので、以前にやった科目の知識をある程度維持することができました。
また、疲れたときの気分転換は、電車の中で『厳選肢別チェック集(現1,000問ノックチェックテスト)』をやりました。問題を解いて間違ったものにはA、正解はしたものの理由が正確でないものはB、完全にできたものにはレ点をつけました。答練の前にAの肢だけでも見直すと効果的です。この『厳選肢別チェック集』はあまりやってない人が多いようですが、重要な過去問がよくまとまっていますので、初学者の段階から、徹底的にやることをお勧めします。特に、民法は問題数も多く、要求される正答率も高いので、徹底的に潰しておくと後で楽になります。
記述式については、各科目とも基本的な問題を1日1問解くようにしていました。
3月の公開模試までには、各科目の過去問をこなすことができ、択一はほぼ確実に合格点を取れる実力がついていました。記述は何回かに1回は大きなミスを犯すなど、不安定さがありましたが、答練では概ね好成績でした。
4月に入ると、かなりモチベーションが下がりました。勉強不足の不安が解消される一方で、一発勝負の本試験が近づいてくる不安が高まってくることによるものだったと思います。苦しいのは皆同じで、踏み止まったものが合格するんだ、と自分を奮い起こしてなんとか勉強を続けました。
6月には、多くの人がやるように、過去問を通年で解きました。会社法の過去問は一応やりましたが、新法対策としては不十分なので、別途問題集を解きました。
この年の本試験では、択一は午前33問、午後29問で十分得点できたのですが、不動産登記の記述式が0点であったため、記述式の足切りに遭いました。やったことのない別紙形式の問題が出題され(しかも別紙が大量)、前提登記を飛ばしてしまったため、解答欄が全てずれてしまったためです。このパターンで、例年よりも多くの択一突破者が記述で足切りに遭いました。

2年目の反省点

答練・模試では見たことない別紙形式ですが、平成7年までは出題されていたもので、古い過去問をやっていれば対応できたものと思います。とはいえ、当時、記述式の過去問をやっていた受験生はほとんどいなかったので、別紙形式を解いたことがなくても合格した人々は大勢いました。
運が悪かったといえば、それまでですが、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」といいます。そこで、何が敗因であったのかについて考えました。
結論としては、以下のとおりです。

1 資格試験では常識である過去問分析を記述式についてはやっていなかったこと。また、本試験の採点方法についてのイメージが出来ていなかったこと。

2 例年と違う形式で、問題量も多かったので、かなり混乱したこと。
3 問題に圧倒されて、今年は駄目かも、と心のどこかで思ってしまい、最後の最後まで喰らいついていく姿勢に欠けたこと。

この試験では、合格してもおかしくないレベルにある受験生は2,000から3,000人程度いると言われています。その中で、運・不運ではなく、確実に合格を勝ち取るためにはどうしたらいいかということを真剣に考えました。
北京オリンピックの水泳チームに助言をしたという林成之氏の著書「<勝負脳>の鍛え方」を参考にして、次の年の本試験で勝つために何をするのかの戦略を考えました。考えたことはA6の受験用ノートに詳しく書き込みました。考えた内容の概略は後掲のとおりです。

3年目の学習

本試験から、合格発表までは、ほとんど勉強することができませんでした。合格している可能性もあると思っていたので、不合格であったことは少なからずショックではありましたが、しっかり反省し、対策を立てた上で、勉強を再開しました。
択一はほぼ前年と同様にやりました。過去問題集には、関連情報や疑問点、ちょっとしたまとめなど、どんどん余白に書き込んでいました。クレアールの過去問題集は、B5サイズなのでいっぱい書き込みができることが長所です。
記述式の対策としては、問題を解いた後に、間違ったところとその対策を詳細にA6のノートに書いていました。そして、直前期にはそれらをまとめて公式集のようなものを作りました。例えば、商業登記であれば、冒頭の問題文でチェックすること、登記記録を見てチェックすること、種類株式が出たらチェックすること、新株予約権が出たらチェックすることなどを予め決めておきました。本試験レベルの記述式の問題を合格者にもらったり、新たに講座を申し込んだりして集めた上で、1日各1問程度答案構成をしました。また、記述式の過去問題集を買って、1日1問程度解きました。本試験の問題の粗さや、くせなどについて知っておくことはとても重要なことだと思います。また、毎年出題ミスと思われる点があるということも認識しておくべきです。

最終年はほとんど引き篭もっていましたので、精神的にはかなりきついものがありました。精神状態の安定のために、ウォーキングをしたり、瞑想をしたりしました。瞑想は、CD付の本(後掲)がお勧めです。
直前期には、前年同様、過去問を通年で解きました。この年もやはりモチベーションが上がらなかったので、ファーストフードやファミレスに早朝から出かけて勉強したりしました。

本試験日

模試でリハーサルを繰り返していたとはいえ、本試験日はやはり緊張しました。午前の部は、慎重になりすぎたのか、今までで一番難しく感じ、時間もかかりました。解く順番は、親族・相続、刑法、商法、民法、憲法の順で、面倒なものは後回しにしました。昼休みは、予め決めていた通り、ヘッドフォンで音楽を聞きながら、外で食事を少量とり、教室に戻って少し眠りました。午後の部は、記述式の答案用紙が配られた時点で、情報収集しました。まず、不動産登記の添付書面が一部選択式になっていたので、大幅に解答時間が短縮できると思いました。商業登記は、登記できない事項を書く欄がなくなっていることに気づきました。これらにより、記述式の負担がいつもより少ないと思いました。試験開始と共に、択一式をざっと見て特に例年と変わりないことを確認した後、不動産登記は記載量が少ないので、「最後に時間が少なくなってもなんとかなる」と思い、商業登記から開始しました。種類株式や新株予約権の内容が見た事も無い難しいものでしたが、このような揺さぶりがあることは想定してあったので、気持ちで負けないように心がけることができました。構成に40分程度かかり、解答し終えるまでに1時間10分かかりました。次に択一を解きました。時間が押しているので、わからないものに無駄な時間を使わないことに注意しました。解答時間は約50分程度だったと思います。商業登記、民訴等、不登法各論(20番以降)、不登法総論(12番以降)の順で解きました。いつも以上に早く解いたので、結果的には不登法で簡単な問題を2問も落としていました。マークチェックを終えて、不動産登記を始めた時点で、1時間近く残していたので、精神的に落ち着くことができました。とはいえ、あまり習熟していない事例設定だったので、添付書面の細かいミスを重ねました。ただ、添付書面は所詮1点か0.5点なので、結果的には大した失点にはなっていませんでした。不動産登記を終えた時点で、まだ10分ちょっと時間が余りましたので、商業登記の計算問題のチェックをしました。ここで、計算を誤っていることに気づき、慎重に解答を修正しました。その後、添付書面のチェックをし、正しいものを1通書き足したものの、余計なものも1通書き足してしまいました。
結果は、午前105点(35問)、午後90点(30問)、不登27.5点、商登31.5点で、合計254点でした。合格点が221点でしたので、蓋を開けて見れば余裕の点数でしたが、試験から発表までの約3ヶ月は落ち着きませんでした。特に、今年は記述式の商業登記の解答欄が裏も表も同じ形式だったので、逆に書いていないかが気がかりでした。

最後に

3年半もの間、専業で受験生活を続けられたのも、家族や、仲間、予備校のスタッフの方々のおかげです。感謝いたします。
厳しい試験ですが、やるからには、本試験の午後の部の終了の合図があるまで、絶対合格するという気持ちを貫いてください。

 

付録:合格した年の年初に考えていたことの概略です。

本試験合格戦略 目的:司法書士試験合格 目標:午前択一で30問、午後択一で30問正解し、記述で基準点突破する。午前択一の作戦→いかにミスを無くすか【ミスを減らす解答手順】・最初は頭の回転が鈍いので、親族・相続など、簡単なものから解く。・まずは、知っているもの、知らないものの区別をし、知っているものだけで解く。くれぐれも知らない肢の正誤判断を先にしないこと。・最後に、問題と正誤逆の解答をしていないか、マークミスをしていないか確認する。【脳の疲労を防ぐ】・脳を疲れさせそうな問題はパスし、頭がクリアーな状態で最後の問題まで目を通す。・検討する肢の数を最小にして、脳の疲労を防ぐ。残った肢は全問解答してから検討する。午後択一の作戦→正確さと速さのバランス?・基本的には午前と同じ手順で解いていく。・記述式も含めて解く順序は周到に考えておく。【十分な時間、クリアーな頭で記述式を解くために】・60分で解く。・パスした問題、未検討の肢は記述を解いて時間があったら戻ってきて解く。・全問検討できないこともありうることを覚悟しておく。午後記述の作戦→大ミスをしない・しっかり答案構成をする。・添付書面を書くのは時間がかかり、脳も疲労するので、後回しにする。・日頃の練習と同じ手順で解く。・あせって早く読もうとすると余計時間がかかるので注意。・トイレに行く時間を設ける。

【受験生活に役立った書籍】<勝負脳>の鍛え方(林成之、講談社現代新書)脳を生かす勉強法(茂木健一郎、PHP研究所)Yogaではじめる瞑想入門(綿本彰、新星出版社)シンプルメディテーション(綿本彰、新星出版社)

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