『合格の秘訣は、左手にスケジュール、右手に択一六法』 尾澤 辰弥さん

『合格の秘訣は、左手にスケジュール、右手に択一六法』

 尾澤 辰弥さん

「私が司法書士を目指した理由」

私は高校生の頃から弁護士になりたいという夢があり、大学は法学部に進学しました。しかし司法制度改革により、新司法試験を受験するには原則として法科大学院への進学が必要となり、また3回の受験制限が設けられたことから、金銭的な問題や合格できなかった場合のリスクを考えるようになり、弁護士になりたいという意欲がなくなっていました。そんな時に大学の同じゼミの先輩が司法書士に合格され、司法書士の将来の可能性や独立開業までが比較的早いことなどを聞き自分も司法書士という法律家になりたいと思い、目指すことにしました。

「クレアールの良かった点」

クレアールの良かった点はなんと言っても択一六法です。司法書士用の択一六法が市販されていないなか、クレアールでしか手に入れることが出来ない択一六法はとても魅力的でした。条文ごとに関連性のある判例、そして似て非なるものとの比較の図、読みにくい条文の超訳などが載っており、条文の理解度が合格に直結する司法書士試験ではとても役に立ちました。そして過去問、書式集などの料金が追加で必要のないオールインワンプライスも金銭的な心配なく勉強できる点で良かったです。

「昨年までの失敗の原因」

初受験

私が勉強を始めたのは大学2年生の終わり頃でした。当時は野球部に入っていたこともあり勉強時間の確保がなかなか難しい状況にありました。しかし復習をする時間が確保できず、授業でやった部分のテキストの復習のみ行い、過去問に取り掛かることができませんでした。結局過去問に取り掛かったのは全ての授業を受け終わったあとになってしまいました。つまりアウトプットの時間が圧倒的に欠けていました。その結果、大学4年時の初受験では午前の足きり点は越えたものの、午後の択一は足きりにかかり、記述に関しては全く歯が立ちませんでした。

2年目

アウトプットが足りていないという意識から答練パックのみの受講に決めました。過去問を解き、解説をじっくり読む。条文は過去問で間違えた該当条文のみ引いて読むというスタイルを貫いていました。過去問はほぼ完璧という状態で自信を持って望んだ答練でしたが民法の得点が安定しませんでした。この原因は、過去問のような聞き方なら答えられるが、少し出題方法が変わると途端にミスをすることです。この状態が本試験まで続き、2回目の受験では全ての足きり点は越えたものの、民法のミスにより午前の択一で上乗せできなかった分、総合合格点に足りずに落ちました。

『合格に向けての学習法』

1年目、2年目の失敗から勉強方法を考え直しました。十分な知識がないのにインプットをあまりせずアウトプットばかりしても点数が伸びないこと、過去問頼りの勉強はある程度まで点数は取れるが、合格点まで達することはできないことに気づきました。

そして自分なりにあみ出した各科目の勉強方法がありますので以下に書きたいと思います。

「科目別学習方法」

民法

民法が過去問だけでは通用しないのは2年目の失敗で書いたとおりです。民法は単なる条文知識では解けません。関連判例が重要です。そこで目をつけたのが、条文と判例がまとめて載っている択一六法です。そもそも試験問題のもととなるのは条文と判例です。そこから問題が作成されるわけですから、過去問をやるよりも圧倒的に効率がいいわけです。そして試験問題を条文や判例といった、もとの形で勉強するわけですから上記の過去問勉強法による弊害もありませんでした。この結果、答練の結果は安定し、今年度の本試験の民法は満点をとることができました。とにかく択一六法を読み込む、それしかしていません。因みに3年目は民法の過去問を一切使いませんでした。

不動産登記

択一六法の読み込みと過去問です。民法と違い、過去問がそのままの形で出題されることが多いので過去問も回しました。

会社法、商業登記法

この2つの科目は1年目から過去問は1度もやりませんでした。会社法は早い段階でビルドアップ問題集を解いて、だいたいが解けるようになった後は、ひたすら択一六法で条文の読み込みをしました。商業登記は記述の勉強と会社法の勉強をしていれば必然的に出来るようになりましたので、択一対策は特別行いませんでした。

憲法

推論問題が得意だったため、ほとんど勉強しませんでしたが、直前気は過去問を解き、テキストに載っている判例に目を通しました。

刑法

この科目は判例知識があるかないかで決まってくるので、テキストに載っている判例を徹底的に暗記し、過去問は2度回しました。

民訴等

最初はテキストで訴訟法の流れをつかみながら過去問を解き、理解が進んだ段階で条文の通読をしました。この科目は他と違い、個々の条文が意味をなしているというよりかは、全ての条文で1つの手続きの流れを形成しているので、今自分が勉強しているのが手続きのどの部分に当たるのかを常に意識することが重要だと思います。また、マイナーと言いつつも7問出題されるので、マイナー科目の中では時間を多めに割きました。

供託法

とにかく過去問を回しました。この科目は過去問知識が繰り返し問われるからです。

司法書士法

単純に暗記することが多く、忘れやすい科目なので、授業を受けた後は試験1ヶ月前の6月まで1度も勉強しませんでした。6月に司法書士法だけを勉強する日を1日設けて、その1日のみで知識を詰め込みました。因みにこの方法ですと4〜6月に行われる答練に間に合わないため1問落としますが、本試験で正解できればいいわけで、答練でいい点をとることが目的ではないので全く気にしませんでした。

全科目について言えることですが、特に2年目以降の方は、過去問を勉強すれば合格できるという意識から脱却することが重要だと思います。

記述式

不動産登記、商業登記ともにクレアールの書式マニュアルを何度も回しました。年内に全ての書式を暗記しました。そして本試験までに覚えたものが抜けてしまわないように毎日の勉強の最後に30分ずつマニュアルを見ていました。暗記方法は、紙に書かず、上から手で隠しながら声に出して行っていました。書くと時間がかかり、非効率的だと思ったからです。そしてこの基本的書式の習得の時間とは別に過去の答練の書式問題を毎日、不動産登記1問、商業登記1問ずつ解き実践的な記述式の訓練もしました。これは実際に答案構成をして、解答も書くという方式をとりました。これにより、よりわかりやすい答案構成方法を発見でき、実際に自分が書くスピードを把握することで、答案構成にかけていい時間と、答案を書くのにかける時間をきっちり分けることが出来ました。

「超直前期の勉強方法」

5、6月の所謂超直前期は1日おきに今までの答練を解き直ました。この時期までに択一六法によるインプットで蓄えた知識でどこまで得点できるのかを試しました。私自身この段階で、答練で33問以上をコンスタントに得点できるようになったため今までの択一六法による勉強法が間違ってなかったのだと自身につながり、勉強に弾みがつきました。そして答練を行わない日は次の答練のために勉強したいことや、自分のなかで不安が残っている箇所の勉強をしました。

「本試験当日」

前日は早めに布団に入るも、緊張のあまり一睡も出来ず迎えた試験当日。しかしこれが逆にプラスに働きました。去年までは前日は良く眠れ、普通のテンションで試験に挑み、本試験独特の緊張感に飲まれていました。しかし徹夜状態の体はおかしなテンションのため本試験というのに緊張感を全く感じず、いつもどおり落ち着いて問題に取り掛かれました。そして午前択一が今までになくすらすら解け、かなりの手応えを感じて、午後の科目に入りました。午前の自信が午後の択一にもつながり、択一では70分を予定していたのですが、40分で解き終わり、時間的余裕を持って記述式問題に取り掛かることが出来たので、特例有限からの移行という予想外の問題にも焦らずに対処出来ました。

ですから皆さんも緊張して前日に眠れなかったとしても心配しないで下さい。全く問題ありませんし、逆に良い方向に影響することもあります。

「来年度の合格を目指す皆さんへ」

合格するためには自分なりの工夫が必要だと思います。そこで、私がしていた工夫をお伝えします。私がやっていたのは緻密なスケジューリングと午前択一を解く順番の変更です。スケジューリングについてですが、予め、やらなければならないこと、出来ればやりたいことを全て洗い出し、1ヶ月毎に割り振ります。そしてその月を迎えたら1週間毎に割り振り、その週を迎えたら1日毎に割り振ります。

自分のことは自分が1番良くわかっていると思いますので、今の自分の状況を踏まえて立てたスケジュールが1番頼りになるはずです。これに従い実行すれば、やり忘れや、やりたいことが出来なかったということが防げると思います。

次に午前択一の解き順ですが、私は第1問から順に解くのではなく、民法、会社法、憲法、刑法の順に解きました。朝一で頭が働いていない状況で推論などの複雑な問題が多い憲法を解くと、内容がなかなか頭に入ってきませんでした。そのため比較的解き易い民法から始め会社法に移り、頭が働きだした段階で憲法、そして最後に刑法という順で解きました。憲法を最後にもってくると時間が迫っている場合に焦って、推論に集中できない可能性があるので、短時間で片付けられる刑法を最後にしていました。ぜひ皆さんも自分にあった解き順を見つけてください。

最後に

この試験は本当に難しいです。受からない人の方が圧倒的に多いですし、こんなに勉強しているのに、なんで受からないのだろうと思うこともあります。でも正しい勉強方法を自分に厳しく実践していけば必ず合格できます。皆さんが来年合格され、同じフィールドに立てる日が来ることを祈っています。

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