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「『べからず』事項と対応」西村 康章さん

合格体験記

西村 康章さん

 始め合格体験記の依頼があった時、合格まで何年もかかった私が受験生にとって参考になる様なことは書けないだろうと思いましたが、逆に、短期合格をした人が経験しないで素通りしてしまった失敗をしている私だからこそ分かった受験期間を長くしないために避けるべき失敗事項と対応策なら書けると思い依頼を受けました。私の経験からくる合格を阻む「べからず」事項とその対応を初学者・中級者・上級者の3つのレベルに分け、お伝えしたいと思います。

初学者・基準点突破を課題としている方々へ

「自己流」にこだわらず、積極的に「アドバイス」を取り入れてください。

私は初めの頃、大学受験のやり方で司法書士試験にのぞんでいましが、答練では伸び悩んでいました。それは、科目ごとに勉強方法が違うと言うことを知らなかったからです。初めからこのことを知って受験を始めた方もいるとは思いますが、問題を解くテクニックも含め、よりよい方法があるのは事実です。

ですから、「自己流」のこだわりに固着せず、予備校・合格者・受験仲間から積極的に「アドバイス」を得て、自分に合った勉強方法をするのが近道です。情報を得ることは、1~2年程合格する年を左右してしまうくらい重要ですので必ずやってください。

初学者にオススメする科目ごとの勉強の概要を書き添えますが、是非、予備校等から得られる多くの情報を加えよりよい方法にしてください。

(↓勉強量の多い順↓)

民法> 条文・判例(択一六法ベースでいい)と過去問を5:4くらいの割合でやる。答練は、残りの1~2割くらいで、条文・判例の読み直しにも利用する。

会社・商登法等> 条文・先例(択一六法ベースでいい)と過去問(平成18年度以降が中心)を4:4くらいの割合でやる。過去問で足りない部分を答練で補う。
残りの1~2割りは、会社法知識を横断整理したノートや資料と答練をやる。会社法は知識の横断整理が重要です。

不登法> 条文・先例(市販の先例集でいい)と過去問を5:4くらいの割合でやる。
残りで答練をやる。

民訴法等> 条文と過去問を5:4くらいの割合でやる。残りで答練をやる。

憲法> 条文と過去問を4:4くらいの割合でやる。残りで答練をやる。
過去問で足りない見解問題は、答練で補ってください。

刑法> 条文・判例(択一六法ベースでいい)と過去問を4:4くらいの割合でやる。残りで答練をやる。
過去問で出題の少ない条文は、あまりやらなくてもいいです。

供託法> 条文・先例(択一六法ベースでいい)と過去問を4:4くらいの割合でやる。残りで答練をやる。

司法書士法> 条文と過去問を4:4くらいの割合でやる。残りで答練をやる。

書式> ひな形(合格書式マニュアルでいい)をきちんと覚え、答練等を使い、できれば1日に不動産登記・商業登記を各1問ずつ解く。

注:上記の勉強を繰り返し行い、知識の定着と知識の質の向上を達成して下さい。

なお、上記の勉強は予備校講義の受講終了を前提としています。また、テキスト等の他の教材は、上記の勉強で理解が難しいときの補助教材で使用すれば充分です。

中級者・基準点は越え、たまに答練で高順位が取れる様になった方々へ

「充分にやっている」と安心せず、「見直し」でより良い改善を続けてください。
勉強方法が定まり、答練も伸び、知識を増やせる状態になっているレベルです。この中の何割かの人達は、そのまま合格できます。ただ、残りの人達は再チャレンジになります。その違いは、「定まった」勉強方法に改善すべき点が「ある」か「ない」かです。

どうしても、答練で良い成績が出ると安心して、「充分にやっている」と思い込みます。確かに「充分にやっている」のですが、おそらく半数以上の方々は、やってきた方法の中に改善すべき点を含んでいます。それを見つけ対処しないと経験しなくてもいい上級者レベルの受験生になってしまいます。実際、私は答練の高得点に自信を持ち、同じ勉強方法を続けたため、長い受験期間を過ごしました。自信を持つのは良いのですが、改善すべき点に目が向かないことに危険があります。もし、改善すべき点に目がいけば、対処のための情報収集や試行錯誤もする能力があるレベルなので、是非とも改善点に注意を持つべく「見直し」をしていただきたいと思います。

そこで、「見直し」のために活用していただきたいのが答練です。答練には本試験で出ないであろう余計な知識もありますので、答練をインプット中心に利用するのではなく、アウトプットの試行錯誤と勉強方法の「見直し」に利用してもらいたいと言う意味です。具体的には、戸谷先生がよく言われていることですが、答練の成績は捨ててでも問題の解き方や時間配分を変えたりして、改善点を見つけ出すと言うことです。

例えば、私はいつもより短い時間設定で書式を解いたとき、答案構成図を省略しなければ間に合わなかったのですが、省略してもそれなりの得点が取れたりしました。この結果を踏まえ、答案構成の省略と余った時間で構成した事項のチェックと考え直しが出来る様になり、書式での大きな失点を無くす改善が出来ました。

また、択一では、私は初めの頃、出来るだけ問題の全ての肢(組合せ問題の場合、ア~オ)で正誤の判断をしようとしていましたが、答練の解説講義と「見直し」により、組合せ問題の場合、肢の内、幾つか正誤不明な肢があっても得点は可能と言うことが分かりました。例えば、「正」を2つ見つける問題で5つの肢の内、1つが不明でも残りの4つを見れば、不明な肢が「正」か「誤」かは、小学生でも判断がつきます。問題の中には自信を持って判断できる肢が、「正」1つと「誤」1つの合計2つしかない場合でも組合せの消去方により得点できる場合もあります。そこで、これらの問題は出題者の意図として不明な肢は「不明」と判断してもらいたいと言うメッセージだと思う様にしました。そして、不明にするべき肢で正誤判断をしてしまった問題が失点になると言うことにし、「不明」と判断する肢も正誤判断と同様正確に行い、「不明」以外の肢のみで解答を選ぶという解き方の改善をしました。なお、解答が絞りきれないときは、正誤判断した肢のみの再チェックを行い、それでもダメなときは、適当に解答を選び、時間の短縮と割り切りました。

また、答練の復習の際には「不明」と判断すべき肢は重要視しなくていいと言えます。私の場合、稀な判例知識より条文知識の方が重要だと言うことを実感し、判例六法を使っての判例知識のインプットを極端に減らし、択一六法を使っての条文と重要判例のインプットの割合を増やすと言った改善をしました。なぜなら、答練で間違えた稀な判例知識のインプットが増えた時期は、予備校の成績は上がっても、本試験の成績は下がってしまったからです。中級者レベルの方であれば、インプットする知識の重要度の違いは「見直し」の際、判断できる能力があると思いますので、注意を払ってみてください。
そして答練を利用して、こう言った勉強方法の「見直し」時間を作ってみてください。2~3週間毎に半日~1日くらい普段の勉強時間を「見直し」にあててもいいと思います。そこで得られた改善の数々は本試験でのよい結果につながる筈です。予備校で得られる情報も活用し、改善に役立ててください。

上級者・答練で高順位を多く取れる方々へ

「やりすぎ」を避け、「よけい」な勉強を減らしてください。
もうとっくに合格していておかしくないレベルです。勉強方法の確立もきちんと出来ています。アウトプットの改善も自主的に出来ます。実際、このレベルに達する前に合格する人達もたくさんいると思います。運悪くもう一回受験することになった人もいるでしょう。私も、最後の時期はこのレベルで地団駄踏んでいました。ここに「もう一回」となる理由があるとすれば、それは、合格レベルの知識も経験も充分あるのに、それ以上の詰込みをしているため、合格に使うべき知識が薄くなってしまったり、よけいな知識を使ってしまうことにより失点を招くと言うことでしょう。

実際、私も「あと1つの判断ミス」に、よけいな知識を当てはめ不合格になったことがありました。なぜなら、私は使える知識が増え正誤の判断で使うべき知識が複数あるときに、本試験では多くの場合「通常」パターンの知識を使うべきなのに、「例外」パターンの知識を使ってしまい、失点してしまう経験をよくしたからです。これは、答練等で得た細かい知識の方が強く印象に残ってしまっていたのが要因です。より多くの知識を吸収できる勉強が出来ているのは褒められることではありますが、それが足を引っ張るのです。

ですから、不要な知識を捨て、本試験で使われるべき「通常」の知識を強化するだけで充分です。それで、不明な問題があっても合格点を取れる力は、もう、身についてます。

私は、合格した年は「やりすぎ」を避けるため、思い切って年明けまで勉強しないことと、毎日の勉強時間を今までと比べ、1~2時間減らすといったことをしてみました。当然、今までの勉強と比べ何かを減らすことが必要になりました。これは、怖く勇気のいることでしたが、試行錯誤の結果「よけい」な勉強の削減と必要な勉強の強化との整理をすることが出来たと思っています。特に、書式では答練の復習を減らすことにより、特殊事例の知識が記憶に残らない様にし、「よけい」な知識を使った失点による成績の波を減らすことが、予備校の試験と本試験とで達成できました。

上記に書かせていただいたことの多くは、私が考え出したものではなく、私が経験し困ったときに得た予備校や諸先輩からのアドバイスが基になっています。クレアールは、戸谷先生をはじめ予備校スタッフも親身になって相談に応じてくれるのでアドバイスが得易いところが良い点だと思います。ですから皆さんも情報収集については遠慮せず積極的になっていただき、より短い期間で合格達成していただきたいと思います。がんばって下さい。

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