『過去問題への取り組み方を工夫したことが合格の秘訣』 車田 純一さん

『過去問題への取り組み方を工夫したことが合格の秘訣』

 車田 純一さん

なぜ司法書士を目指したか?

私が司法書士を目指したきっかけは、司法書士をしている父の姿を小さい頃から見ていて、将来は父と同じ仕事がしたいと考えていたからです。

 高校を卒業して一応法学部に進学し、大学最後の年に独学でなんとなく司法書士試験の勉強を始めてみたのですが、試しに受けてみた試験では全くと言っていいほど何も分からない状態でした。その後大学は卒業したのですが、勉強をすると言いながらもプラプラとしているだけの日々を1年ほど続けてしまい、このままの生活と独学での勉強では全く話にならないと思い予備校に通うことを決意しました。

クレアールを選んだ理由

司法書士試験対応の予備校を探したところ、スタッフさんの雰囲気が気に入りある予備校に通うことに決めました。その予備校が提携されていたのがクレアールです。私が申し込んだのは初学者向けの2年コースでした。

 講義を申し込む際に合格プランを立てたのですが、私は自分自身の能力に自信が無かったことと、司法書士試験勉強の本格的なスタートは行政書士試験(11月)が終わってからだったので、目標として2年後合格という合格プランを立てました。ただし先に行政書士試験の勉強をしていたということもあり(民法、憲法、会社法と科目の重なりが多い)、出来ることならば1回目の試験で受かりたいとは考えていました。

私の年度別学習方法

1年目

 まず勉強の初期の頃は試験までの期間があまりないということもあって、とにかく講義を見まくろうと、速聴機能を使って、講義を1.4倍速で再生して受講していきました。この頃は現在の講義の進度に追いつきたい一心でやっていたので、一気に大まかな試験範囲の内容については把握できていきましたが、全く復習ができず、大事な論点であったとしても「講義でそんなことやったっけ?」というようなところが後々どんどん出てきたので、今振り返ってみると私にとってはあまり効率のよい勉強方法ではなかったのかなと思います。ただ、講義の復習はできていなかったのですが、自分の進度に合わせてとりあえず択一の過去問だけは定期的に解いていこうと考え、内容は分からないなりにも少しずつ消化をしていました。

そしてようやく現在の講義の進度に追いつきそうになった頃、東日本大震災が起きました。
私の住まいは福島県で、避難区域にはならなかったのですが原発の影響もモロに受けてしまい、しばらくは外出もできない状態になりました。この頃は何をしていてもなかなか落ち着かず、自分の予定していた学習計画とは大分差がついてしまい、結局1年目の本試験時には記述にかなり不安を覚える状態での挑戦となってしまいます。そして結果は予想通り記述が基準点に達することができず、不合格。ただ択一は直前期にとりあえず過去問を解きまくっていたおかげか、午前、午後とも基準点を越えることはできました。

 震災の影響がなければとは正直思いながらも、自分の敗因についての分析をしたところ、まず圧倒的に記述の力(特に商業登記)が足りていないことは明白でした。また本気で本試験を受けたおかげで、記述の力不足のほかに記述にかけることのできる時間が少なかったというのも大きな問題点であることが分かり、択一を解くスピードというのも自分には足りていないのだと気づきました。学習2年目に突入するに当たり自分への大きな課題として、①書式の雛形をしっかり覚え、記述の問題に慣れること、②より正確な択一知識を習得することに加えて、効率よく問題を解くテクニックを身につけること、の2つを掲げました。

2年目

 2年目に入る頃には当然試験範囲を一通りは勉強していたので、択一対策としてはとにかく主要4科目の過去問の理解を深めようと、過去問を解いては択一六法を眺めるというスタイルで勉強を進めていきました。私の場合、過去問を速く何度も回すという方法ではなく、一問一問しっかりと理解できているか(正誤の理由を言えるか)、もし間違えてしまった場合どのような理由で間違えてしまったのか(記憶の不定着、知識の混同等)ということを確認しながらじっくりと過去問と付き合いました。一科目の過去問を一通り終えたら次の科目に進むという感じで、この作業を試験の直前期までずっと続けました。ある程度の時期から答練が始まったのですが、答練については、実際に解く際はいかに少ない肢の検討で早く解くことができるかといった点(解答のテクニック)を意識して解き、復習する際は間違った問題、間違った肢に関する論点の周辺知識を復習していき、同時に苦手な分野を自分で把握していくという形で活用しました。

 記述対策としては、やはりまずは雛形を覚えていなければ話にならないので、書式マニュアルを見ながら、覚えていない雛形をとにかく口に出しながら書くという作業をできるだけ毎日するようにしていました。そして答練などで記述の問題を解く際には、問題文の読み方、チェックしておかなければならない部分、問題の図式化作業、答案作成時に注意すべきポイントの確認など、問題を解くに当たっての一連の流れを体に覚えさせることを意識して取り組みました。最終的にはこの自分なりの記述式問題を解く流れがある程度定着したことで、規定時間内に安定とまでは言えませんがそれなりの成績が出せるようになったと思います。ただ私には全部の雛形を完璧に覚えることはできないなと途中で感じ、次の試験での出題可能性があまり高くないであろう部分については思い切ってほぼ手をつけないと決めたのですが、そのことで本試験のときに苦しむことになります。

 2年目の試験の直前期

択一の過去問で何度か間違ってる部分を徹底的に潰していく(この時期はとにかく暗記)ということと、記述の問題で過去に間違えて注意しなければいけない論点を確認するといったように、過去問や今までに何度もやってきた内容の問題を本試験で確実に取れるようにするという意識で勉強しました。また、これまでと違って問題を回す速さという点も意識していました。

 迎えた2年目の本試験日

前日は緊張からかほぼ一睡もできず、かなり疲労した状態で試験会場に向かったのですが、いつもは基本ネガティブなのになぜか妙にポジティブな気持ちになっていました。試験当日に気持ちが前向きでいられたことも合格できた要因の一つではないかと思います。本試験では午前の部はなんなくこなせ、午後の部の択一も終えた頃にかなりの手応えを感じていました。不動産登記法の記述もそれなりに書くことができ、あとは商業登記法の記述を残すのみとなったところで残り時間は約1時間10分。「後はそれなりに書ければ合格できるのでは?」と少し気を抜いた矢先に特例有限会社、合併等の文字が目に入って来ていきなり頭がパニックに陥りました。この辺りは勝手に出題可能性が低いだろうと考え、ほぼ勉強をしていなかったためです。やはり最後まで気を抜いてはいけませんね。

一度パニックになってしまった頭は最後まで正常には戻ってくれず、考えがうまくまとまらないうちに時間は流れ、確実に取っておきたいであろう役員変更の部分を焦りからほぼすべて間違えてしまうという結果になってしまいました。しかしそんな中でもできるだけ自分の中にある知識は出し切ろうと思い、ギリギリまで添付書面になりうるものはなにか搾り出すなど、試験終了まで諦めはしませんでした。自己採点では、記述の点数が基準点さえ超えてくれれば…というボーダーライン上でしたが、結果としては記述の得点が基準点を1.5点上回っていてくれてなんとか合格することができました。ほんと最後の最後に運がよかったのだと思います。

 合格者の番号の中から自分の番号を見つけた後に見た夕日、「世界はこんなにも明るかったっけ?」と思ってしまうほどとても解放された気分になりました。

試験を振り返って思うこと

私が合格できた理由の一つとして、過去問をしっかりこなしたことがあると思います。回した回数は多い科目でも6回ほどでしたが、1回あたりの密度は濃かったかと…。

よく言われているように、司法書士試験において過去問はとても重要だと試験が終わった後につくづく感じました。また、自分の苦手な部分をしっかり把握し、その克服のために集中的に多くの時間を割いたこともよかったのではないかと感じています。

 私がクレアールを選んでよかったと思うことと言えばなんと言っても択一六法です。初めはテキストを使って勉強をしており、択一六法はごちゃごちゃして見づらいという印象を持っていたのですが、一通りの講義を聴き終えた後に自分で勉強しようとしてからはその内容の充実度と、それを感じさせないコンパクトさに気づき、もはやテキストはほぼ使わない状態になりました。条文とともに試験に必要かつ十分な情報がきれいに整理されており、末尾に先例・判例の索引もついていたのでとても使い勝手がよかったです。また大きさもコンパクトで、持ち運び易さという点でもかなり高評価でした。受講生の方には是非ボロボロになるぐらい使い込んでほしいです。

 やはり司法書士試験は難しい試験です。この試験に合格するためには当然にそれなりの努力は必要になってきますが、大事なことは単に努力することではなく、苦手分野や合格するためには今何をすべきなのかなど、自分の状態をできるだけ早くに把握し、能動的に勉強に取り組むという姿勢で努力することではないかと思います。具体的な勉強方法については人それぞれに向き・不向きがあると思うので、一概にどのような方法がいいとは言えませんが、合格するためには最低限このような姿勢は持つべきです。そしてたとえ時間がかかってしまったとしても、なんとしてでも合格するという諦めない強い気持ちも必要です。ただし気持ちが強すぎて自分を追い詰めてしまうようなことにはならないでください。

これから司法書士試験合格を目指す皆さんへ

 月並みではありますが、合格をした後の達成感、解放感は何にも代えがたいものがあります。できるだけ前向きな強い気持ちで次の試験に向けて頑張って下さい。次はきっとあなたの番です。

最後に

講師や関係者の皆様には大変お世話になりました。本当にありがとうございました。また私の場合は両親の援助のおかげで、約2年半(行政書士試験の勉強期間も含む)もの期間、ほぼ勉強に集中させてもらうことができました。両親には本当に感謝したいと思います。

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