司法書士試験<過去問題肢別チェック ■供託法「弁済供託」>

問題1 弁済供託は、被供託者が確定していない場合には、することができない。○か×か?

誤り。債権者不確知に基づく弁済供託(民494条2項)においては、後に確定されるべき債権者が被供託者となるが、供託の申請時には具体的に被供託者が確定していない。したがって、弁済供託は、被供託者が確定していなくても、することができる場合がある。【平21-9-オ】

問題2 供託所に対してする供託受諾の意思表示は、口頭によってすることはできない。○か×か?

正しい。供託受諾の意思表示は、供託所に対してすることができるが、供託所に対する供託受諾の意思表示は、供託を受諾する旨を記載した書面等を提出することによって行わなければならない(供規47条)。口頭によってすることはできない(昭36.4.4-808号)。【平19-10-イ】

問題3 供託物還付請求権の譲渡通知が供託所に送達された場合において、その記載内容により供託を受諾する旨の意思表示があったものと認められたときは、供託者は、供託物の取戻しを請求することができない。○か×か?

正しい。供託所に対して供託を受諾する旨を記載した書面(供規47条)とは、必ずしも供託受諾書として記載された書面でなくとも、その書面の記載の趣旨、内容から供託受諾の意思表示が判断されればよい。したがって、還付請求権の譲渡通知書の送付があった場合に、その記載内容から供託受諾の意思表示があったものと認められるときには、供託者は供託物の取戻しができなくなる(民496条1項)。【平19-10-エ】

問題4 持参債務について被供託者をA又はBとして債権者不確知を原因とする弁済供託をする場合において、Aの住所地の供託所とBの住所地の供託所とが異なるときは、いずれの供託所にも供託をすることができる。○か×か?

正しい。持参債務について被供託者を複数とする債権者不確知による弁済供託をする場合において、各債権者の住所地が異なるときは、供託者は、いずれか1人の債権者の住所地の管轄供託所に供託することができる(昭38.6.22-1794号)。【平26-10-ア】

問題5 被供託者をA又はBとして債権者不確知を原因とする弁済供託がされている場合には、第三者Cが、被告をA及びBとする訴えを提起し、当該供託に係る債権の実体上の権利をCが有することを確認する旨の確定判決を添付して供託金払渡請求をしたとしても、Cは、供託物の還付を受けることはできない。○か×か?

正しい。被供託者をA又はBとして債権者不確知を原因とする弁済供託がされている場合において、第三者Cが、A及びBを被告として債権の存在確認訴訟を提起して、A又はBとの関係で実体上の権利者であることを確定判決で証明しても、それは供託原因以外の事項であるため、これによりCが供託物の還付請求をすることはできない。【平26-10-オ】

問題6 弁済の目的物が株券である場合において、債権者がその受領を拒否したときは、債務者は、法務大臣が指定した倉庫営業者に当該株券を供託することができる。○か×か?

誤り。供託物が、金銭又は有価証券である場合には、法務局・地方法務局又は支局・法務大臣の指定する出張所が供託所となる(供1条)。株券は有価証券であるので、法務局等に供託しなければならない。なお、法務大臣の指定する倉庫営業者・銀行に供託をするのは、金銭又は有価証券以外の物品が供託物となる場合である(供5条1項)。【平16-9-イ】

問題7 家賃の減額につき当事者間に協議が調わない場合において、その請求をした賃借人が自ら相当と認める額を提供し、賃貸人がその受領を拒否したときは、賃借人は、その額を供託することができる。○か×か?

誤り。家賃の減額請求に対して当事者の協議が調わないときは、請求を受けた者、すなわち賃貸人は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、自己が相当と認める賃料を請求することができる(借地借家32条3項本文)。したがって、この場合には、賃借人は請求を受けた賃料を支払わなければならず、提供した自ら相当と認める額の家賃の受領を賃貸人が拒否したことを理由に、賃借人は、その額を供託することができない(昭46年度決議)。【平19-9-ア】

問題8 賃貸人Aが死亡した場合には、賃借人は、相続人の有無や相続放棄の有無を調査することなく、供託書の被供託者の住所氏名欄に「住所亡Aの相続人」の旨を記載して債権者不確知供託をすることはできない。○か×か?

誤り。賃貸人が死亡し、その相続人が不明である場合には、被供託者の住所氏名欄に「住所 亡何某の相続人」の旨を供託書に記載して、債権者不確知によって供託することができる。この場合、債務者は、債権者の相続関係について調査する義務を負わない(昭37.7.9-1909号)。【平19-9-エ】

問題9 指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、債務者は、債権者不確知を原因とする弁済供託をすることができる。○か×か?

誤り。確定日付ある複数の譲渡通知が、同時に債務者に到達したときは、各譲受人は債務者に対してそれぞれ譲受債権についてその全額の弁済を請求でき、譲受人の1人から請求を受けた債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由がない限り、単に同順位の譲受人が他に存在することを理由として、弁済の責めを免れることができない(最判昭55.1.11)。この判例の見解から、債権譲渡通知書が同時に到達したことのみでは、債権者不確知には当たらず、債務者は、債権者不確知を原因とする弁済供託をすることはできない。【平20-9-ア】

問題10 地代の弁済供託をする場合において、債務履行地の属する最小行政区画内に供託所がないときは、その地を包括する行政区画内における最寄りの供託所に供託すれば足りる。○か×か?

正しい。弁済供託は、債務履行地の属する最小行政区画内に供託所がないときは、その地を包括する行政区画内における最寄りの供託所に供託すれば足りる(昭23.8.20-2378号)。【平20-9-ウ】

問題11 持参債務の債務者が弁済期日に弁済をしようとして電話で債権者の在宅の有無をその住居に問い合わせた場合において、債権者その他の弁済の受領の権限を有する者が不在で、留守居の者から分からない旨の回答があったときは、債務者は、受領不能を原因とする供託をすることができない。○か×か?

誤り。持参債務の債務者が弁済期日に弁済をしようとして電話で債権者の在宅の有無をその住居に問い合わせた場合において、債権者その他の弁済の受領の権限を有する者が不在で、留守居の者から分らない旨の回答があったときは、債務者は、受領不能を原因とする供託をすることができる(大判昭9.7.17)。【平22-9-ウ】

問題12 弁済の目的物について損傷のおそれがあるときは、弁済者は、裁判所の許可を得て、これを競売に付し、その代金を供託することができる。○か×か?

正しい。弁済の目的物が供託に適しないとき、又はその物について滅失若しくは損傷のおそれがあるときは、弁済者は、裁判所の許可を得て、これを競売に付し、その代金を供託することができる(民497条)。【平25-9-ア】

問題13 建物の賃貸借における賃料の増額について当事者間に協議が調わない場合において、賃借人が賃貸人に従来の賃料と同じ額を相当と認める額として弁済の提供をしたのに対し、賃貸人がその受領を拒否したときは、賃借人は、その額の弁済供託をすることができる。○か×か?

正しい。賃料の増額請求があり、当事者間に協議が調わないときは、賃借人は従来の賃料と同じ額を相当と認める額として支払うことで足りる(借地借家32条2項前段)。そして、建物の賃貸借における賃料の増額請求につき当事者間に協議が調わない場合において、賃借人が従前の賃料と同じ額を自己の相当と認める額として賃貸人に弁済の提供をしたのに対し、受領を拒否されたときは、賃借人は、その額を供託することができる(昭41.7.12-1860号)。【平25-9-エ】

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