司法書士試験<過去問題肢別チェック ■刑法「刑法総論 罪数」>
問題1 他人の住居に侵入し、被害者の反抗を抑圧して金員を奪った場合の住居侵入罪と強盗罪は牽連犯となる。○か×か?
正しい。他人の住居に侵入し、被害者の反抗を抑圧して金員を奪った場合の住居侵入罪と強盗罪とは牽連犯となる(最判昭23.12.24)。【平14-26】
問題2 小切手を偽造し、その偽造小切手を銀行員に呈示した場合の有価証券偽造罪と同行使罪は観念的競合となる。○か×か?
誤り。小切手を偽造し、その偽造小切手を銀行員に呈示した場合の有価証券偽造罪と同行使罪とは牽連犯となる(大判明42.2.23)。【平14-26】
問題3 駅構内で一つの爆弾を爆発させることによって複数の駅員、乗客及び通行人を殺害した場合の複数の人に対する殺人罪は観念的競合となる。○か×か?
正しい。駅構内で1つの爆弾を爆発させることによって複数の駅員、乗客及び通行人を殺害した場合の複数の人に対する殺人罪は観念的競合となる(大判大6.11.9参照)。【平14-26】
問題4 公務員が公務の執行をするにあたり、その公務員を殴打して公務の執行を妨げると同時に公務員に傷害を与えた場合、傷害罪と公務執行妨害罪とは牽連犯となる。○か×か?
誤り。公務員が公務の執行をするにあたり、その公務員を殴打して公務の執行を妨げると同時に公務員に傷害を与えた場合、公務執行妨害罪(刑95条1項)と傷害罪(刑204条)の両罪が成立するが、傷害罪と公務執行妨害罪とは観念的競合(刑54条1項前段)となる(大判明42.7.1)。「1個の行為が2個以上の罪名に触れ」(刑54条1項前段)るからである。両罪は客観的に手段結果の関係になく、牽連犯とはならない。【平3-28-ア】
問題5 盗品等であることを知ってこれを賄賂として受け取った場合、盗品等無償譲受罪と収賄罪とは併合罪となる。○か×か?
誤り。盗品等であることを知ってこれを賄賂として受け取った場合、盗品等無償譲受罪(刑256条1項)と収賄罪(刑197条等)の両罪が成立するが、盗品等無償譲受罪と収賄罪とは観念的競合(刑54条1項前段)となり(最判昭23.3.16)、併合罪とはならない。「1個の行為が2個以上の罪名に触れ」(刑54条1項前段)るからである。【平3-28-イ】
問題6 保険金取得の目的で放火した後保険金を騙取した場合、放火罪と詐欺罪とは牽連犯となる。○か×か?
誤り。保険金取得の目的で放火した後保険金を騙取した場合、放火罪(刑108条等)と詐欺罪(刑246条)の両罪が成立するが、放火罪と詐欺罪とは「確定裁判を経ていない2個以上の罪」(刑45条)として併合罪となる(大判昭5.12.12)。その罪質上、両罪間に通例手段結果の関係が存在するとはいえないので、牽連犯とはならない。【平3-28-エ】
問題7 手形用紙を横領して手形を偽造した場合、横領罪と有価証券偽造罪とは牽連犯となる。○か×か?
誤り。手形用紙を横領して手形を偽造した場合、横領罪(刑252条)と有価証券偽造罪(刑162条)の両罪が成立するが、横領罪と有価証券偽造罪とは「確定裁判を経ていない2個以上の罪」(刑45条)として併合罪となる(東京高判昭38.7.25)。両罪間にその罪質上通例手段結果の関係が存在するとはいえないので、牽連犯とはならない。【平3-28-オ】
問題8 Aは、Bを殺害した後、Bの死体を山林に遺棄した。この場合、Aに成立する殺人罪と死体遺棄罪とは、併合罪となる。○か×か?
正しい。殺人罪と死体遺棄罪とは、併合罪である(大判明43.11.1)。【平26-25-イ】
問題9 Aは、1回の焼却行為により、Bが所有する物とCが所有する物を損壊した。この場合、Aに成立するBに対する器物損壊罪とCに対する器物損壊罪とは、観念的競合となる。○か×か?
正しい。1個の行為で数個の罪名に触れる観念的競合における数個の罪名は、異なる罪名であっても、同じ罪名でもよい。したがって、1個の行為でBが所有する物とCが所有する物を損壊しているので、Bに対する器物損壊罪とCに対する器物損壊罪とは、観念的競合となる。【平26-25-エ】
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