司法書士試験<過去問題肢別チェック ■刑法「刑法総論 構成要件」>

問題1 為替手形を偽造・行使して割引名下に現金を詐取しようとした場合、相手方に嘘を言って偽造手形の割引の承諾をさせたとしても、まだ偽造手形を相手方に示すなどして行使していなければ、詐欺罪の実行の着手は認められない。○か×か?

誤り。詐欺罪も未遂犯が処罰される(刑250条、246条)。詐欺罪の実行の着手は、相手方の財物交付にむけた欺罔行為がされたときに認められる。手形を偽造・行使して割引名義のもとに現金を詐取しようとする場合、まだその手形を行使していなくても、相手方に割引を承諾させた以上、欺罔行為に着手したものと認められ、実行の着手ありとされる(大判昭2.3.16)。【平20-25-ウ】

問題2 保険金詐欺の目的で、家屋に放火したり、船舶を転覆・沈没させた場合には、まだ保険会社に保険金支払の請求をしていなくとも、詐欺罪の実行の着手が認められる。○か×か?

誤り。保険金詐欺においては、保険を掛けてある家屋に放火したり、船舶を転覆・沈没させただけでは、実行の着手は認められない。さらに、保険会社に保険金を請求したときに実行の着手が認められる(大判昭7.6.15)。【平20-25-エ】

問題3 Aは、乗用車のトランク内にBを入れて監禁し、信号待ちのため路上で停車していたところ、後方から脇見をしながら運転してきたトラックに追突され、Bが死亡した。この場合において、Aの監禁行為とBの死亡の結果との間には、因果関係がある。○か×か?

正しい。普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を押し込み、トランクカバーを閉めて脱出不可能にして同車を発進走行させ、見通しのよい道路上に停車して数分後、後方から普通乗用自動車で走行してきた運転者が前方不注意のために、停車中の前記車両の後部に追突したところ、被害者の死亡原因が直接的には追突事故を起こした第三者のはなはだしい過失行為にあるとしても、道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を監禁した本件監禁行為と被害者の死亡との間の因果関係を肯定することができる(最判平18.3.27)。【平25-24-ア】

問題4 Aは、多数の仲間らと共に長時間にわたり、激しく、かつ、執ようにBに暴行を加え、隙を見て逃げ出したBを追い掛けて捕まえようとしたところ、極度に畏怖していたBは、交通量の多い幹線道路を横切って逃げようとして、走ってきた自動車に衝突して死亡した。この場合において、Aの暴行とBの死亡の結果との間には、因果関係がある。○か×か?

正しい。長時間激しくかつ執ような暴行を受けて極度の恐怖感を抱いた被害者が、逃走の過程で高速道路に進入することは、暴行から逃れる方法として著しく不自然、不相当とはいえず、被害者が高速道路上で交通事故により死亡したことは被告人らの暴行に起因するものと評価することができるから、右暴行と死亡との間には因果関係がある (最決平15.7.16)。【平25-24-オ】

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