問題1 会社法上の公開会社でない取締役会設置会社の株主総会について、株主が議決権を統一しないで行使する場合においては、当該株主は、株主総会の日の3日前までに、会社に対してその有する議決権を統一しないで行使する旨及びその理由を通知しなければならない。○か×か?

正しい。取締役会設置会社では、株主が議決権を統一しないで行使する場合においては、当該株主は、株主総会の日の3日前までに、会社に対してその有する議決権を統一しないで行使する旨及びその理由を通知しなければならない(会313条2項)。なお、取締役会を設置しない会社では、そのような制限はない。【平20-32-ウ】
問題2 会社法上の公開会社でない取締役会設置会社の株主総会について、株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとする旨を取締役会の決議により取締役が定めた場合において、書面により株主総会の招集通知を発するときは、その株主の数にかかわらず、その通知に際し、株主に株主総会参考書類及び議決権行使書面を交付しなければならない。○か×か?

正しい。株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとする旨を取締役会の決議により取締役が定めた場合において、書面により株主総会の招集通知を発するときは、その株主の数にかかわらず、その通知に際し、株主に株主総会参考書類及び議決権行使書面を交付しなければならない(会301条1項)。【平20-32-オ】
問題3 会社法上の公開会社でない取締役会設置会社は、株主総会における議決権について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。○か×か?

正しい。公開会社でない会社では、剰余金の配当や残余財産の分配を受ける権利及び株主総会の議決権について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる(会109条2項)。【平27-29-ア】
問題4 会社法上の公開会社でない取締役会設置会社の株主総会において、その続行について決議があった場合には、取締役は、株主に対して改めて株主総会の招集の通知を発する必要はない。○か×か?

正しい。株主総会においてその続行について決議があった場合には、取締役は、株主に対して改めて株主総会の招集の通知を発する必要はない(会317条)。【平27-29-オ】
問題5 会社法上の公開会社でない取締役会設置会社においては、定款で定めることにより、取締役が株主総会の日の3日前までに株主に対して株主総会の招集の通知を発しなければならないこととすることができる。○か×か?

誤り。公開会社でない株式会社であっても取締役会設置会社の場合、1週間前までに株主に対して株主総会の招集の通知を発しなければならない(会299条1項括弧書)。1週間未満の期間を定款で定めることができるのは、取締役会設置会社以外の株式会社である(会299条1項括弧書内の括弧書)。【平25-30-イ】
問題6 会社法上の公開会社でない取締役会設置会社においては、株主総会の招集の通知は、口頭ですることができる。○か×か?

誤り。取締役会設置会社の場合、招集通知は書面(会299条2項)又は株主の承諾を得て電磁的方法(会299条3項)でしなければならず、口頭ですることはできない。【平25-30-ウ】
問題7 会社法上の公開会社でない株式会社において、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めている場合には、株主でない者は、取締役となることができない。○か×か?

正しい。会社法上の公開会社でない株式会社では、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができる(会331条2項ただし書)。定款で取締役の資格を定めている以上、株主でない者は取締役となることができない。【平22-29-イ】
問題8 持分会社は、当該持分会社の社員から取締役として職務を行うべき者を選任し、株式会社にその者の氏名及び住所を通知した場合であっても、当該株式会社の取締役となることができない。○か×か?

正しい。法人は、取締役資格の欠格者である(会331条1項1号)から、持分会社は、当該持分会社の社員から取締役として職務を行うべき者を選任し、株式会社にその者の氏名及び住所を通知した場合であっても、当該株式会社の取締役となることができない。【平22-29-エ】
問題9 監査役設置会社が指名委員会等を置く旨の定款の変更をした場合には、取締役及び監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。○か×か?

正しい。監査役設置会社が指名委員会等を置く旨の定款の変更をした場合には、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する(会332条7項1号)。監査役設置会社と指名委員会等設置会社では、取締役の役割が異なるからである。また、監査役設置会社が指名委員会等を置く旨の定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する(会336条4項2号)。指名委員会等設置会社には、監査役を置くことができないからである(会327条4項)。【平26-30-イ改】
問題10 累積投票により選任された取締役を解任する株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならない。○か×か?

正しい。累積投票により選任された取締役を解任する株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならない(会309条2項7号、339条1項、342条6項)。【平26-30-ウ】
問題11 取締役会は、取締役の全員の同意があれば、招集の手続を経ることなく開催することができるが、監査役会は、監査役の全員の同意があっても、招集の手続を経ることなく開催することができない。○か×か?

誤り。取締役会では、取締役(監査役設置会社では取締役及び監査役)の全員の同意、監査役会では、監査役の全員の同意があれば招集の手続を経ることなく開催することができる(会368条2項、392条2項)。【平22-30-ウ】
問題12 取締役会においては、その決議に参加した取締役であって議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定されるが、監査役会においては、その決議に参加した監査役であって議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものとは推定されない。○か×か?

誤り。取締役会においては、その決議に参加した取締役であって議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定される(会369条5項)。また、監査役会についても同趣旨の規定があり(会393条4項)、その決議に参加した監査役であって議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定される。【平22-30-オ】
問題13 取締役会設置会社以外の株式会社において、定款で定めた取締役の員数が1名であるときは、取締役は、仮処分命令により代表取締役の職務を代行する者が選任されない限り、代表取締役となる。○か×か?

正しい。会社を代表する取締役を代表取締役という(会47条1項)。取締役会設置会社以外の株式会社の取締役は、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合以外、会社を代表する(会349条1項、2項)。そして、代表取締役は取締役の中から定めなければならない(会349条3項)ので、定款で取締役の員数を1名としている会社では、その者以外を「会社を代表する者」として定める方法は、裁判所が仮処分命令により代表取締役の職務代行者を定める(会352条1項、民保56条参照)場合しかない。したがって、その者が選任されない限り、1名の取締役が代表取締役となる。【平18-33-ア】
問題14 取締役会設置会社以外の株式会社において、取締役が自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、株主総会においてその承認を受けなければならない。○か×か?

正しい。取締役会設置会社以外の株式会社の取締役が自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、株主総会においてその承認を受けなければならない(会356条1項1号)。【平18-33-オ】
問題15 取締役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)の代表取締役XがA社の取締役会の承認を受けることなく自己のためにA社と取引をした場合であっても、Xは、A社に対し、取締役会の承認の欠缺を理由として当該取引の無効を主張することができない。○か×か?

正しい。取締役が取締役会の承認を受けることなく自己のために会社と取引をした場合、その取引は無効である。しかし、この無効は、取締役が会社を犠牲にして利益を得ることを防止するためのものであるから、取締役から会社に対して無効を主張することは許されない(最判昭48.12.11)。【平24-30-ア】
問題16 取締役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)の代表取締役XがA社に対して無利息かつ無担保で金銭の貸付けをしようとする場合には、Xは、A社の取締役会の承認を受けることを要しない。○か×か?

正しい。取締役が会社に対して無利息かつ無担保で金銭の貸付けをしようとする行為は、会社の利益にこそなるが、会社を犠牲にするものではないので、取締役会の承認を受けることを要しない行為である(最判昭38.12.6)。【平24-30-エ】
問題17 未成年であっても、取締役会設置会社の支配人又は代表取締役になることができる。○か×か?

正しい。支配人に関しては、会社の支配人は会社の事業に関する代理権を持つ代理人(会11条1項)であるが、制限行為能力者である未成年者も代理人になることができ(会102条)、未成年者が支配人になることについて制限はない。また、未成年者は取締役及び代表取締役の欠格者とされておらず(会331条1項参照)、(営業の許可を得ている)未成年者も代表取締役となることができる。【平18-31-ア】
問題18 取締役会設置会社において、支配人は、当該株式会社の許可を受けなければ、他の異業種の会社の取締役となることはできないが、代表取締役は、当該株式会社の許可を受けなくても、他の異業種の会社の取締役となることができる。○か×か?

正しい。支配人は、当該株式会社の許可を受けなければ他の異業種の会社の取締役となることはできない(会12条1項4号)。他方、取締役については、競業取引(会社の事業の部類に属する取引を行う場合:会356条1項1号)に該当しない限り、他の会社の取締役に就任することができる。代表取締役が、他の異業種の会社の取締役に就任しても、競業取引を行う場合に該当しないから、当該株式会社の許可を受けることを要しない。【平18-31-エ】
問題19 会社法上の公開会社でない株式会社は、大会社であっても、定款によって、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定することができる。○か×か?

誤り。定款によって、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定することができるのは、監査役会設置会社と会計監査人設置会社を除く公開会社でない株式会社である(会389条1項)。公開会社でなくても大会社は、会計監査人を置かなければならない会計監査人設置会社である(会328条2項)から、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定することはできない。【平18-35-ア】
問題20 株主による取締役の行為の差止請求権の行使については、監査役の監査の範囲が会計に関するものに限定されているか否かによって、その要件が異なることはない。○か×か?

誤り。株主による取締役の行為の差止請求権の行使については、監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社では「回復することができない損害」を要件とし(会360条3項)、監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社以外では、「著しい損害」を要件とする(会360条1項)。監査役の監査の範囲が会計に関するものに限定されている場合、監査役設置会社に該当しない(会2条9号)から、監査役の監査の範囲が会計に関するものに限定されているか否かによって、その要件が異なることになる。【平18-35-エ】
問題21 監査役を置く株式会社は、大会社である場合でも、会社法上の公開会社でないときは、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。○か×か?

誤り。大会社である以上、公開会社でない会社であっても会計監査人設置会社である(会328条2項)から、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることはできない(会389条1項括弧書)。【平27-30-ア】
問題22 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社の監査役は、取締役会に出席した場合でも、書面をもって作成されたその議事録に署名又は記名押印をする必要はない。○か×か?

誤り。取締役会議事録が書面をもって作成されているときは、出席した監査役は、これに署名又は記名押印しなければならない(会369条3項)。監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社の監査役は、取締役会への出席義務はない(会383条、389条7項)が、出席した場合には出席監査役として、議事録に署名又は記名押印をする必要がある。【平27-30-ウ】
問題23 株式会社の取締役は、その親会社の会計参与となることができる。○か×か?

誤り。子会社の取締役であることは、(親)会社の会計参与の欠格事由である(会333条3項1号)。したがって、株式会社の取締役は、その親会社の会計参与となることはできない。【平24-31-イ】
問題24 監査役会設置会社においては、取締役は、会計参与の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければならない。○か×か?

誤り。監査役(監査役会設置会社では監査役会)に、選任議案の株主総会に提出することに関する同意権があるのは、監査役の選任に関してである(会343条1項、3項)。会計参与については、監査役(監査役会設置会社では監査役会)に選任議案を株主総会に提出することに関する同意権は認められていない。したがって、監査役会設置会社においても、監査役会の同意を要しない。【平24-31-オ】
問題25 取締役は、監査役がある場合において、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役の意見を聴かなければならないが、その同意を得る必要はない。○か×か?

誤り。取締役は、監査役がある場合において、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が2人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならない(会343条1項)。【平19-31-ウ】
問題26 監査役会設置会社においては、会計監査人が職務上の義務に違反したとき、監査役の過半数をもって行う監査役会の決議により、会計監査人を解任することができる。○か×か?

誤り。監査役会設置会社においては、会計監査人が職務上の義務に違反したときは、監査役の全員の同意によって、その会計監査人を解任することができる(会340条1項、2項、4項)。監査役の過半数の賛成による監査役会の決議では足りない。【平19-31-オ】
問題27 取締役会設置会社である甲株式会社(以下「甲社」という。)の取締役Aが法令に違反する行為(以下「本件行為」という。)をし、これによって、著しい損害が生ずるおそれが甲社に発生した。甲社が監査役設置会社でない場合においては、取締役Bは、本件行為により甲社に著しい損害が生ずるおそれがあることを発見したときは、直ちに、これを株主に報告しなければならない。○か×か?

正しい。監査役設置会社でない場合、取締役は、会社に著しい損害が生ずるおそれがある事実を発見したときは、直ちに、当該事実を株主に報告しなければならない(会357条1項)。【平25-31-ウ】
問題28 取締役会設置会社である甲株式会社(以下「甲社」という。)の取締役Aが法令に違反する行為(以下「本件行為」という。)をし、これによって、著しい損害が生ずるおそれが甲社に発生した。甲社が監査役を置いている場合において、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるときは、監査役は、Aに対し本件行為をやめることを請求することができない。○か×か?

正しい。監査役を置いているが、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるときは、当該監査役は、取締役の行為の差止請求権を有しない(会389条7項)。【平25-31-オ】
問題29 監査役を置く取締役会設置会社で、かつ、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある会社においては、各株主は、取締役会を招集する権限を有する取締役に対し、代表取締役の解職を目的として、取締役会の招集を請求することができる。○か×か?

正しい。取締役会設置会社(監査役設置会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く)の株主は、取締役が取締役会設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあると認めるときは、取締役会の招集を請求することができる(会367条1項)。監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある会社は、監査役設置会社ではない(会2条9号)から、各株主は代表取締役が法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあると認めるときは、代表取締役の解職を目的として、取締役会の招集を請求することができる。【平20-33-ア】
問題30 監査役を置く取締役会設置会社で、かつ、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある会社においては、代表取締役の行為により会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、これを発見した取締役は、直ちに、その事実を株主に報告しなければならない。○か×か?

正しい。代表取締役の行為により会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、これを発見した取締役は、直ちに、その事実を株主に報告しなければならない(会357条1項)。監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある会社は、監査役設置会社ではないので、監査役への報告(会357条1項括弧書)が要求されるものではない。【平20-33-エ】