問題1 定款にA種類株式及びB種類株式の2種類の種類株式を発行する旨の定めのある甲株式会社は、現にA種類株式を4万株発行している場合において、A種類株式の発行可能種類株式総数を6万株から3万株に減少させる旨の定款変更をすることはできない。○か×か?

正しい。定款を変更してある種類の株式の発行可能種類株式総数を減少するときは、変更後の当該種類の株式の発行可能種類株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における当該種類の発行済株式の総数を下ることができない(会114条1項)。現にA種類株式を4万株発行している場合には、A種類株式の発行可能種類株式総数を6万株から3万株に減少させる旨の定款の変更をすることができない。【平18-30-ア】
問題2 定款にA種類株式及びB種類株式の2種類の種類株式を発行する旨の定めのある甲株式会社において、A種類株式を株式分割の対象とせず、B種類株式のみを1対2の割合で株式分割をすることも可能である。○か×か?

正しい。株式の分割は、種類株式発行株式会社では種類株式ごとに行う(会183条2項3号)。したがって、A種類株式を株式の分割の対象とせず、B種類株式のみを1対2の割合で株式分割をすることも可能である。ただし、B種類株式のみを株式の分割の対象とするときは、通常、A種類株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるので、損害を及ぼすおそれがある種類株主がいる限り、A種類株式の種類株主総会の決議を要する(会322条1項2号)。【平18-30-エ】
問題3 新株予約権が行使されても、発行済株式総数が増加しない場合がある。○か×か?

正しい。新株予約権が行使された場合、会社は新株予約権者に対して株式を発行してもよいし、これに代えて会社の有する自己株式を交付してもよい。資本金の額は、株主資本内の計数の変動(準備金と余剰金の資本組入れ)の場合を除けば、株式の発行がなければ増加しない(会445条1項)。自己株式を交付した場合には、株式の発行はないから、資本金の額は増加しない。【平19-29-イ】
問題4 株式交換における株式交換完全子会社の発行済株式総数は、株式交換によっては変動しない。○か×か?

正しい。株式交換は、株式交換完全子会社の発行済株式の全部と、株式交換完全親株式会社又は株式交換完全親合同会社がその株式や株式に代わる金銭等を交換するもの(会768条、770条)であり、株式交換完全子会社の発行済株式総数は変動しない。【平19-29-オ】
問題5 会社が全部の株式の内容として、当該株式について、当該会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができることを定めた場合においては、一定の事由が生じた日に当該株式を会社に取得される株主は、その対価として当該会社の他の株式の交付を受けることはできない。○か×か?

正しい。会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができるという取得条項を定めた場合は、一定の事由が生じた日に当該株式を会社に取得される株主は、種類株式発行会社であればその対価として当該会社の他の株式の交付を受けることができる(会108条2項6号ロ)。しかし、会社法107条1項3号の全部の株式の内容として取得条項が定められている場合、2以上の種類の株式が存在しない場合であるから、対価として当該会社の他の株式の交付を受けることはできない(会107条2項3号ニ~ト参照)。【平20-30-ア】
問題6 会社法上の公開会社は、ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することを内容とする種類株式を発行することができない。○か×か?

正しい。取締役の選解任権付種類株式(会108条1項9号)は、公開会社及び指名委員会等設置会社では発行することができない(会108条1項柱書ただし書)。公開会社において、取締役・監査役の選解任権付種類株式の発行を許容すると、一部株主による選解任権の濫用の危険があるからである。【平20-30-エ】
問題7 取締役会設置会社である甲社は、A種類株式の発行後に定款を変更し、A種類株式の内容として、甲社が別に定める日(以下「取得日」という。)が到来することをもって、甲社がA種類株式の一部を取得することができる旨の定款の定めを設けようとしている。この場合、甲社は、当該定款の変更に係る甲社の株主総会の決議に加え、A種類株式を有する株主全員の同意を得なければならない。○か×か?

正しい。種類株式の内容を取得条項付株式とする定款の変更は、株主総会の特別決議に加え(会466条、309条2項11号)、当該種類株式を有する株主全員の同意を得なければならない(会111条1項)。【平24-28-ア】
問題8 取締役会設置会社である甲社は、A種類株式の発行後に定款を変更し、A種類株式の内容として、甲社が別に定める日(以下「取得日」という。)が到来することをもって、甲社がA種類株式の一部を取得することができる旨の定款の定めを設けようとしている。この場合、甲社は、当該定款の定めを設けた場合において、取得日を定めるには、取締役会の決議によらなければならない。○か×か?

正しい。会社が別に定める取得日の到来することをもって、会社が当該種類株式の一部を取得することができる旨の定款の定めを設けた場合、取締役会設置会社が取得日を定めるには、取締役会の決議によらなければならない(会168条1項)。【平24-28-エ】
問題9 株券発行会社の株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社に対抗することができない。○か×か?

正しい。株券発行会社において株式が譲渡された場合、交付を受け株券を所持している者であっても、会社との関係では、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社に対抗することができない(会130条2項)。【平22-28-ア】
問題10 株式会社は、吸収分割により、他の会社から、自己の株式を承継することができるが、親会社株式を承継することはできない。○か×か?

誤り。株式会社は、吸収分割により、他の会社から、自己の株式を承継することもできる(会155条12号)し、親会社株式を承継することもできる(会135条2項3号)。【平25-29-ウ】
問題11 取締役会設置会社が株式の消却又は併合をするときは、株主総会の決議によらなければならないが、株式の分割又は株式無償割当てをするときは、取締役会の決議によって、これを行うことができる。○か×か?

誤り。決議機関に関する比較である。取締役会設置会社の場合、株式の併合は株主総会の特別決議である(会180条2項、309条2項4号)が、株式の消却(会178条2項)、分割(会183条2項柱書括弧書)及び定款に別段の定めがない場合の株式無償割当て(会186条3項本文括弧書)は、取締役会の決議である。【平21-28-ア】
問題12 株式の併合又は分割をする場合には、効力を生ずる日の2週間前までに、株主及び登録株式質権者に対し、株式の併合又は分割をするに当たり定めた事項を通知し、又は公告をしなければならない。○か×か?

誤り。株式の併合をする場合には、効力発生日の2週間(20日と読み替える場合あり)前までに、株主及び登録株式質権者に対し、株式の併合をするにあたり定めた事項を通知し、又は公告をしなければならない(会181条1項、2項、182条の4第3項)。しかし、株式の分割では、原則として基準日(会183条2項1号)の2週間前までに、当該基準日について公告することを要する(会124条3項本文)が、効力を生ずる日の2週間前までに、株主及び登録株式質権者に対し、株式の分割をするにあたり定めた事項を通知し、又は公告することは要求されていない。【平21-28-エ】
問題13 株式会社が事業の全部の譲渡をする場合、当該株式会社の新株予約権の新株予約権者は、当該株式会社に対し、その新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。○か×か?

誤り。株式会社が事業の全部の譲渡をする場合、譲渡会社の新株予約権の新株予約権者が当該会社に対し、その新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することを認める規定はない。株式会社が事業の全部を譲渡したとしても、事業譲渡会社が消滅するわけではないからである。【平22-33-イ】
問題14 吸収分割承継株式会社の新株予約権の新株予約権者は、当該吸収分割承継株式会社に対し、その新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。○か×か?

誤り。吸収分割が行われる場合、吸収分割株式会社の新株予約権者については、新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる場合がある(会787条1項2号)が、吸収分割承継株式会社の新株予約権の新株予約権者が、その新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することは認められていない。【平22-33-エ】
問題15 会社法上の公開会社と公開会社でない株式会社のいずれにおいても、募集株式の発行に係る募集事項の決定を株主総会で行う場合において、当該募集株式の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額であるときは、取締役は、当該株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。○か×か?

正しい。募集株式の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合において、募集株式の発行に係る募集事項の決定を株主総会で行うときは、公開会社と公開会社でない株式会社のいずれであっても、取締役は、当該株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない(会199条3項)。【平20-29-オ】
問題16 会社が譲渡制限株式である募集株式の引受けの申込みをした者の中から当該募集株式の割当てを受ける者を定める場合には、その決定は、取締役会の決議によらなければならない。○か×か?

正しい。定款に別段の定めがある場合を除き、会社が譲渡制限株式である募集株式の引受けの申込みをした者の中から当該募集株式の割当てを受ける者を定める場合には、その決定は、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の決議によらなければならない(会204条2項)。本肢の会社は、公開会社で取締役会設置会社であるから、取締役会の決議によらなければならない。【平25-28-ウ改】
問題17 公開会社が募集株式の発行をした場合、募集株式の引受人は、出資の履行をした募集株式の株主となった日から1年を経過した後は、その株式について権利を行使していない場合であっても、錯誤を理由として募集株式の引受けの取消しを主張することができない。○か×か?

正しい。募集株式の引受人は、出資の履行をした募集株式の株主となった日から1年を経過した後は、その株式について権利を行使していない場合であっても、錯誤を理由として募集株式の引受けの取消しを主張することができない(会211条2項)。【平25-28-オ改】
問題18 譲渡制限新株予約権の譲渡等承認請求について、会社が承認をしない場合には、当該会社又は指定買取人が当該新株予約権を買い取らなければならない。○か×か?

誤り。譲渡制限新株予約権の譲渡等承認請求については、譲渡制限株式の場合(会140条)とは異なり、会社が承認をしない場合の当該会社又は指定買取人の買取りを求める請求権は認められていない。新株予約権を行使した後、株式の譲渡の際に譲渡等承認請求及び買取請求を認めればよいからである。【平23-29-ア】
問題19 自己新株予約権の処分は、会社法所定の募集新株予約権の発行と同様の手続によらなければならない。○か×か?

誤り。募集新株予約権の発行に関する手続(会238条)は、新たに新株予約権を発行する場合にのみ適用される(会238条1項柱書)。自己新株予約権の処分については、会社法に規定がなく、会社法所定の募集新株予約権の発行と同様の手続によらなければならないものではない。【平23-29-エ】
問題20 株式会社は、新株予約権を引き受ける者の募集をしようとする場合には、募集事項として、募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする旨を定めることはできない。○か×か?

誤り。募集新株予約権を発行しようとする場合、募集事項として、募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする旨を定めることができる(会238条1項2号)。【平24-29-ア】
問題21 会社法上の公開会社である株式会社が新株予約権を引き受ける者の募集をしようとする場合において、株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えるときは、当該募集新株予約権の引受けの申込みの期日は、株主総会の決議によって定めなければならない。○か×か?

誤り。公開会社が、株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与える募集新株予約権を発行しようとする場合、当該募集新株予約権の引受けの申込みの期日(会241条1項2号)は、取締役会の決議によって定めることができる(会241条3項3号)。【平24-29-イ】