司法書士試験<過去問題肢別チェック ■商法・会社法「株式会社の設立」>

問題1 複数の発起人のうち、設立時発行株式を1株も引き受けない発起人がいる場合であっても、他の発起人が全ての設立時発行株式を引き受けるときは、設立の無効原因とはならない。○か×か?

誤り。発起人は設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない(会25条2項)。したがって、設立時発行株式を1株も引き受けない発起人がいると、設立手続が法令に違反するため、設立の無効原因となる。【平26-27-イ】

問題2 株式会社の設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合には、設立は、初めから無効となる。○か×か?

誤り。株式会社の設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合には、設立は、将来に向かって無効となる(会839条)。初めから無効となるものではない。【平26-27-オ】

問題3 定款に、現物出資をする者の氏名又は名称、現物出資の目的財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数に関する定めがない場合には、発起人は、その議決権の過半数をもって、これらの事項を決定することができる。○か×か?

誤り。株式会社の設立に際しての現物出資の定めは、定款の相対的記載事項であり、定款に現物出資をする者の氏名又は名称、現物出資の目的財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数の定めがなければ、その効力は生じない(会28条1号)。発起人の議決権の過半数をもって、これらの事項を決定することができるものではない。【平25-27-イ】

問題4 募集設立の場合において、設立時募集株式の引受人のうち払込期日に払込金額の全額の払込みをしていない者があるときは、発起人は、当該引受人に対し、別に定めた期日までに当該払込みをしなければならない旨を通知しなければならず、その通知を受けた当該引受人は、その期日までに当該払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失う。○か×か?

誤り。設立時募集株式の引受人のうち払込期日に払込金額の全額の払込みをしていない者は、当然に設立時募集株式の株主となる権利を失う(会63条3項)。引受人に対し、失権予告付催告を行う必要はない。【平25-27-エ】

問題5 A、B及びCが発起設立の方法によってD株式会社の設立を企図している場合において、D株式会社が種類株式発行会社でなく、かつ、単元株式数を定款で定めていない場合に、AがD株式会社の出資の履行がされた設立時発行株式100株のうち60株を有するときは、Aは、単独で、設立時取締役の選任及び解任を行うことができる。○か×か?

正しい。発起設立の場合、設立時取締役の選任及び解任は、発起人の議決権の過半数で決せられる(会40条1項、43条1項)。単元株式数を定めていない場合、発起人の議決権は設立時発行株式1株につき1議決権であるから(会40条2項、43条2項)、設立時発行株式100株のうち60株を有する者は、議決権の過半数を有するため、単独で設立時取締役の選任及び解任を行うことができる。【平21-27-3】

問題6 設立時取締役は、定款に記載された現物出資に関する事項について裁判所が選任した検査役による調査がされた場合であっても、その出資の履行が完了していることを調査しなければならない。○か×か?

正しい。設立時取締役は、選任後遅滞なく、出資の履行が完了していることを調査しなければならない(会46条1項3号、93条1項3号)。出資の履行の調査は、現物出資に関する裁判所選任の検査役がいる場合であっても、設立時取締役が行うのであり、検査役による調査は、現物出資の履行の有無についてなされるものではない。【平27-27-イ】

問題7 監査役設置会社の設立の無効の訴えについては、株主、取締役、監査役又は清算人は原告適格を有するが、発起人は原告適格を有しない。○か×か?

正しい。監査役設置会社の設立の無効の訴えについては、株主、取締役、監査役又は清算人が原告適格を有する(会828条2項1号)。発起人は、設立手続を実行した当事者であり、設立無効の訴えの原告適格を有しない。【平27-27-オ】

問題8 募集設立における設立時取締役は、その選任後、会社の設立の手続を調査した結果、その手続が法令又は定款に違反していないものと認める場合であっても、その調査結果を創立総会に報告しなければならない。○か×か?

正しい。募集設立における設立時取締役は、その選任後遅滞なく、会社の設立の手続を調査し、その調査結果を創立総会に報告しなければならない(会93条1項、2項)。募集設立の場合は、発起設立の場合(会46条1項、2項参照)とは異なり、その報告は手続が法令又は定款に違反している場合に限定されていないから、手続が法令又は定款に違反していないものと認める場合であっても、その調査結果を創立総会に報告しなければならない。【平20-28-ア】

問題9 募集設立における発起人のうち出資の履行をしていない者がある場合において、当該発起人に対し、期日を定め、当該期日までに出資の履行をしなければならない旨の通知がされたときは、当該期日までに出資の履行をしなかった発起人は、株主となる権利を失う。○か×か?

正しい。募集設立における発起人のうち出資の履行をしていない者がある場合、当該発起人に対し、期日を定め、当該期日までに出資の履行をしなければならない旨の通知がされたときは、当該期日までに出資の履行をしなかった発起人は、設立時発行株式の株主となる権利を失う(会36条1項、3項)。【平20-28-オ】

問題10 会社が発行することができる株式の総数を定款で定めていないときは、会社の成立の時までに、発起人全員の同意によって、定款を変更して、これを定めなければならない。○か×か?

誤り。発起設立の場合、会社が発行することができる株式の総数を定款で定めていないときは、会社の成立の時までに、発起人全員の同意によって定款を変更し、発行可能株式総数の定めを設けなければならない(会37条1項)。しかし、募集設立の場合、設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日又はその期間の初日のうち最も早い日以後は(会95条)、創立総会の決議によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない(会98条)。【平18-32-イ】

問題11 設立時取締役は、その調査により、現物出資財産について定款に記載された価額が相当でないと認めたときは、発起人にその旨を通知しなければならない。○か×か?

誤り。発起設立の場合、設立時取締役は、その調査により、現物出資財産について定款に記載された価額が相当でないと認めたときは、発起人にその旨を通知しなければならない(会46条2項)。他方、募集設立の場合、設立時取締役は、その調査の結果を創立総会に報告しなければならない(会93条2項)。【平18-32-オ】

問題12 発起人は、払込みの取扱いをした銀行、信託会社その他これに準ずるものとして法務省令に定めるものに対し、発起設立の場合には、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができないが、募集設立の場合には、当該証明書の交付を請求することができる。○か×か?

正しい。募集設立の場合には、発起人は、払込みの取扱いをした銀行、信託会社その他これに準ずるものとして法務省令(会施規7条)に定めるものに対し、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる(会64条1項)。募集設立については、設立の登記の添付書面として、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書(商登47条2項括弧書)が要求されるので、払込みの取扱いをした銀行等に払込金保管証明書の発行を認める必要があるからである。しかし、発起設立の場合には、払込みがあったことを証する書面(商登47条2項5号)を添付すればよいため、払込金保管証明書の交付を請求することができる旨の定めはない。【平22-27-イ】

問題13 検査役の調査を経た場合を除き、現物出資の目的財産の価額が定款に記載された価額に著しく不足しているときに発起人が会社に対して当該不足額を支払う義務は、発起設立の場合には、当該発起人がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば、当該発起人が現物出資をした者でない限り、免れることができるが、募集設立の場合には、当該発起人がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したとしても、免れることができない。○か×か?

正しい。検査役の調査を経た場合を除き、現物出資の目的財産の価額が定款に記載された価額に著しく不足しているときに発起人が会社に対して当該不足額を支払う義務は、発起設立の場合には、当該発起人がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば、当該発起人が現物出資をした者でない限り、免れることができる(会52条2項2号)。しかし、募集設立の場合には、当該発起人がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したとしても、免れることができない(会103条1項)。【平22-27-オ】

問題14 発起設立の場合、設立時取締役の解任は、発起人全員の同意によってしなければならない。○か×か?

誤り。発起設立の場合、設立時取締役の解任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する(会43条1項)。【平23-27-ウ】

問題15 募集設立の場合、創立総会の決議によって、全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設ける定款の変更をすることはできない。○か×か?

誤り。募集設立の場合、創立総会の決議(当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の半数以上であって、当該設立時株主の議決権の3分の2以上の多数による決議)によって、全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設ける定款の変更をすることができる(会73条2項)。【平23-27-オ】

問題16 発起設立の場合における設立時取締役の氏名は、定款に記載し、又は記録することを要しない。○か×か?

正しい。発起設立の場合における設立時取締役は、出資の履行が完了した後、発起人の議決権の過半数によって選任する(会38条1項、40条1項)か、又は定款で定めることもできる(会38条3項)。設立時取締役の氏名は、定款の任意的記載事項ではあるが、絶対的記載事項ではない。【平24-27-イ】

問題17 発行可能株式総数を定めていない定款について公証人の認証を受けた後、株式会社の成立前に定款を変更してこれを定めたときは、改めて変更後の定款について公証人の認証を受けることを要しない。○か×か?

正しい。発行可能株式総数を定めていない定款について公証人の認証を受けた後、株式会社の成立前に定款を変更してこれを定めたとき(会37条1項)は、改めて変更後の定款について公証人の認証を受けることを要しない(会30条2項)。【平24-27-オ】

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