司法書士試験<過去問題肢別チェック ■商業登記法「設立の登記」>

問題1 会社が発起人となって株式会社を設立する場合には、当該発起人である会社の定款を添付することは要しない。○か×か?

正しい。株式会社を設立する場合の発起人の資格には限定がなく、会社も発起人となることができる。会社が発起人となった場合、設立事務の執行についての行為が会社の目的の範囲内であることが要求される(昭36.1.5-1号)。しかし、当該発起人である会社について、定款の添付を要求する規定は存在しない。【平18-30-ア】

問題2 定款にいわゆる変態設立事項の記載又は記録がないときは、申請書には、設立時取締役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付することを要しない。○か×か?

正しい。定款に会社法28条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、設立登記の申請書には、検査役又は設立時取締役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付しなければならない(商登47条2項3号イ)。しかし、定款に会社法28条各号のいわゆる変態設立事項の記載又は記録がないときは、設立時取締役の調査報告を記載した書面及びその附属書類の添付は要求されていない。【平24-28-エ】

問題3 当該設立が発起設立である場合において、定款で設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人を定めず、後にこれらの者を選任したときは、これらの者の選任につき発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。○か×か?

誤り。発起設立において、定款に定めのない設立時役員等は、発起人の議決権の過半数で決する(会40条1項)。したがって、設立が発起設立である場合において、定款で設立時役員等を定めず、後にこれらの者を選任したときは、これらの者の選任につき発起人の議決権の過半数の一致があったことを証する書面を添付する(商登47条3項)。【平27-28-イ】

問題4 当該設立が募集設立である場合において、定款に出資された財産の一部を資本準備金とする旨の記載がなく、後にこれを定めたときは、成立後の会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項について決議した創立総会の議事録を添付しなければならない。○か×か?

誤り。会社成立後の資本金及び資本準備金の額に関する事項は、定款に定めがないときは、発起人の全員一致で定めなければならない(会32条1項3号)。したがって、定款に出資された財産の一部を資本準備金とする旨の記載がなく、後にこれを定めたときは、成立後の会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項について発起人の全員一致があったことを証する書面を添付する(商登47条3項)。【平27-28-ウ】

問題5 発起設立の場合には、設立時取締役の選任につき発起人の議決権の過半数の一致があったことを証する書面を添付しなければならない。○か×か?

正しい。発起設立の場合には、設立時取締役は発起人の議決権の過半数によって選任される(会38条1項、40条1項)。したがって、発起設立による設立登記の申請書には、設立時取締役の選任につき発起人の議決権の過半数の一致があったことを証する書面を添付しなければならない(商登47条3項)。【平18-30-ウ】

問題6 発起設立の場合において、設立に際して発行する株式の数を定款に定めなかったときは、これを定める発起人全員の同意を証する書面を添付しなければならない。○か×か?

正しい。発起設立の場合において、各発起人に対して割り当てる設立時発行株式の数を定款に定めなかったときは、発起人全員の同意で定めなければならない(会32条1項1号)。したがって、これを定める発起人全員の同意を証する書面(商登47条3項)を添付しなければならない。【平19-29-イ】

問題7 現物出資がされた場合には、設立時の資本金の額が現物出資の目的である財産について定款に記載された価額の総額と一致するときであっても、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない。○か×か?

正しい。設立時における出資に係る財産について、現物出資がされた場合には、設立登記の申請書に、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない(商登規61条9項)。なお、出資に係る財産が金銭のみである場合については、当分の間、資本金の額の計上に関する書面の添付を要しないこととなっている(平19.1.17-91号)が、現物出資がされた場合には、そのような取扱いはない。【平19-29-オ】

問題8 設立しようとする株式会社と本店の所在場所が同一であり、かつ、同一の商号の登記がされている株式会社がその商号を変更していたにもかかわらず、当該商号の変更の登記をしないときは、設立しようとする株式会社の発起人は、申請書に当該商号の登記に係る本店の所在場所において同一の商号を使用しようとする者であることを証する書面を添付して、当該商号の登記の抹消を申請することができる。○か×か?

正しい。設立しようとする株式会社と本店の所在場所が同一であり、かつ、同一の商号の登記がされている株式会社がその商号を変更していたにもかかわらず、当該商号の変更の登記をしないときは、本店の所在場所において同一の商号をしようとする者は、当該商号の登記の抹消を申請することができる(商登33条1項3号)。株式会社を設立しようとする場合、申請書に当該商号の登記に係る本店の所在場所において同一の商号を使用しようとする者であることを証する書面(商登33条2項)、具体的には公証人の認証を受けた定款と当該場所を本店の所在場所を定めた発起人の決定書などを添付して、発起人が抹消請求することができる。【平20-34-ア】

問題9 公告方法を電子公告とする旨の定款の定めのある株式会社の設立の登記においては、決算公告の内容を掲載するウェブページのアドレスを、決算公告以外の内容を掲載するウェブページのアドレスとは別に登記することができる。○か×か?

正しい。公告方法を電子公告とする旨の定款の定めのある株式会社の設立の登記においては、決算公告の内容を掲載するウェブページのアドレスを、決算公告以外の内容を掲載するウェブページのアドレスとは別に登記することができる(会911条3項29号イ、会施規220条2項、平18.4.26-1110号)。【平20-34-オ】

問題10 発起設立の場合において、公証人の認証を受けた当該株式会社の定款に定められた発行可能株式総数を変更した場合、当該設立の登記の申請書には、この変更について発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。○か×か?

正しい。発起設立の場合において、定款で発行可能株式総数を定めていたとしても、株式会社の成立の時までに、発起人全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる(会37条2項)。この場合、当該設立の登記の申請書には、発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない(商登47条3項)。【平21-28-エ】

問題11 発起人が作成した定款に成立後の当該株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項についての定めがない場合において、当該株式会社に払込み又は給付をした財産の額の一部を資本金として計上しないときは、申請書には、当該事項について発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。○か×か?

正しい。定款に成立後の当該株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項についての定めがない場合、発起人全員の同意で当該事項を定めなければならない(会32条1項3号)。そして、設立登記の申請書には、資本金及び資本準備金の額に関する事項について発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない(商登47条3項)。【平23-29-ア】

問題12 当該設立が募集設立である場合において、その発起人が株式申込人である他の株式会社の代表取締役と同一人であるときであっても、申請書には、当該他の株式会社において利益相反取引の承認を受けたことを証する書面の添付を要しない。○か×か?

正しい。募集設立である場合において、その発起人が株式申込人である他の株式会社の代表取締役と同一人であるときは、当該株式の引受けは、他の会社にとって取締役と会社との利益相反取引に該当すると解されるため、株主総会(取締役会設置会社においては取締役会)の承認を要する(会356条1項2号、365条1項)。しかし、設立登記の申請書には、当該他の株式会社において利益相反取引の承認を受けたことを証する書面の添付を要しない(昭61.9.10-6912号)。【平23-29-イ】

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