問題1 商業登記法は、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的として制定されている。○か×か?

正しい。商業登記法の目的は、商法、会社法その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することである(商登1条)。【平26-28-ア】
問題2 株主総会における取締役の選任の決議を無効とする判決が確定した場合であっても、当該取締役の選任の登記を抹消する登記をしなければ、取締役の選任の決議が無効である事実を善意の第三者に対抗することができない。○か×か?

正しい。登記すべき事項は、登記の後でなければ、善意の第三者に対抗することができない(消極的公示力:会908条1項前段、商9条1項前段)。したがって、株主総会における取締役の選任の決議を無効とする判決が確定した場合であっても、当該取締役の選任の登記を抹消する登記をしなければ取締役の選任の決議が無効である事実を善意の第三者に対抗することができない(東京地判大8.3.27)。【平18-28-ウ】
問題3 商人が商号を譲渡した場合において、その登記がないときは、当該商人は、悪意の第三者に対しても、商号譲渡の事実を対抗することができない。○か×か?

正しい。商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない(商15条2項)。この第三者については、悪意の第三者も含まれると解されている。したがって、商人が商号を譲渡した場合において、その登記がないときは、当該商人は、悪意の第三者に対しても、商号譲渡の事実を対抗することができない。【平18-28-オ】
問題4 会社の代表者が印鑑の提出をした登記所に会社の支配人の印鑑を提出する場合には、当該代表者が印鑑の届書に登記所が作成した作成後3月以内の当該代表者の印鑑証明書を添付してしなければならない。○か×か?

誤り。会社の代表者が登記所に印鑑を提出している場合に、支配人がその印鑑を登記所に提出しようとするときは、印鑑届書に当該会社の代表者が支配人の印鑑に相違ないことを保証した書面であって、当該登記所に提出している印鑑を押印したものを添付して、当該支配人からしなければならない(商登規9条5項3号イ)。本問は「当該代表者が…しなければならない」としている点が誤りである。【平15-30-ア改】
問題5 代表取締役が数人いる株式会社について、これらの代表取締役が同一の印鑑を登記所に提出することはできない。○か×か?

正しい。数人の代表取締役が同一の印鑑を登記所に提出することはできない(昭43.1.19-207号)。申請人の同一性を確認するために印鑑を提出させるのであるから、代表取締役はそれぞれ別の印鑑を提出しなければならないからである。【平17-31-エ】
問題6 株式会社の代表取締役がその提出に係る印鑑の廃止の届出をするときは、当該印鑑に係る印鑑カードを提示すれば、当該届出に係る書面に当該印鑑を押印することを要しない。○か×か?

正しい。印鑑の提出をした者は、被証明事項のほか、氏名、住所、年月日及び登記所の表示を記載し、当該印鑑を押印した書面で印鑑の廃止の届出をすることができる(商登規9条7項前段)。この場合において、印鑑カードを提示するときは、押印を要しない(商登規9条7項後段)。【平21-32-イ】
問題7 取締役4名及び監査役2名が選任されたことが記載されている株主総会の議事録を添付して取締役4名の就任による変更の登記のみが申請され、当該変更の登記がされているときは、当該株式会社は、監査役2名の就任につき遺漏による登記の更正を申請することができる。○か×か?

誤り。取締役4名及び監査役2名が選任されたにもかかわらず、取締役4名の就任による変更の登記のみが申請され、変更が登記されている場合、当該変更登記には錯誤又は遺漏はない。監査役2名の就任については、登記しなければならない事項を懈怠して登記していない状態にすぎないため、遺漏による登記の更正を申請することはできない。【平24-33-ア】
問題8 登記官の過誤により登記に遺漏が生じたときは、当該株式会社は、その登記の更正を申請することができない。○か×か?

誤り。登記官の過誤により登記に遺漏が生じたときでも、登記に遺漏があれば、当該株式会社は、その登記の更正を申請することができる(商登132条1項)。なお、登記官の過誤により登記に遺漏が生じた場合、登記官は、遅滞なく、監督法務局又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければならない(商登133条2項)。【平24-33-エ】