問題1 株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の新株予約権付社債を承継する場合における株式交換完全親会社がする株式交換による変更の登記の申請書には、株式交換完全親会社において債権者異議手続をしたことを証する書面を添付することを要しない。○か×か?

誤り。株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の新株予約権付社債を承継する場合には、株式交換完全親会社において債権者異議手続を経なければならない(会799条1項3号)。そして、株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の新株予約権付社債を承継する場合の株式交換完全親会社がする株式交換による変更の登記の申請書には、株式交換完全親会社において債権者異議手続をしたことを証する書面を添付することを要する(商登89条3号)。【平24-32-イ】
問題2 株式交換完全親会社がする株式交換による変更の登記においては、株式交換をした旨並びに株式交換完全子会社の商号及び本店も登記しなければならない。○か×か?

誤り。株式交換完全親会社がする株式交換による変更の登記では、株式交換をした旨並びに株式交換完全子会社の商号及び本店は、登記事項とされていない(商登89条参照)。【平24-32-エ】
問題3 株式移転完全子会社の新株予約権が新株予約権付社債に付されたものでない場合には、株式移転完全子会社において債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要はない。○か×か?

正しい。株式移転設立完全親会社が株式移転完全子会社の発行した新株予約権付社債の社債に係る債務を承継する場合は、債務者の交替となるので、株式移転完全子会社において債権者保護手続をしなければならない(会810条1項3号)。しかし、株式移転完全子会社の新株予約権が新株予約権付社債に付されたものでない場合には、債務の承継はないため、株式移転完全子会社において債権者保護手続は行われない。したがって、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要はない。 【平18-32-イ改】
問題4 株式移転完全子会社の株主に対し株式買取請求権の行使の機会を与えるための公告をした場合でも、当該公告をしたことを証する書面を添付する必要はない。○か×か?

正しい。株式移転に際し、株式移転完全子会社は、株主総会決議の日から2週間以内に、その株主に対し株式買取請求権の行使の機会を与えるために通知又は通知に代わる公告をしなければならない(会806条3項、4項)。しかし、この通知又は公告をした場合でも、株式移転による設立登記の申請書に関し、当該通知又は公告をしたことを証する書面の添付を要求する規定はない。 【平18-32-オ改】
問題5 株式移転完全子会社が種類株式発行会社である場合において、株式移転により株式移転完全子会社の株主に対して交付する株式移転完全親株式会社の株式の一部が譲渡制限株式であるときは、当該株式移転の登記の申請書には、当該譲渡制限株式の割当てを受けるすべての種類の株式に係る当該各種類の株式の種類株主を構成員とする各種類株主総会の議事録を添付しなければならない。○か×か?

誤り。株式移転完全子会社が種類株式発行会社である場合において、株式移転により株式移転完全子会社の株主に対して交付する株式移転完全親株式会社の株式の一部が譲渡制限株式であったとしても、株式移転完全子会社の譲渡制限株式を有する種類の株主に関しては、当該種類の種類株主総会の決議は要しない(会804条3項本文括弧書)。したがって、譲渡制限株式を有する種類の株主の種類株主総会議事録の添付は要しない場合があるから、本肢の株式移転の登記の申請書には、当該譲渡制限株式の割当てを受けるすべての種類の株式に係る当該各種類の株式の種類株主を構成員とする各種類株主総会の議事録を添付しなければならないとはいえない。 【平20-32-オ】
問題6 合同会社が組織変更をした場合の組織変更後の株式会社についてする登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない。○か×か?

誤り。組織変更後の株式会社の資本金の額は、組織変更の直前の持分会社の資本金の額である(会計規34条)。合同会社から株式会社への組織変更の場合には、登記簿から組織変更の直前の合同会社の資本金の額を確認することができるため、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付することを要しない(平18.3.31-782号)。【平21-35-イ】
問題7 株式会社が合同会社への組織変更をする場合において、当該組織変更計画において定めた効力発生日までに債権者保護手続が終了しないため、当該効力発生日の前日までに当該効力発生日を変更したときは、変更後の効力発生日を公告しなければならないが、当該組織変更後の合同会社についてする登記の申請書には、効力発生日の変更に係る公告をしたことを証する書面を添付する必要はない。○か×か?

正しい。株式会社が合同会社への組織変更をする場合において、当該組織変更計画において定めた効力発生日までに債権者保護手続が終了しないため、当該効力発生日の前日までに当該効力発生日を変更したときは、変更後の効力発生日を公告しなければならない(会780条2項)。しかし、組織変更による合同会社の設立登記の申請書には、効力発生日の変更に係る公告をしたことを証する書面の添付は要求されていない(商登77条参照)。【平20-32-エ】
問題8 吸収合併存続会社の合併に関する登記は吸収合併存続会社の代表者が、吸収合併消滅会社の合併に関する登記は吸収合併消滅会社の代表者が、それぞれ申請しなければならない。○か×か?

誤り。吸収合併消滅会社に関する合併による解散登記は、吸収合併存続会社の代表者が、吸収合併消滅会社を代表して申請する(商登82条1項)。【平17-34-ア】
問題9 吸収合併消滅会社が種類株式発行会社である場合において、合併対価の一部が持分会社の持分であるときは、合併による変更の登記の申請書には、持分の割当てを受ける種類の種類株主全員の同意を証する書面を添付しなければならない。○か×か?

正しい。合併対価の一部が持分会社の持分であるときは、吸収合併消滅会社が単一株式発行会社であれば総株主の同意(会783条2項)、種類株式発行会社であれば持分の割当てを受ける種類の種類株主全員の同意(会783条4項)を要する。したがって、吸収合併消滅会社が種類株式発行会社である場合、合併による変更の登記の申請書には、持分の割当てを受ける種類の種類株主全員の同意を証する書面を添付しなければならない。【平19-34-イ】
問題10 A株式会社を吸収合併存続会社とし、B株式会社を吸収合併消滅会社として吸収合併をする場合において、株券発行会社であるB株式会社に対しその発行済株式の全部につき株券不所持の申出がされているときは、吸収合併による変更の登記の申請書には、株券提供公告をしたことを証する書面に代えて、当該株式の全部について株券を発行していないことを証する書面を添付することができる。○か×か?

正しい。吸収合併消滅会社が株券発行会社である場合において、その発行済株式の全部につき株券不所持の申出がされているときは、吸収合併による変更の登記の申請書には、株券提供公告をしたことを証する書面に代えて、当該株式の全部について株券を発行していないことを証する書面を添付することができる(商登80条9号、59条1項2号)。【平20-32-イ】
問題11 吸収分割株式会社が新株予約権を発行している場合の吸収分割承継株式会社がする吸収分割による変更の登記の申請書には、当該吸収分割承継株式会社が当該吸収分割に際して吸収分割株式会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該吸収分割承継株式会社の新株予約権を交付しないときであっても、新株予約権証券提供公告をしたことを証する書面を添付しなければならない。○か×か?

誤り。新株予約権を発行している株式会社が吸収分割後も存続する分割会社である場合には、吸収分割株式会社が発行している新株予約権をそのまま存続させて構わない。そして、吸収分割株式会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる吸収分割承継株式会社の新株予約権を交付しない場合には、新株予約権証券提供公告をする必要はない(会293条1項4号参照)ので、新株予約権証券提供公告をしたことを証する書面を添付する必要はない。【平21-31-ア】
問題12 吸収分割により吸収分割承継会社が承継した債務の全部につき、吸収分割会社が吸収分割承継会との間で併存的債務引受契約を締結した場合には、吸収分割承継会社についてする吸収分割による変更の登記の申請書には、吸収分割会社においてその知れている債権者に対して各別の催告をしたことを証する書面を添付する必要はない。○か×か?

正しい。吸収分割の場合、吸収分割後に分割会社に対して債務の履行を請求できる債権者に対して分割会社は債権者保護手続を行う必要がない(会789条1項2号)。吸収分割承継会社が承継した債務の全部につき、吸収分割会社が吸収分割承継会社との間で併存的債務引受契約を締結した場合には、分割会社の債権者は全員が分割後も分割会社に対して債務の履行を請求できるので、債権者保護手続を行う必要がない。したがって、この場合、吸収分割承継会社についてする吸収分割による変更の登記の申請書には、吸収分割会社においてその知れている債権者に対して各別の催告をしたことを証する書面を添付する必要はない。【平19-34-ウ改】