司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民事訴訟法等「訴訟の審理Ⅰ」>
問題1 裁判所が証拠調べの結果に基づき、いずれの当事者も主張していない主要事実を認定することは、弁論主義に反する。○か×か?
正しい。裁判所は、当事者が主張しない主要事実を認定して裁判の基礎とすることはできない(弁論主義の第1テーゼ)。【平11-2-5】
問題2 同時履行の抗弁については、当事者がその主張をしない限り、裁判所は、これを判決の基礎とすることはできない。○か×か?
正しい。裁判所は、当事者が主張しない事実を認定して判決の基礎とすることはできない(弁論主義の第1テーゼ)。訴訟上の攻撃防御方法のうち、同時履行の抗弁権は、権利の発生原因事実が弁論に現れていても、訴訟上その権利行使の主張がなされなければ抗弁として斟酌できない(権利抗弁)。裁判所がこれを判決の基礎とするためには、同時履行の抗弁権行使の意思表示の事実の主張が当事者からなされていることが必要である(最判昭27.11.27参照)。【平19-2-ア】
問題3 債務不履行に関する過失相殺は、債務者が過失相殺をすべきであるとの主張をしなくても、裁判所が職権ですることができる。○か×か?
正しい。債務不履行に関する過失相殺は、債務者の主張がなくても、裁判所が職権ですることができる(最判昭43.12.24)。【平19-2-ウ】
問題4 所有権に基づく土地の明渡請求訴訟において、原告が被告に対して当該土地の使用を許した事実を原告自身が主張し、裁判所がこれを確定した場合には、被告が当該事実を自己の利益に援用しなかったときでも、裁判所は、当該事実を判決の基礎とすることができる。○か×か?
正しい。主張責任を負う当事者が自己に有利な事実を主張しなくても、相手方がその事実(相手方にとっては不利益な事実)を主張していれば、裁判所は当該事実を判決の基礎とすることができる(主張共通の原則)。【平25-3-ア】
問題5 裁判所は、債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟において、債務者である被告が原告である債権者の過失となるべき事実を主張し、この事実が証拠から認められる場合には、被告が過失相殺の主張をしていないときであっても、過失相殺の抗弁を判決の基礎とすることができる。○か×か?
正しい。債務不履行に関する過失相殺(民418条)は、債務者の主張がなくても、裁判所が職権で過失相殺をすることができる(最判昭43.12.24)。【平25-3-エ】
問題6 AがBに対して貸金返還請求訴訟を提起したところ、Bは「既に借受金を弁済した」と主張した。この場合、Bが主張する弁済の事実は間接事実に当たる。○か×か?
誤り。弁済の事実(民474条以下)は、債権の消滅という法律効果を判断するのに直接必要な事実であるから、主要事実になる。【平23-4-イ】
問題7 当事者の一方が主張している間接事実を他方の当事者が争っていない場合には、裁判所は、その事実と異なる事実を認定することができない。○か×か?
誤り。裁判所は、当事者間に争いのない事実は、そのまま判決の基礎としなければならない。これを弁論主義の第2テーゼ(自白の拘束力の原則)という。弁論主義の第2テーゼが適用されるのは、主要事実に限られ、間接事実には適用されないから、間接事実の自白は裁判所を拘束しない(最判昭31.5.25)。したがって、原告が主張する間接事実について被告が争わない場合であっても、裁判所は、その事実に拘束されず、これに反する実を認定して裁判の資料とすることができる。【平23-4-オ】
問題8 AがBに対して債務不存在確認訴訟を提起した。裁判所は、証拠調べの結果、Aの債務が存在するとの心証を得たことから、Bの反訴の提起がないにもかかわらず、Aの債務が存在することを確認する旨の判決を言い渡した。この裁判所の措置は処分権主義に反する。○か×か?
正しい。裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない(民訴246条)。本肢で、当事者(A)が申し立てたのはAの債務の不存在確認のみであり、Aの債務の存在確認については、当事者は申し立てていない。したがって、Aの債務が存在することを確認する旨の判決を言い渡すことは、処分権主義に反する。【平11-4-3】
問題9 単独の裁判官が交代し、その直後の口頭弁論の期日において、原告が出頭しなかった場合には、被告は、従前の口頭弁論の結果を陳述することはできない。○か×か?
誤り。裁判官が代わった場合には、当事者は、従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない(民訴249条2項)。これを弁論の更新という。弁論の更新は、当事者双方でするのが原則であるが、一方当事者が欠席したときは、出席当事者のみで陳述できる(最判昭31.4.13)。【平12-4-2】
問題10 専属管轄に違反して管轄権のない裁判所が証拠調べをした場合、責問権の放棄の対象とならない。○か×か?
正しい。公益性の強い規定については、当事者の態度によってその行為の効力が左右されるべき性質のものではないから、責問権の放棄・喪失(民訴90条)の対象にはならない。専属管轄は、裁判の適正・迅速という公益上の必要から認められるものであるから、公益性の強い規定といえる。したがって、責問権の放棄の対象とならない。【平2-2-5】
問題11 職権証拠調べの禁止は、処分権主義の現れである。○か×か?
誤り。処分権主義は、訴訟の開始、審判の対象の特定、訴訟の終了等につき当事者の主導権を認めてその処分を委ねる建前のことである(民訴246条参照)。一方、職権証拠調べの禁止は、争いのある事実について証拠調べをする際には、当事者の申し出た証拠に基づかなければならないとするものであり、これは、弁論主義の現れである。【平15-5-ア】
問題12 不利益変更の禁止は、弁論主義の現れである。○か×か?
誤り。弁論主義は、裁判の基礎となる訴訟資料の提出を当事者の権能かつ責任とする建前のことである。一方、不利益変更の禁止は、上訴審で原判決を不服申立ての限度を超えて、上訴人に不利益に変更することを許さないとするもの(民訴304条)であり、これは、処分権主義の現れである。【平15-5-イ】
問題13 弁論の併合の決定は、当事者に申立権がない。○か×か?
正しい。弁論の併合の決定は、裁判所の裁量により、職権で行われる(民訴152条1項)から、当事者は申立権を有しない。【平5-5-5】
問題14 裁判所は、口頭弁論を経ないで、直ちに事件を弁論準備手続に付することはできない。○か×か?
誤り。当事者に異議がないときは、最初の口頭弁論期日前に弁論準備手続に付することができる(民訴規60条1項ただし書)。【平4-2-1】
問題15 準備的口頭弁論及び弁論準備手続のいずれも、裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときは、当事者の一方がその期日に出頭した場合に限り、当事者の意見を聴いて、いわゆる電話会議方式によって手続を行うことができる。○か×か?
誤り。裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の一方がその期日に出頭した場合に限り、当事者の意見を聴いて、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法(電話会議方式)によって、弁論準備手続の期日における手続を行うことができる(民訴170条3項)。これに対して、準備的口頭弁論においては、その期日はあくまでも口頭弁論として行われるものであるから、電話会議方式は認められない。【平13-1-5】
問題16 弁論準備手続の期日において、裁判所は、訴えの変更を許さない旨の決定をすることができる。○か×か?
正しい。裁判所は、弁論準備手続の期日において、証拠の申出に関する裁判その他の口頭弁論の期日外においてすることができる裁判をすることができる(民訴170条2項)。訴えの変更を許さない旨の決定(民訴143条4項)は、口頭弁論の期日外においてすることができる裁判に当たる。【平18-2-4】
問題17 地方裁判所における口頭弁論期日に欠席した当事者から、事前に準備書面が提出されているときは、その記載事項は、陳述したものとみなすことができる。○か×か?
誤り。当事者の一方が最初にすべき口頭弁論期日に欠席した場合、裁判所は、その者が提出した準備書面に記載した事実を陳述したものとみなすことができる(民訴158条)。しかし、この陳述擬制が認められるのは、地方裁判所においては、最初の期日に限られる。続行期日にまで認めると、口頭主義を骨抜きにしてしまうからである。【平元-3-4】
問題18 公示送達により呼出しを受けた当事者は、口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない場合でも、相手方の主張した事実を自白したものとみなされることはない。○か×か?
正しい。当事者が口頭弁論期日に出頭しない場合、相手方の主張した事実を自白したものとみなされる(民訴159条3項本文)。しかし、この自白の擬制は、公示送達による呼出しを受けたものには、適用がない(民訴159条3項ただし書)。【平9-3-5】
問題19 簡易裁判所の訴訟手続において、当事者の双方が最初の口頭弁論期日に欠席した場合には、裁判所は、原告の訴状及び被告の答弁書に記載した事項を陳述したものとみなして、弁論を続行することができる。○か×か?
誤り。原告又は被告が最初の口頭弁論期日に欠席した場合には、裁判所は、原告の訴状及び被告の答弁書に記載した事項を陳述したものとみなすことができる(民訴158条)が、当事者双方が欠席した場合には、陳述擬制は認められない。【平7-1-1】
問題20 簡易裁判所の訴訟手続においては、原告又は被告が口頭弁論の続行期日に欠席しても、その者が提出した準備書面を陳述したものとみなすことができる。○か×か?
正しい。簡易裁判所の訴訟手続においては、比較的軽微な事件を扱うという特性から、地方裁判所の訴訟手続と異なり、続行期日に当事者の一方が欠席した場合でも、陳述擬制が認められている(民訴277条、158条)。【平18-1-ア】
問題21 証人尋問は、当事者双方が期日に欠席しても、実施することができる。○か×か?
正しい。証拠調べは、当事者双方が期日に出頭しない場合でもすることができる(民訴183条)。【平18-1-エ】
問題22 証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合には、することができない。○か×か?
誤り。証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合においても、することができる(民訴183条)。【平26-2-ウ】
問題23 請求の放棄をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論の期日に出頭しないときは、裁判所は、その旨の陳述をしたものとみなすことができない。○か×か?
誤り。請求の放棄又は認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論等の期日に出頭しないときは、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、その旨の陳述をしたものとみなすことができる(民訴266条2項)。【平26-2-エ】
問題24 地方裁判所の口頭弁論の期日に原告、被告双方が欠席した場合、1か月以内に当事者から期日指定の申立てがされないときは、訴えを取り下げたものとみなされる。○か×か?
正しい。当事者双方が、口頭弁論期日に出頭しない場合において、1か月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす(民訴263条前段)。【平元-2-3】
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