問題1 AB夫婦間には子C及びDがおり、DE夫婦間には子F及びGがいる。Dが相続により利益を得ようと考えてAを殺害して刑に処せられた場合には、Aの相続人は、B、C、F及びGである。○か×か?

正しい。法定相続人は、配偶者(民890条前段)と血族相続人である(民887条、889条)。したがって、Aが死亡した場合、Aの配偶者であるBと、Aの子であるCとDが相続人となる(民887条1項)はずであるが、DはAを殺害して刑に処せられている。相続人が故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ又は至らせようとしたために、刑に処せられた場合は、相続人の欠格事由に当たり相続権を失う(民891条1号)。そして、相続人が「欠格」によって相続権を失った場合、欠格者の子がこれを代襲して相続人となる(民887条2項本文)。したがって、Aの子DがAを殺害して刑に処せられたためDは相続権を失うが、Dの子であるFとGが代襲してAの相続人となる。以上より、本肢におけるAの相続人はB、C、F及びGとなる。【平17-23-ア】
問題2 AB夫婦間には子C及びDがおり、DE夫婦間には子F及びGがいる。A及びDが同乗する自動車の事故によりいずれも死亡したが、両名の死亡の前後が不明であった場合には、Aの相続人は、B、C、F及びGである。○か×か?

正しい。数人の者が死亡した場合において、そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでない場合は、これらの者は、同時に死亡したものと推定する(同時死亡の推定・民32条の2)。同時死亡の推定の意義は、死亡者相互の相続が認められない点にあるが、同時死亡は相続の代襲原因を定めた民法887条2項の「相続の開始以前に死亡」に含まれる。したがって、本肢においては、A及びその子Dが同乗する自動車の事故によりいずれも死亡しているが、両名の死亡の前後が不明であるため、同時死亡の推定が働き、AD間に相続は認めらない。しかし、Dの子であるFとGがDを代襲してAの相続人となる。そしてAの配偶者であるBと、Aのもう一方の子であるCがAの相続人である。以上より、本肢におけるAの相続人はB、C、F及びGとなる。【平17-23-オ】
問題3 被相続人Aの子であるBが相続放棄をした場合、Bの子であるCが、Bを代襲してAの相続人となる。○か×か?

誤り。相続の放棄は、代襲原因とはされておらず(民887条2項本文)、代襲相続は認められない。したがって、CはAの相続人とはならない。【平27-22-イ】
問題4 被相続人の生前にされた推定相続人の廃除は、遺言によって取り消すことはできない。○か×か?

誤り。被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない(民893条)。この規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用されている(民894条2項)。したがって、推定相続人の廃除は、遺言によって取り消すことができる。【平27-22-オ】
問題5 Aには子Bがおり、Bには子Cがいる。AとBとが同時に死亡した。この場合、Cは、Bを代襲してAの相続人となる。○か×か?

正しい。同時死亡は、相続の代襲原因を定めた民法887条2項の「相続の開始以前に死亡」に含まれる。したがって、Bの子であるCは、Bを代襲してAの相続人となる。【平23-22-イ】
問題6 Aには子B及びCがおり、Bには子Dがおり、Dには子Eがいるが、Cには配偶者も子もおらず、また、Aを除き生存している直系尊属もいない。A、B及びDが死亡した後に、Cが死亡した。この場合、Eは、B及びDを代襲せず、Cの相続人とはならない。○か×か?

正しい。兄弟姉妹の子も代襲相続することができる(民889条2項、887条2項本文)が、その代襲者につき、さらに代襲原因が存在したとしても、代襲者の子による再代襲相続は認められていない(民889条2項の887条3項の不準用)。CにとってEは兄弟姉妹の子の再代襲相続にあたるため、EはB及びDを相続せず、Cの相続人とはならない。【平23-22-オ】
問題7 子のいないAB夫婦は、先妻との間の子CがいるDを養子にした。その後、Dは、Eと再婚し、その間にFが生まれた。なお、Aには母Gがいる。ところで、A、D及びFの3人は、旅行中に飛行機事故で死亡したが、その死亡の先後は不明であり、Aの遺産は1,200万円であった場合、Bが800万円を、Gが400万円を相続する。○か×か?

A、D及びFは飛行機事故で死亡したが、その3者の死亡の前後が不明であることから、同時死亡の推定が働く(民32条の2)。同時死亡の推定が働くと、死亡者相互間では相続を生じない。一方、CはDの子であるが、CはAB夫婦とDとの養子縁組前に生まれた子であるので、養親及び養親の血族との間に親族関係を生じない(大判昭7.5.11)。したがって、CはAの代襲相続人にはならない。さらに、EはDの配偶者であるが、相続人となる者の配偶者は代襲相続人にはならない(民887条2項、3項、889条2項)。よって、EはAの代襲相続人にならない。以上により、Aの相続人は、配偶者B及び母Gとなる。そして、配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2であり、直系尊属の相続分は3分の1である(民900条2号)ので、Aの1,200万円の遺産に対して、配偶者Bが800万円、母Gは400万円を相続することとなる。【平15-24】