司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民事訴訟法等「各論」>

問題1 強制競売の開始決定がされた不動産について、差押えの登記後に抵当権の設定の登記をすることも可能であるが、その抵当権を有する債権者は、当該競売手続において配当を受けることができない。○か×か?

正しい。強制競売の開始決定がされた不動産について、差押えの登記後に抵当権の設定の登記をすることはできる(処分禁止の相対効)。しかし、差押えの登記後に抵当権の設定の登記を受けた債権者は、当該競売手続において配当を受けることができない(民執87条1項4号反対解釈、51条1項参照)。【平21-7-ウ】

問題2 執行裁判所は、買受人に対抗することができない権原により強制競売に係る不動産を占有する者に対しては、その者が債務者との関係で正当な占有権原を有する場合であっても、当該不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。○か×か?

正しい。執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、事件の記録上買受人に対抗することができる権原により占有していると認められる者に対しては、この限りでない(民執83条1項)。したがって、差押えの効力が生ずる前からの占有者で債務者に対する関係では正当な占有権原を有する者であっても、買受人に対抗できる権原を有しない者(例えば、対抗要件を具備していない賃借権者など)は引渡命令の相手方となる。【平21-7-オ】

問題3 転付命令が効力を生じた場合において、転付命令に係る債権が存在しなかったときは、差押債権者の債権及び執行費用が弁済されたものとみなされる効力は生じない。○か×か?

正しい。転付命令が効力を生ずると、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で弁済されたものとみなされる(民執160条)。したがって、転付命令に係る債権が存在しなかったときは、転付命令はその効力を生じない。【平18-7-5改】

問題4 担保不動産競売の申立てがされた不動産について、既に強制競売の開始決定がされているときは、執行裁判所は、担保不動産競売の開始決定をすることができない。○か×か?

誤り。担保不動産競売の申立てがされた不動産について、既に強制競売の開始決定がされているときは、執行裁判所は、更に担保不動産競売の開始決定をする(民執188条、47条1項)。【平23-7-ア】

問題5 担保不動産について不動産の所有者が不動産の価格を減少させ、又は減少させるおそれがある行為をしていた場合には、当該不動産の担保権者は、担保不動産競売の申立てをした後に限り、当該行為を禁止することを命ずる保全処分の申立てをすることができる。○か×か?

誤り。執行裁判所は、担保不動産競売の開始決定前であっても、債務者又は不動産の所有者若しくは占有者が不動産の価格を減少させ、又は減少させるおそれがある行為をする場合において、特に必要があるときは、当該不動産につき担保不動産競売の申立てをしようとする者の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、当該行為を禁止することを命ずる保全処分をすることができる(民執187条1項本文、55条1項1号)。【平23-7-エ】

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