司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民事訴訟法等「訴訟の開始」>
問題1 訴状に貼る印紙に不足がある場合には、裁判長は、この補正を命じ、これに従わないときは、訴状を却下しなければならない。○か×か?
正しい。訴状には、民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い、訴え提起の手数料として訴訟物の価額に応じた一定額の収入印紙を貼用しなければならない(民訴137条1項後段)。そして、印紙に不足がある場合において、原告が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、訴状を却下しなければならない(民訴137条2項)。【平2-4-5】
問題2 簡易裁判所においては、訴えは、口頭で提起することができる。○か×か?
正しい。簡易裁判所においては、訴えは、口頭で提起することができる(民訴271条)。【平27-3-ウ】
問題3 原告が貸金返還請求の訴えを地方裁判所に提起した場合、当該訴えに係る貸金返還請求権についての時効の完成猶予の効力は、その訴状を当該地方裁判所に提出した時に生ずる。○か×か?
正しい。裁判上の請求による時効の完成猶予の効果は、訴え提起の時(通常は裁判所に訴状を提出した時)に生ずる(民訴147条)。【平27-3-オ改】
問題4 送達を受けるべき者が送達場所とともに送達受取人を受訴裁判所に届け出た場合には、当該送達を受けるべき者に出会った場所においてした送達は、その者がその送達を受けることを拒まなかったときでも、無効である。○か×か?
誤り。送達場所の届出をした者が送達を受けることを拒まないときは、同人に対する送達は、その者に出会った場所においてすることができる(民訴105条後段)。【平26-1-ウ】
問題5 就業場所以外の場所でする補充送達は、送達を受けるべき者が実際にその書類の交付を受けて内容を了知しなければ、無効である。○か×か?
誤り。就業場所以外の送達をすべき場所において送達を受けるべき者に出会わないときは、使用人その他の従業者又は同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付することができる(民訴106条1項)。補充送達の場合、使用人その他の従業者又は同居者に書類が交付されれば、送達の効力が生じると解されている。【平26-1-エ】
問題6 給付の訴えを認容する判決が確定すると、給付義務が存在するという判断に既判力が生ずる。○か×か?
正しい。給付の訴えに対する請求認容判決は、被告に原告への給付を命じる給付判決であり、被告の原告に対する給付義務の存在につき既判力が生ずる。【平12-1-エ】
問題7 給付の訴えを却下する判決が確定すると、給付義務が存在しないという判断に既判力が生ずる。○か×か?
誤り。給付の訴えにおいて、給付義務が存在しないという判断に既判力が生ずるのは、訴え「却下」の判決が確定した場合ではなく、請求「棄却」の判決が確定した場合である。【平12-1-オ】
問題8 賃貸借契約継続中に賃借人が賃貸人に対して敷金返還請求権が存在することの確認を求める訴えは、賃貸人が敷金交付の事実を争っているときであっても、条件付請求権の確認を求めるものであるから、確認の利益がない。○か×か?
誤り。建物賃貸借契約継続中に賃借人が賃貸人に対して提起した敷金返還請求権の存在確認を求める訴えは、賃貸借契約終了後建物の明渡しがされた時において、それまでに生じた敷金の被担保債権を控除し、なお残額があることを条件とする権利の確認を求めるものであり、賃貸人が賃借人の敷金交付の事実を争って敷金返還義務を負わないと主張しているときは、確認の利益がある(最判平11.1.21)。【平23-3-ウ】
問題9 特定の財産が民法第903条第1項のいわゆる特別受益財産に当たることの確認を求める訴えは、特別受益財産に当たるかどうかについて当事者間に争いがある限り、確認の利益がある。○か×か?
誤り。特定の財産がいわゆる特別受益財産であることの確認を求める訴えは、確認の利益がない(最判平7.3.7)。【平23-3-エ】
問題10 AがBに対して提起した不動産の所有権確認訴訟の係属中に、AがCに対し、同一の不動産に関して所有権確認の別訴を提起することは、重複起訴の禁止に反する。○か×か?
誤り。重複起訴(民訴142条)とは、①当事者が同一であり、かつ②訴訟物たる権利関係が同一である事件につき、重ねて訴えを提起することである。本問の場合、当事者が異なるため、重複起訴には、該当しない。【平12-2-ア】
問題11 裁判所は、重複起訴の禁止に反する場合であっても、その旨の被告の抗弁が主張されない限り、訴えを却下することはできない。○か×か?
誤り。重複起訴の禁止に反しないことは、訴訟要件を構成し、裁判所は、重複起訴の禁止に反するか否かを職権で調査しなければならない(職権調査事項)。これに抵触すると判断した場合は、被告の抗弁の有無にかかわらず、後訴を不適法として判決で却下しなければならない。【平12-2-オ】
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