司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民事訴訟法等「訴訟の主体」>
問題1 不法行為に関する訴えは、不法行為があった地を管轄する裁判所に提起することができる。○か×か?
正しい。不法行為に関する訴えは、不法行為があった地を管轄する裁判所に提起することができる(民訴5条9号)。【平10-1-3】
問題2 登記に関する訴えは、登記をすべき地を管轄する裁判所に提起することができる。○か×か?
正しい。登記に関する訴えは、登記をすべき地を管轄する裁判所に提起することができる(民訴5条13号)。【平10-1-5】
問題3 専属管轄の定めがある場合において、管轄権のない裁判所がした判決は無効である。○か×か?
誤り。専属管轄に違反した判決は、常に上訴をもって争うことができる(民訴299条1項ただし書、312条2項3号)が、専属管轄違反は、再審事由ではないから、確定すれば、判決の瑕疵は治癒される。【平3-1-4】
問題4 手形金の支払請求の訴えは、手形の振出地の裁判所に提起することができる。○か×か?
誤り。手形による金銭の支払いの請求を目的とする訴えは、手形の支払地を管轄する裁判所に提起することができる(民訴5条2号)のであって、振出地ではない。【平5-3-1】
問題5 所有権に基づいて時価100万円の自動車の引渡しを請求することに併せて、その執行不能の場合における履行に代わる損害賠償としてその時価相当額の支払を請求する訴えは、簡易裁判所の事物管轄に属する。○か×か?
正しい。一の訴えで数個の請求をする場合には、その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする。ただし、その訴えで主張する利益が各請求について共通である場合におけるその各請求については、この限りでない(民訴9条1項)。したがって、本肢の訴えは、簡易裁判所の事物管轄に属する。【平27-1-ア】
問題6 自然人である被告に対する貸金返還請求訴訟が当該被告の住所の所在地を管轄する裁判所に提起された場合、その後に、当該被告が当該裁判所の管轄区域外に住所を移転しても、土地管轄についての管轄違いによる移送がされることはない。○か×か?
正しい。裁判所の管轄は、訴えの提起の時を標準として定める(民訴15条)。【平27-1-エ】
問題7 移送を受けた裁判所は、更に事件を他の裁判所に移送することができない。○か×か?
正しい。移送を受けた裁判所は、更に事件を他の裁判所に移送することができない(民訴22条2項)。管轄に関する各裁判所の見解の相違による移送の繰返しを避けるためである。【平7-4-1】
問題8 控訴裁判所は、事件が管轄違いであることを理由として第一審判決を取り消す場合には、事件を原裁判所に差し戻さなければならない。○か×か?
誤り。控訴裁判所は、事件が管轄違いであることを理由として第一審判決を取り消すときは、判決で、事件を管轄裁判所に移送しなければならない(民訴309条)。【平7-4-5】
問題9 地方裁判所は、係属した訴訟が、その管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合には、その簡易裁判所に当該訴訟を移送しなければならない。○か×か?
誤り。地方裁判所は、係属した訴訟が、その管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合でも、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、自ら審理及び裁判をすることができる(民訴16条2項本文)。【平15-1-ウ】
問題10 簡易裁判所に係属している訴訟の被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合には、簡易裁判所は、職権で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない。○か×か?
誤り。簡易裁判所に係属している訴訟の被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合には、簡易裁判所は、相手方の申立てがあるときは、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない(民訴274条1項)。【平15-1-エ】
問題11 被告の住所地を管轄する裁判所に訴えが提起された後、被告に対する訴状の送達前に、被告が住所地を当該裁判所の管轄区域外に移した場合であっても、当該裁判所は、被告の新しい住所地を管轄する裁判所に当該訴訟を移送する必要はない。○か×か?
正しい。管轄は、訴え提起の時を標準として定める(民訴15条)。したがって、管轄を定める事情がその後変更しても、管轄は変わらない(管轄の恒定)。管轄原因の変動に伴って管轄が変動するとすれば、管轄原因の変動が争いとなるごとに審理が渋滞するうえ、裁判所は常に管轄原因の変動に留意しなければならず、手続が不安定になるからである。【平17-4-ア】
問題12 法人格のない社団は、その名において原告又は被告となることはできない。○か×か?
誤り。法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる(民訴29条)。したがって、法人格のない社団であっても、代表者等の定めのあるものについては、当事者能力が認められている。【平元-1-2】
問題13 後見人がいない成年被後見人に対しては、後見人が選任されるまでは、訴えを提起することはできない。○か×か?
誤り。成年被後見人は、訴訟能力がなく、法定代理人によらなければ訴訟行為を行うことができない(民訴31条)。しかし、成年後見人がいないために、成年被後見人の相手方が訴訟行為をなし得ないとすると、不都合が生ずる。そこで、成年後見人がいない成年被後見人に対し、訴訟行為をしようとする者は、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる(民訴35条1項)。【平元-1-3】
問題14 当事者である未成年者が成年に達した場合、その親権者であった者の法定代理権の消滅が相手方に通知されるまでは、法定代理権消滅の効果は生じない。○か×か?
正しい。実体法上、法定代理権の消滅原因が発生しても、訴訟法上は、代理権は消滅せず、本人又は代理人から相手方に通知しなければ、その効力を生じない(民訴36条1項)。訴訟手続の安定を図るためである。【平元-1-4】
問題15 被保佐人は、保佐人の同意を得なくとも、相手方が提訴した訴えについて応訴することができる。○か×か?
正しい。被保佐人が自ら訴訟行為を行うには、原則として保佐人の同意を要する(民訴28条、民13条1項4号)。しかし、相手方の提起した訴えについて応訴する場合には、保佐人の同意は不要である(民訴32条1項)。【平10-2-3】
問題16 成年後見人は、成年被後見人が行った訴訟行為を取り消すことができる。○か×か?
誤り。訴訟無能力者である成年被後見人がした訴訟行為は無効である(民訴31条本文)ため、取り消すことはできない。【平10-2-5】
問題17 未成年者は、訴訟行為につき法定代理人の個別の同意を得れば、自ら訴訟行為をすることができる。○か×か?
誤り。未成年者は、訴訟能力を有せず、未成年者が独立して法律行為をすることができる場合を除き、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない(民訴31条)。したがって、未成年者は、訴訟行為につき法定代理人の個別の同意を得ても、自ら訴訟行為をすることはできない。【平22-1-イ】
問題18 訴訟能力を欠く者のした訴訟行為は、無効であり、これを追認して有効とすることはできない。○か×か?
誤り。訴訟能力を欠く者がした訴訟行為は、当然に無効とされるが、これを有するに至った当事者又は法定代理人が追認をすることにより、行為の時にさかのぼって有効なものとすることができる(民訴34条2項)。【平22-1-オ】
問題19 訴訟代理人が控訴をするには、これについて特別の委任を受けることを要しない。○か×か?
誤り。訴訟代理人が控訴をするには、特別の授権を要する(民訴55条2項3号)。同一の訴訟代理人に引き続き訴訟追行を委ねるかどうか、改めて本人に意思決定の機会を付与するためである。【平4-3-3】
問題20 反訴の提起は、訴訟代理人が委任を受けた事件について特別の委任を受けなくてもすることができる。○か×か?
誤り。訴訟代理人が反訴の提起をするには特別の委任を受けなければならない(民訴55条2項1号)。反訴の提起は、新たに独立の訴えを提起するものであるため、改めて本人の意思を確認することが相当だからである。【平6-1-1】
問題21 弁済の受領は、訴訟代理人が委任を受けた事件について特別の委任を受けなくてもすることができる。○か×か?
正しい。訴訟代理人は、委任を受けた事件について、弁済を受領することができる(民訴55条1項)。【平6-1-3】
問題22 訴訟代理権の証明は書面でしなければならないが、法定代理権の証明は書面ですることを要しない。○か×か?
誤り。訴訟代理権は、書面で証明しなければならない(民訴規23条1項)。また、法定代理権についても、書面で証明しなければならない(民訴規15条前段)。【平9-2-1】
問題23当事者が死亡した場合、法定代理人があるときでも、訴訟手続は中断するが、訴訟代理人があるときは、訴訟手続は中断しない。○か×か?
正しい。訴訟代理権は、当事者が死亡しても消滅しない(民訴58条1項1号)。これに対して、法定代理人がある場合でも、当事者が死亡すれば、法定代理権は消滅し(民111条1項1号)、訴訟手続は中断する(民訴124条1項1号)。【平9-2-5】
問題24当事者がその訴訟代理人の事実に関する陳述を直ちに取り消したときは、当該陳述は、その効力を生じない。○か×か?
正しい。訴訟代理人の事実に関する陳述は、当事者が直ちに取り消し、又は更正したときは、その効力を生じない(民訴57条)。【平24-1-イ】
問題25当事者がその訴訟代理人を解任したときは、当事者又は訴訟代理人がその旨を相手方に通知しなければ、代理権の消滅は、その効果を生じない。○か×か?
正しい。法定代理権の消滅は、本人又は代理人から相手方に通知しなければ、その効力を生じない(民訴36条1項)。この規定は訴訟代理に準用されている(民訴59条)【平24-1-オ】
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