司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民事訴訟法等「訴訟の主体」>

問題1 所有権に基づいて時価100万円の自動車の引渡しを請求することに併せて、その執行不能の場合における履行に代わる損害賠償としてその時価相当額の支払を請求する訴えは、簡易裁判所の事物管轄に属する。○か×か?

正しい。一の訴えで数個の請求をする場合には、その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする。ただし、その訴えで主張する利益が各請求について共通である場合におけるその各請求については、この限りでない(民訴9条1項)。したがって、本肢の訴えは、簡易裁判所の事物管轄に属する。【平27-1-ア】

問題2 自然人である被告に対する貸金返還請求訴訟が当該被告の住所の所在地を管轄する裁判所に提起された場合、その後に、当該被告が当該裁判所の管轄区域外に住所を移転しても、土地管轄についての管轄違いによる移送がされることはない。○か×か?

正しい。裁判所の管轄は、訴えの提起の時を標準として定める(民訴15条)。【平27-1-エ】

問題3 地方裁判所は、係属した訴訟が、その管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合には、その簡易裁判所に当該訴訟を移送しなければならない。○か×か?

誤り。地方裁判所は、係属した訴訟が、その管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合でも、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、自ら審理及び裁判をすることができる(民訴16条2項本文)。【平15-1-ウ】

問題4 簡易裁判所に係属している訴訟の被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合には、簡易裁判所は、職権で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない。○か×か?

誤り。簡易裁判所に係属している訴訟の被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合には、簡易裁判所は、相手方の申立てがあるときは、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない(民訴274条1項)。なお、この移送決定に対しては、不服申立てができない(民訴274条2項)。【平15-1-エ】

問題5 被告の住所地を管轄する裁判所に訴えが提起された後、被告に対する訴状の送達前に、被告が住所地を当該裁判所の管轄区域外に移した場合であっても、当該裁判所は、被告の新しい住所地を管轄する裁判所に当該訴訟を移送する必要はない。○か×か?

正しい。管轄は、訴え提起の時を標準として定める(民訴15条)。したがって、管轄を定める事情がその後変更しても、管轄は変わらない(管轄の恒定)。管轄原因の変動に伴って管轄が変動するとすれば、管轄原因の変動が争いとなるごとに審理が渋滞するうえ、裁判所は常に管轄原因の変動に留意しなければならず、手続が不安定になるからである。【平17-4-ア】

問題6 未成年者は、訴訟行為につき法定代理人の個別の同意を得れば、自ら訴訟行為をすることができる。○か×か?

誤り。未成年者は、訴訟能力を有せず、未成年者が独立して法律行為をすることができる場合を除き、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない(民訴31条)。したがって、未成年者は、訴訟行為につき法定代理人の個別の同意を得ても、自ら訴訟行為をすることはできない。【平22-1-イ】

問題7 訴訟能力を欠く者のした訴訟行為は、無効であり、これを追認して有効とすることはできない。○か×か?

誤り。訴訟能力を欠く者がした訴訟行為は、当然に無効とされるが、これを有するに至った当事者又は法定代理人が追認をすることにより、行為の時にさかのぼって有効なものとすることができる(民訴34条2項)。【平22-1-オ】

問題8当事者がその訴訟代理人の事実に関する陳述を直ちに取り消したときは、当該陳述は、その効力を生じない。○か×か?

正しい。訴訟代理人の事実に関する陳述は、当事者が直ちに取り消し、又は更正したときは、その効力を生じない(民訴57条)。【平24-1-イ】

問題9当事者がその訴訟代理人を解任したときは、当事者又は訴訟代理人がその旨を相手方に通知しなければ、代理権の消滅は、その効果を生じない。○か×か?

正しい。法定代理権の消滅は、本人又は代理人から相手方に通知しなければ、その効力を生じない(民訴36条1項)。この規定は訴訟代理に準用されている(民訴59条)【平24-1-オ】

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