司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民法相続「遺産分割、相続の承認・放棄」>

問題1 遺産分割前に共同相続人の一人から遺産を構成する特定不動産についての共有持分権を譲り受けた第三者は、共有関係を解消するためには、遺産分割ではなく、共有物分割によるべきである。○か×か?

正しい。遺産分割前に、共同相続人の1人から遺産に属する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が、共有関係の解消のために採るべき裁判手続は民法907条2項に基づく遺産分割審判ではなく、民法258条に基づく共有物分割手続である(最判昭50.11.7)。持分を第三者に譲渡したことによって、その持分は遺産分割の対象から外れると考えられるからである。【平15-23-ア】

問題2 共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得ない。○か×か?

誤り。共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権の行使の対象となる(最判平11.6.11)。遺産分割協議は、相続の開始によって共同相続人の共有となった相続財産について、その全部又は一部を、各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に移行させることによって、相続財産の帰属を確定させるものであり、その性質上、財産権を目的とする法律行為だからである。【平27-23-ウ】

問題3 共同相続人間において遺産分割の協議が成立した場合に、相続人の一人が他の相続人に対してその協議において負担した債務を履行しないときは、当該他の相続人は、債務不履行を理由としてその協議を解除することができる。○か×か?

誤り。共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の1人が当該協議において負担した債務を履行しないときであっても、当該他の相続人は、債務不履行によって当該協議を解除することができない(最判平元.2.9)。遺産分割は、その性質上、協議の成立とともに終了し、その後は当該協議において債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけと解すべきであり、このように解さなけば遺産分割の遡及効により法的安定性が著しく害されることになるからである。【平27-23-オ】

問題4 相続の放棄には、条件を付すことができない。○か×か?

正しい。相続の承認・放棄に条件や期限を付けることは許されない。相続の承認・放棄は自己のために開始した相続の効果を確定的に発生・消滅させるものであり、条件や期限を付けるのに馴染まないからである。【平19-24-ア】

問題5 相続人が数人あるときは、共同相続人の全員が共同でしなければ限定承認をすることができない。○か×か?

正しい。相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみすることができる(民923条)。相続人ごとに各別の限定承認を許すと、各相続分についての清算手続・法律関係が複雑になるからである。【平19-24-ウ】

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