司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民法債権「事務管理、不当利得、不法行為」>

問題1 事務管理者は、本人に対し、事務処理の状況を報告する義務はない。○か×か?

誤り。事務管理者の報告義務については受任者の報告義務の規定が準用される(民701条、645条)。したがって、事務管理者も受任者と同じように、本人の請求があった場合には何時でも事務処理の状況を報告する義務を負う【平16-19-ウ】

問題2 事務管理者は、管理を継続する義務を負っていないから、任意に事務処理を中止することができる。○か×か?

誤り。事務管理者は、本人、その相続人又はその法定代理人が管理できるようになるまで、事務管理を継続しなければならない(民700条)。これに対して、委任契約の受任者はいつでも委任契約を解除して、任意に事務処理を中止することができる(民651条1項)。【平16-19-オ】

問題3 事務管理を始めた者は、本人の請求がある場合には、いつでも事務管理の状況を報告しなければならない。○か×か?

正しい。事務管理を始めた者は、本人の請求がある場合には、いつでも事務管理の状況を報告しなければならない(民701条、645条)。【平24-19-5】

問題4 Aが運転する自動車とBが運転する自動車とが衝突した事故によって、Aが負傷し、Bの自動車が破損した。本件事故において、Aは首を負傷したが、Aは平均的体格に比べて首が長く、Aには頸椎の不安定症という身体的特徴があった。この身体的特徴は疾患と評価することができるようなものではなかった場合、裁判所は、このようなAの身体的特徴を考慮して、損害賠償の額を減額することはできない。○か×か?

正しい。被害者に対する加害行為と被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合、裁判所は賠償額を定めるにあたり、民法722条2項を類推適用して、被害者の当該疾患を考慮できる(最判平4.6.25)。ただし、被害者が通常の体質と異なる身体的特徴を有していても、疾患にあたらなければ、特段の事情がない限り、減額のために考慮することはできない(最判平8.10.29)。【平28-19-イ】

問題5 Dが自動車の運転中に脇見をしていたところ、歩行者Eをひいてしまい、死亡したEの遺族であるFがDに対し、Eの死亡について不法行為による損害賠償請求をした。本件事故において、Eを被保険者とする生命保険金をFが受け取っていた場合、FがDに対してEの死亡について不法行為による損害賠償請求をしたときは、Fが受け取った生命保険金の額を損害賠償の額から控除することはできない。○か×か?

正しい。交通事故により死亡した者の相続人に対して給付された生命保険金は、その死亡による損害賠償額から控除すべきではない(最判昭39.9.25)。【平28-19-エ】

問題6 土地の工作物の設置又は保存の瑕疵によって損害が生じた場合において、その占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたときは、その所有者は、その工作物を瑕疵がないものと信じて過失なくこれを買い受けていたとしても、損害を賠償する責任を負う。○か×か?

正しい。民法717条は、土地の工作物の設置又は保存の瑕疵によって他人に損害を生じたときは、第一次的には工作物の占有者が賠償責任を負い(民717条1項本文)、占有者が損害発生防止のために必要な注意をしたときは、第二次的に工作物の所有者が賠償責任を負うと規定している(民717条1項ただし書)。この土地の工作物の所有者の責任は、工作物の瑕疵が前所有者の所有の際に生じたものであり、現所有者が瑕疵のないものと信じて過失なく買い受けたとしても、免責されない(大判昭3.6.7)。すなわち、土地の工作物の所有者の責任は、無過失責任と解されている。【平16-20-オ】

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