問題1 区分建物についての登記記録の「敷地権の表示」欄には「平成18年4月1日敷地権」と記録されている場合に、区分建物のみを目的とし、「平成18年3月1日売買」を登記原因及びその日付として同日登記された所有権の移転の仮登記を、当該区分建物に関する敷地権の登記及び敷地権である旨の登記を抹消することなく、「平成18年3月1日売買」を登記原因及びその日付としてする所有権の移転の本登記を申請することはできない。○か×か?

正しい。敷地権の登記がされている区分建物については、当該建物のみを目的とする所有権移転の登記をすることはできない(不登73条3項)。これは、所有権移転の登記原因が敷地権となる前であっても、また、仮登記に基づく本登記でも異ならない。【平18-25-ア】
問題2 敷地権のない区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者が当該区分建物について所有権の保存の登記を申請するときは、登記原因及びその日付を申請情報として提供することを要しない。○か×か?

正しい。所有権保存登記においては、敷地権付き区分建物について、不動産登記法74条2項によって申請する場合を除き、登記原因及びその日付は登記事項とはならない(不登76条1項)。したがって、敷地権のない区分建物について、不動産登記法74条2項によって所有権保存登記を申請する場合、登記原因及びその日付を申請情報の内容として提供することを要しない。【平19-20-ア】
問題3 敷地権付き区分建物について当該敷地権の目的である土地のみを目的とする区分地上権の設定の登記の申請は、当該敷地権が生じた後に当該区分地上権が設定された場合であっても、することができる。○か×か?

正しい。区分地上権は、本来的に土地のみを目的とするものであるから、区分建物と敷地権の一体処分の要請は働かない。したがって、区分地上権設定の日付が敷地権が生じた日より後の日であっても、当該設定にかかる登記を申請することができる(昭58.11.10-6400号)。【平19-20-ウ】
問題4 敷地権が生じた日よりも前の日を登記原因の日とする質権の設定の登記は、建物のみを目的とするものであっても、その申請をすることができる。○か×か?

正しい。敷地権付き区分建物は、建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない(不登73条3項本文)が、建物のみを目的とする質権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものについては、建物のみを目的とするものであっても、申請をすることができる(不登73条3項ただし書)。【平23-15-ア】
問題5 敷地権が生じた日よりも前の日を登記原因の日とする所有権に関する仮登記が土地のみにされている場合には、敷地権である旨の登記が抹消された後でなければ、その本登記を申請することができない。○か×か?

正しい。敷地権の目的となる前に登記原因が発生した場合には、土地のみについて所有権に関する仮登記を申請することができる(不登73条2項ただし書、3項ただし書)。しかし、当該仮登記に基づく本登記は、敷地権である旨の登記を抹消しない限り申請することはできない。【平23-15-オ】
問題6 区分建物の登記記録の表題部の「敷地権の表示」欄中の「原因及びその日付」欄に「平成24年6月15日敷地権」と記載されている場合、区分建物のみを目的として、「平成24年6月1日相続」を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することができる。○か×か?

誤り。敷地権の登記がされている区分建物については、当該建物のみを目的とする所有権移転の登記をすることはできない(不登73条3項本文)。これは、所有権移転の登記原因が相続であり、かつ敷地権発生前であっても異ならない。【平24-19-3】