問題1 同一の登記所の管轄に属する甲土地及び乙土地を目的として共同根抵当権設定登記を申請する場合、各根抵当権の被担保債権の範囲、債務者及び極度額は同一でなければならないが、確定期日は異なる日とすることができる。○か×か?

正しい。共同根抵当権は同一の債権を担保するものであるから、債権の範囲や債務者が同一でなければならないのは当然であり、極度額についても民法392条の適用を受けるものである以上、同一であることが必要である。しかし、共同根抵当権においては、いずれかの不動産について確定事由が生じた場合には、すべての不動産の根抵当権の元本が確定する(民398条の17第2項)ので、仮に異なった確定期日を定めていても、結局同時に確定するため、不動産ごとに異なる日を確定期日とする共同根抵当権設定登記の申請を認めても差し支えない。【平15-26-オ改】
問題2 根抵当権者による元本の確定請求があったことを原因とする元本の確定の登記を共同して申請する場合には、根抵当権者を登記権利者、根抵当権設定者を登記義務者としてする。○か×か?

誤り。根抵当権の元本の確定の登記は、根抵当権設定者が登記権利者、根抵当権者が登記義務者となって申請するものとされている(昭46.10.4-3230号)。これは、元本確定の原因を問わない。【平19-19-イ】
問題11 元本が確定すべき期日の定めが登記されている根抵当権について当該期日を変更した場合において、当該変更の登記をしないうちに当該変更前の期日及び当該変更後の期日が経過したときは、当該変更後の期日に元本が確定した旨の登記を申請することを要する。○か×か?

誤り。元本確定期日を変更した場合でも、その変更にかかる登記をする前に、変更前の確定期日が到来したときは、当該期日に元本は確定する(民398条の6第4項)。したがって、変更後の期日において元本が確定した旨の登記を申請することはできない。【平19-19-エ】
問題12 相続を登記原因とする債務者の変更の登記及び指定債務者の合意の登記がされた根抵当権の共同担保として、他の不動産に根抵当権を追加設定する旨の登記を申請する場合において、申請情報の内容とすべき債務者の氏名は、登記された指定債務者の合意において定められた者の氏名のみである。○か×か?

誤り。相続を登記原因とする債務者の変更の登記及び指定債務者の合意の登記がされた根抵当権の共同担保として、他の不動産に根抵当権を追加設定する旨の登記を申請する場合の債務者の氏名は、「債務者(何某(年月日死亡)の相続人)」として、相続人全員の氏名を表示した上、「指定債務者(年月日合意)」として、指定債務者の氏名を表示する(昭62.3.10-1083号)。【平22-17-ウ】
問題13 元本確定前の根抵当権の債務者がA及びBの2名として登記されている場合において、Aについてのみ相続が生じたときは、相続を登記原因とする債務者の変更の登記及び指定債務者の合意の登記を申請することができない。○か×か?

誤り。根抵当権の債務者が複数である場合において、そのうちの1人に相続が生じたときは、当該債務者の死亡後6か月以内であれば、相続を登記原因とする債務者の変更の登記及び指定債務者の合意の登記を申請することができる(登研515号)。【平22-17-オ】
問題14 元本の確定前に根抵当権の共有者間の優先弁済を受ける旨の定めをしたときは、元本の確定後であっても、当該定めの登記を申請することができる。○か×か?

正しい。根抵当権の共有者は、元本の確定前に限り、「優先弁済の割合を定め」又は「ある者が他の者に先立って、弁済を受けることの定め」をすることができる(民398条の14第1項ただし書)。ただ、当該定めにかかる登記については、元本確定前であることは要せず、確定後であっても申請することができる。【平17-19-ウ】
問題15 根抵当権の一部譲渡を受けた者を債権者とする差押えの登記がされている場合は、根抵当権の元本の確定の登記がされていなくても、債権譲渡を原因とする第三者への根抵当権の移転の登記を申請することができる。○か×か?

正しい。根抵当権の一部譲渡を受けた者が、抵当不動産についての競売の申立てをしたときは、民法398条の20第1項1号により根抵当権の元本は確定する(平9.7.31-1301号)。この場合、登記記録上元本の確定が明らかであるため、元本確定の登記がされていなくとも、元本の確定後にのみすることができる債権譲渡を原因とする根抵当権の移転の登記を申請することができる(民398条の20第1項1号、昭46.12.27-960号)。【平21-26-ア】
問題16 A及びBを根抵当権者とする共有の根抵当権において、共有者Aの権利の一部に関し、Cに対する一部譲渡を登記原因とする根抵当権の一部移転の登記を申請することができる。○か×か?

誤り。元本確定前の根抵当権の共有者の権利は、全部譲渡のみすることができ、一部譲渡をすることは認められていないため、共有者の権利の一部に関し、一部譲渡を原因とする根抵当権の一部移転登記を申請することはできない(昭46.10.4-3230号)。これを認めると、権利関係が複雑になるからである。【平23-20-ウ】
問題17 A株式会社が所有する不動産にA株式会社を債務者、Bを根抵当権者とする根抵当権の設定の登記がされていたところ、A株式会社を吸収分割会社、C株式会社を吸収分割承継会社とする会社分割があった場合において、当該根抵当権で担保すべき債権の範囲を会社分割後にC株式会社がBに対して負担する債務のみとする合意が成立しているときは、当該根抵当権の債務者を直接C株式会社に変更することができる。○か×か?

誤り。元本の確定前に債務者を分割会社とする会社分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債務のほか、分割をした会社及び新設会社又は承継会社が分割後に負担する債務を担保する(民398条の10第2項)。この効果は、法律上当然に生じるため、当事会社間でこれと異なる契約をしたとしても、直ちに契約の内容とする変更登記を申請することはできない。よって、本肢の場合、まず会社分割を登記原因として、根抵当権の債務者をA株式会社及びC株式会社とする根抵当権変更登記を申請しなければ、債務者をC株式会社とする変更の登記を申請することはできない。【平23-20-オ】
問題18 A株式会社(以下「A社」という。)を吸収分割株式会社とし、B株式会社(以下「B社」という。)を吸収分割承継株式会社とする吸収分割があった場合、A社を根抵当権者とする元本の確定前の根抵当権について、吸収分割契約においてB社を当該根抵当権の根抵当権者と定めたときは、分割契約書を提供すれば、会社分割を登記原因として、根抵当権者をB社のみとする根抵当権の移転の登記を申請することができる。○か×か?

誤り。元本確定前に根抵当権者を分割会社として会社分割がされた場合、当該根抵当権は法律上当然に分割会社と吸収分割承継会社との準共有になる(民398条の10第1項)。分割契約書において当該根抵当権の帰属について、これと異なる定めがされている場合であっても、いったん根抵当権の一部移転の登記を申請した上で、所要の登記をすることになる(平13.3.30-867号)。【平25-25-ウ改】