問題1 債務者が将来特定の土地を取得することを前提として当該土地を目的とする抵当権設定契約を締結した場合において、債務者がその後当該土地を取得したときは、当該抵当権設定契約の日を登記原因の日付とする抵当権設定登記を申請することができる。○か×か?

誤り。債務者が将来取得を予定している土地について、その取得前に抵当権を設定する旨の契約を締結しても、その時点においては、物権としての抵当権は成立していないのであるから、その後債務者が当該土地を取得しても、契約締結日を原因日付とする抵当権設定登記の申請をすることはできない。なお、当該設定契約が土地の取得を停止条件とするものであると解することができる場合には、土地の取得日を原因日付とする設定登記の申請をすることができる。【平15-12-4改】
問題2 連帯債務者A、B及びCに対する債権を被担保債権として抵当権が設定されている場合において、そのうちAに対する債権のみが第三者に譲渡されたときは、抵当権の一部移転の登記を申請することができる。○か×か?

正しい。連帯債務者の1人に対する債権のみの譲渡がなされた場合、登記原因を「年月日債権譲渡(連帯債務者何某にかかる債権)」として、抵当権の一部移転の登記を申請することができる(平9.12.4-2155号)。【平20-20-ウ改】
問題3 抵当権の順位の変更の仮登記の申請は、することができない。○か×か?

正しい。仮登記(不登105条1号)は、物権変動が生じているが必要な情報を提供できない場合にすることができるものであるが、抵当権の順位の変更は、登記が効力要件である(民374条2項)ので、登記するまでは順位変更の効力は生じない。したがって、その仮登記の申請は、することができない。【平16-19-5】
問題4 外国通貨で債権額を指定した債権を担保する抵当権の設定の登記を申請するときは、外国通貨で表示した債権額のほか、本邦通貨で表示した担保限度額を申請情報として提供しなければならない。○か×か?

正しい。外国の通貨をもって債権額を指定した債権を担保するための抵当権設定登記の申請の際には、外国通貨で表示した債権額のほか、本邦通貨で表示した担保限度額を申請情報の内容として提供しなければならない(不登83条1項5号、不登令別表55申イ)。【平19-18-イ】
問題5 清算中の会社は、自己の所有する不動産を目的とする第三者の債務のための抵当権設定契約を原因として、抵当権の設定の登記を申請することはできない。○か×か?

誤り。清算中の会社は、物上保証としての抵当権設定契約の時点がその解散の前であると否とを問わず、前記の契約による抵当権設定の登記の申請をすることができる(昭41.11.7-3252号)。【平21-25-オ】
問題6 AとBは、平成23年6月10日、金銭消費貸借契約を締結するとともに、A所有の不動産に、抵当権者をB、債務者をA、債権額金1,000万円、利息年5パーセントとする抵当権を設定する契約を締結したが、当該抵当権の設定の登記を申請する前の同月15日、利息を年3パーセントに変更する契約をした。この場合における当該抵当権の設定の登記原因は、平成23年6月10日金銭消費貸借同日設定である。○か×か?

正しい。抵当権の設定登記を申請する場合の原因日付は、被担保債権の発生原因である債権契約及びその日付とすべきである(昭30.12.23-2747号)。当該契約の後、利息の定めを変更する契約をしたとしても、債権の同一性に影響はないので、当該抵当権の設定の登記原因は、平成23年6月10日金銭消費貸借同日設定となる。【平23-18-ウ】
問題7 地上権者Aの地上権を目的として、Bを抵当権者とする抵当権の設定の登記をする場合には、その登記は、付記登記でされる。○か×か?

正しい。所有権以外の権利を目的とする権利に関する登記は、付記登記によってする(不登規3条4号)。したがって、所有権以外の権利である地上権を目的とする抵当権の設定登記は、付記登記でされることになる。【平23-18-オ】
問題8 抵当権の債務者Cが死亡し、Cの相続人であるX及びY間において、遺産分割協議によりXがDの承認を得てCの債務を単独で引き受けた場合には、相続を登記原因として、Xを債務者とする当該抵当権の変更の登記を申請することができる。○か×か?

正しい。抵当権の債務者である被相続人の死亡後、債権者の同意を得て、遺産分割によって、相続人のうちの一部の者が債務を引き受けた場合には、相続を原因として、直接債務を引き受けた共同相続人を債務者とする変更登記を申請することができる(昭33.5.10-964号)。【平25-24-イ】
問題9 甲土地の共有者であるA及びBが、抵当権者Eに対して甲土地を代物弁済したことによりEを登記権利者とする共有者全員持分全部移転の登記をした場合には、Eは、代物弁済を登記原因として、抵当権の登記の抹消を申請することができる。○か×か?

正しい。抵当権者が代物弁済により抵当不動産の所有権を取得した場合、登記原因を「代物弁済」、登記原因の日付を「代物弁済がなされた日(=代物弁済による所有権移転登記をした日)」として、抵当権の抹消登記を申請することができる(登研270号)。【平25-24-エ】
問題10 A登記所の管轄に属する甲物件及びB登記所の管轄に属する乙物件に共同担保権が設定された後に、C登記所の管轄に属する丙物件を追加設定する場合において、当該共同担保権が、抵当権であるときは前の登記に関する登記事項証明書を提供する必要はないが、根抵当権であるときは前の登記に関する登記事項証明書を提供する必要がある。○か×か?

正しい。共同担保権の設定において、ある登記所の管轄に属する不動産についての設定登記後、他の登記所の管轄に属する不動産について設定登記を申請する場合、当該担保権が普通抵当権である場合には、前の登記に関する登記事項証明書は減税を受けるための任意的な添付情報である(登税13条2項)が、根抵当権である場合には、先に登記された根抵当権の内容との同一性を確認するため、当該登記事項証明書を提供しなければならない(不登令別表56添ロ、不登令11条参照)。【平16-18-イ改】
問題11 担保権者について相続が開始し、共同相続人の中に自らの相続分を超える遺贈を受けた者がいる場合において、この者は、相続を原因とする担保権移転の登記につき、当該担保権が、抵当権であるときは登記の申請人となることはないが、確定前の根抵当権であるときは登記の申請人となることがある。○か×か?

正しい。共同相続人中に相続分を超える遺贈を受けた者(特別受益者)がいる場合、その者は被相続人から承継すべき積極財産を有せず(民903条2項)、被相続人の有していた特定債権を承継することはないから、相続を登記原因とする抵当権移転の登記につき、申請人とはならない。しかし、元本確定前の根抵当権であるときは、相続開始時における特定債権が特別受益者に承継されることはないが、特別受益者も、指定根抵当権者になることは可能であり、相続開始後に発生する債権の債権者になることはある。したがって、当該相続人がその根抵当権を相続しない旨及び合意による指定を受ける意思を有しない旨を明らかにした場合を除き、登記の申請人となるものとされている(昭46.12.27-960号)。【平16-18-ウ改】
問題12 甲株式会社を抵当権設定者、甲株式会社と代表取締役を同じくする乙株式会社を抵当権者とする抵当権の設定の仮登記がされている場合において、解除を原因として当該仮登記の抹消を申請するときは、登記原因について乙株式会社の取締役会の承認を受けたことを証する情報の提供を要する。○か×か?

正しい。抵当権設定の仮登記を解除することは、抵当権者にとって不利益であり、一方抵当権設定者にとって利益である。したがって、抵当権設定者と抵当権者が株式会社であり、その代表取締役が同一人である場合には、抵当権者である株式会社において取締役との利益相反行為となる。以上から、抵当権者である株式会社の承認を得たことを証する情報として、当該会社が取締役会設置会社であるならば、取締役会の承認(会356条、365条)を得たことを証する情報を提供しなければならない(不登令7条1項5号ハ)。【平18-22-エ】
問題13 抵当権の順位の変更の登記の抹消は、当該順位の変更に係る抵当権の登記名義人のすべてが申請しなければならない。○か×か?

正しい。抵当権の順位の変更の登記は抵当権者全員が共同して申請しなければならず(不登89条1項、昭46.10.4-3230号)、当該順位変更の登記の抹消も同様である。【平18-23-ウ】