問題1 抵当権の登記の抹消を申請する場合において、当該抹消の登記権利者の住所に変更を生じているときは、申請情報と併せて当該変更を証する情報を提供すれば足りる。○か×か?

誤り。抵当権の登記の抹消を申請する場合において、申請情報の登記権利者(所有権の登記名義人)の表示が登記記録と符合しないときは、抵当権の抹消登記の前提として、所有権登記名義人の住所又は氏名の変更の登記を申請することを要する(登研355号)。申請情報と併せて当該変更を証する情報を提供しても、所有権登記名義人の住所又は氏名の変更の登記を省略することはできない。なお、抵当権の登記の抹消を申請する場合において、抵当権者の表示が登記記録と符合しないときは、申請情報と併せて当該変更を証する情報を提供すれば、前提として抵当権当為名義人の住所又は氏名の変更の登記を申請することを要しない(昭31.9.20-2202号)。【平21-27-ア改】
問題2 判決によって所有権の移転の登記を申請する場合において、判決書正本に登記義務者である被告の住所として登記記録上の住所と現在の住所とが併記されているときは、所有権の登記名義人の住所の変更の登記をしないで、直ちに所有権の移転の登記を申請することができる。○か×か?

誤り。申請情報の内容である登記義務者の住所が登記記録と合致しないときは、申請は却下されるため(不登25条7号)、登記名義人の住所変更の登記を省略して所有権の移転の登記を申請することはできない(昭43.5.7-1260号参照)。これは、判決書の正本に登記義務者である被告の住所として登記記録上の住所と現在の住所が併記してある場合であっても同様であり、判決による所有権の移転の登記の前提として登記名義人の住所変更の登記を申請しなければならない。【平24-17-5】
問題3 抵当権の登記について、債務者を設定者自身から設定者以外の者とする更正の登記を申請することができる。○か×か?

正しい。更正の登記は、更正の前後を通じて登記に同一性がなければならない。したがって、たとえば、抵当権者を甲から乙にするような更正は認められない。しかし、抵当権設定登記における債務者は、登記事項の一部に過ぎず、その債務者を他の者に更正したとしても、登記の同一性は維持される。本肢のように債務者を設定者自身から設定者以外の者とする更正も認められる(昭37.7.26-2074号)。【平17-20-ア】
問題4 抵当証券が発行されている抵当権の登記について、債務者は、当該抵当証券を提供することなく、債務者の氏名若しくは名称又は住所についての更正の登記を単独で申請することができる。○か×か?

正しい。抵当証券が発行されている場合における債務者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、債務者が単独で申請することができる(不登64条2項)。この場合、債務者は当該抵当証券を提供することを要しない(不登令別表24参照)。【平17-20-オ】
問題5 乙区1番で、平成18年6月1日付けの金銭消費貸借契約に基づく債権を被担保債権とする抵当権の設定の登記がされ、乙区1番付記1号で、平成18年7月1日付けの金銭消費貸借契約に基づく債権を被担保債権とする転抵当権の登記がされている場合に、当該転抵当権の被担保債権の成立の日を平成18年5月1日とする更正の登記を申請することができる。○か×か?

正しい。抵当権の被担保債権の成立日より前に成立した債権を担保するために、当該抵当権に転抵当権を設定することは差し支えない。したがって、転抵当権の被担保債権の発生日を抵当権の被担保債権の発生日より前とする旨の当該転抵当権の更生の登記を申請することができる。なお、抵当権設定の日より前に当該抵当権に転抵当権を設定することはできないので、そのような転抵当権の設定日の更正登記は申請することができないと解すべきである。【平18-12-5】
問題6 AからBに対する売買を登記原因とする所有権の移転の登記がされた後、登記名義人をB及びC、各持分を2分の1とする所有権の更正の登記を申請した場合において、当該所有権の更正の登記が完了したときは、登記識別情報は、Cには通知されるが、Bには通知されない。○か×か?

正しい。登記識別情報は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該申請人に対して通知される(不登21条本文)。本肢のように、B単有名義の所有権を、B及びCの共有名義に更正する場合、新たに登記名義人となるCにのみ登記識別情報が通知される。【平22-13-イ改】
問題7 Aが死亡し、Aを所有権の登記名義人とする不動産について、Aの法定相続人である二人の子C及びDを登記名義人とする相続を登記原因とする所有権の移転の登記がAの債権者であるBの代位によりされた後、Cが相続放棄をしている事実が判明した場合において、DがDを所有権の登記名義人とする所有権の更正の登記を申請するときは、Bの承諾を証するBが作成した情報又はBに対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。○か×か?

正しい。債権者代位によって共有名義の相続登記がされた後、当該登記を単有名義とする更正登記を申請する場合、代位債権者は登記上の利害関係を有する第三者に該当する(昭39.4.14-1498号)。したがって、代位債権者の承諾を証する情報又は代位債権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。【平22-13-エ改】
問題8 所有権の名義人をAからA及びBに更正する登記がなされている場合において、所有権の名義人をBに更正する登記を申請することができる。○か×か?

誤り。数度の更正の登記については、各更正の登記の前後における登記の同一性のほか、数度の更正の登記の前後における登記の同一性も要求される。本肢のように、AからAB、ABからBへの更正は、実質的には登記名義人をAからBへ更正することになり、同一性があるとはいえないので、登記を申請することはできない(昭53.3.15-1524号参照)。【平24-18-イ】
問題9 信託を原因として委託者から受託者名義に所有権の移転の登記が経由されている不動産について、錯誤を原因として「信託」を「売買」と、「受託者」を「所有者」とする更正の登記を申請することができる。○か×か?

誤り。信託を原因として委託者から受託者名義に所有権移転登記が経由されている土地につき、錯誤を原因として「信託」を「売買」と、「受託者」を「所有者」とする更正登記をすることはできない(登研483号)。信託と売買とは、物権変動の性質を全く異にするものであるため、登記の前後に同一性を認めることができないからである。【平24-18-ウ】
問題10 Aが所有権の登記名義人である甲土地について、Bを地上権者、地代を1平方メートル1年1万円とする地上権の設定の登記がされた後、錯誤を登記原因として、地代を1平方メートル1年1万5,000円とする地上権の更正の登記を申請するときは、Aを登記権利者、Bを登記義務者としなければならない。○か×か?

正しい。本肢の地上権の更正の登記は、地上権設定者(所有権登記名義人)にとって有利な更正登記である。したがって、本肢の地上権の更正の登記は、Aを登記権利者、Bを登記義務者として申請することになる。【平27-16-ウ】
問題11 甲土地について、乙区1番でAを、乙区2番でBを、乙区3番でCをそれぞれ抵当権者とする抵当権の設定の登記がされ、乙区4番において、Bの抵当権を第1順位、Cの抵当権を第2順位、Aの抵当権を第3順位とする順位の変更の登記がされている場合において、当該順位の変更の登記に錯誤があるときは、錯誤を登記原因として、当該順位の変更の登記を更正する登記の申請をすることができる。○か×か?

正しい。抵当権の順位変更登記がなされたが、変更後の順位が誤って登記された場合には、順位変更登記の更正登記を申請することができる。【平27-16-エ】
問題12 乙区2番で抹消された乙区1番の根抵当権の設定の登記の回復を申請する場合において、当該登記の抹消がされた後に乙区3番で地上権の設定の登記がされているときは、抹消回復の登記の申請の添付情報として、当該地上権の登記名義人の承諾を証する情報を提供しなければならない。○か×か?

正しい。抹消された登記の回復は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる(不登72条)。本肢の地上権者は、1番根抵当権の登記の抹消回復がされると不利益を受ける(競売されると権利が消滅する)ため、登記上の利害関係人に該当する。したがって、本肢の場合、地上権者の承諾を証する情報を提供しなければならない(不登令別表27添ロ)。【平25-20-ウ】