問題1 審査請求をすることができる者は、登記官の処分につき登記上直接利害の関係を有する者に限られるので、申請人は、登記の申請を受理した登記官の処分を争うことができず、抵当権設定者は、抵当権移転の登記をした登記官の処分を争うことができない。○か×か?

正しい。まず、登記の申請を受理した処分については、申請人は何ら不利益を受ける者ではないので、これを不当であるとして審査請求をすることはできない。次に、抵当権移転登記について抵当権設定者は、これによって直接不利益を受ける者ではないので、審査請求をすることはできない(大決大4.10.20)。以上から、前段、後段ともに正しい記述である。【平16-12-イ改】
問題2 登記官の処分を不当として審査請求をした者が死亡した場合には、その相続人は、審査請求人の地位を承継し、相続人が二人以上あるときは、その一人に対する通知その他の行為は、全員に対してされたものとみなされる。○か×か?

正しい。審査請求人が死亡したときは、その相続人がその地位を承継し(行服審15条1項)、地位を承継した相続人が2人以上あるときは、その1人に対する通知その他の行為は、全員に対してされたものとみなされる(行服審15条5項)。【平16-12-ウ改】
問題3 登記官の処分を不当として審査請求を行う者は、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長に対し、登記官を経由して審査請求しなければならない。○か×か?

正しい。登記官の処分を不当とする者は、行政上の救済措置として、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることにより、その是正を求めることができる(不登156条1項)。この場合、審査請求は、登記官を経由してしなければならないとされる(不登156条2項)。これは、登記官に再度の考案の機会を与えることなどを目的とする(不登157条参照)。【平20-22-ア】
問題4 審査請求は、登記官の処分の是正が法律上可能であり、かつ、その利益がある限り、いつでもすることができる。○か×か?

正しい。不動産登記法の規定に基づく登記官の処分は、公権力の行使に当たる処分であるから、これに対する審査請求には行政不服審査法の規定が適用される。しかし、登記に関する処分であることの特殊性から、同法の規定のうち、審査請求期間の制限に関する規定が排除されている(不登158条、行政不服審査法18条)。【平20-22-エ】
問題5 権利に関する登記が申請の権限を有しない者の申請によりされたものであることを理由として審査請求をすることはできない。○か×か?

正しい。登記がなされた場合の審査請求は、実行された登記を登記手続で是正することができる場合に限られるため、登記官が職権で当該登記を抹消できる場合、すなわち不動産登記法25条1号から3号、13号に該当する場合に限られる(最判昭38.2.19)。本肢の場合は、それらに該当しないので、審査請求の方法で異議申立てをすることはできない。【平24-26-ウ】
問題6 処分をした登記官を監督する法務局又は地方法務局の長は、当該処分に対する審査請求を理由があると認めるときは、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか登記上の利害関係人に通知しなければならない。○か×か?

正しい。処分をした登記官を監督する法務局又は地方法務局の長は、当該処分に対する審査請求を理由があると認めるときは、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか登記上の利害関係人に通知しなければならない(不登157条3項)。【平24-26-エ】