問題1 相続を原因とする所有権移転登記が代位者によってされたが、その登記の抹消を申請する場合、申請情報と併せて代位者が承諾したことを証する情報を提供しなければならない。○か×か?

正しい。登記の抹消を申請するに際して、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾を要する(不登68条)。そして、抹消する登記が代位(不登59条7号)によってされているときは、代位者は登記上の利害関係人となり(昭39.4.14-1498号)、登記の申請情報と併せてその者が承諾したことを証する情報又はその者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない(不登令別表26添ト)。【平15-20-ア改】
問題2 相続を原因とする所有権移転登記が代位によってされたが、その登記名義人である者が所有権移転登記がされる前に相続放棄をしていた場合、所有権移転登記の抹消を、錯誤を原因としてするときは、第2順位の相続人が複数いてもその一人から申請することができる。○か×か?

正しい。本件登記はAの相続人であるD及びEが申請するが、本件の登記の申請は保存行為に該当するので(最判昭31.5.10参照)、D又はEの1人からでも申請することができる(民252条5項)。【平15-20-オ改】
問題3 所有権の登記を抹消する場合において、当該所有権に対してされた差押えの登記があるときは、当該差押登記の名義人は、その承諾を要する利害関係人である。○か×か?

正しい。所有権の登記を抹消する場合において、当該所有権に対してされた差押えの登記があるときは、その申立人は、登記上の利害関係人である。当該所有権の登記が抹消されることによって、当該差押えの登記も職権で抹消されるからである(不登規152条2項)。【平18-15-イ】
問題4 先順位抵当権から後順位抵当権に対して順位譲渡の登記がされている場合において、先順位抵当権の登記の抹消を申請するときは、後順位抵当権の登記名義人は、その承諾を要する利害関係人である。○か×か?

正しい。順位譲渡がされている場合に、順位譲渡をした先順位抵当権の登記が抹消されると、登記上、順位譲渡を受けた後順位抵当権は当該順位譲渡による利益を失うことになる。したがって、先順位抵当権の登記を抹消する場合、順位譲渡を受けた後順位抵当権者は、その承諾を要する利害関係人である(昭37.8.1-2206号)。【平18-15-エ】
問題5 AからBへの売買を登記原因とする所有権の移転の登記がされた後にAが死亡した場合において、Aの相続人とBとの間でその売買契約を解除する旨の合意をしたときは、Aの相続人とBは、合意解除を登記原因として、当該所有権の移転の登記の抹消を申請することができる。○か×か?

正しい。相続人は、被相続人の有する一切の権利義務を承継するが(民896条本文)、これには被相続人が生前締結した売買契約における売主としての地位も含まれる。したがって、Aの相続人は、売主である被相続人が締結した売買契約を合意解除することは可能であり、合意解除を原因として所有権移転登記の抹消を申請することができる(昭30.8.10-1705号)。【平26-18-エ改】
問題6 AからBへの譲渡担保を登記原因とする所有権の移転の登記がされている場合において、AとBとの間でその譲渡担保契約が解除されたときは、AとBは、譲渡担保契約の解除を登記原因として、当該所有権の移転の登記の抹消を申請することができる。○か×か?

正しい。譲渡担保を登記原因とする所有権移転の登記の後、譲渡担保契約を解除して登記名義を旧に復するには、所有権移転の登記によることのほか、解除による遡及効を根拠として、所有権移転登記を抹消することもできる(登研342号)。【平26-18-オ改】