問題1 債務者の意思のみにより停止条件が成就するような法律行為は、無効である。○か×か?

正しい。条件の成就が債務者の意思だけにかかる、いわゆる純粋随意条件が付された法律行為は、それが「停止条件」の場合に無効とされる(民134条)。停止条件の成就が債務者の意思のみにかかっている場合には、当事者が法的拘束力の発生を意図していないと認められるからである。【平17-6-ウ】
問題2 社会通念上、実現が不可能な停止条件を付した法律行為は、無効である。○か×か?

正しい。社会通念上、実現が不可能な「停止条件」を付した法律行為は、効力が発生することはあり得ないので、無効とされる(民133条1項)。また、実現が不可能な「解除条件」を付した法律行為は、その効力が消滅することはあり得ず、条件が付されてないものと同じであるから、無条件とされている(民133条2項)【平17-6-エ】
問題3 条件の成就によって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させた場合、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。○か×か?

正しい。条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる(民130条2項、最判平6.5.31)。【平21-4-ウ改】
問題4 債務者と債権者の双方が期限の利益を享受している場合、債務者は、債権者の喪失する利益をてん補すれば、期限の利益を放棄することができる。例えば、銀行は、定期預金の預金者に対して、その返還時期までの間の約定利息を支払えば、期限の利益を放棄することができる。○か×か?

正しい。定期預金の返還時期が当事者双方の利益のために定められた場合であっても、債務者である銀行は、その返還時期までの利息を支払うなど、預金者が返還時期の未到来によって受くべき利益の損失をてん補すれば、その返還時期について自己が有する期限の利益を一方的に放棄することができる(大判昭9.9.15)。したがって、債務者である銀行は定期預金債権を持つ預金者(債権者)に対し、その返還時期までの間の約定利息を支払えば、期限の利益を放棄することができる。【平21-4-エ改】
問題5 Xは、Aに対する貸金債権を有していたところ、その弁済をAが結婚するまで猶予するため、Aとの間で、その弁済期をAが結婚する時と定めた。その後、Aは、結婚しないまま、死亡した。この場合、Xは、Aの唯一の相続人であるYに対し、当該貸金債権の弁済を請求することができる。○か×か?

正しい。XA間の弁済期をAが結婚する時と定めた金銭消費貸借契約は、不確定期限と解されている(大判大4.2.19)。この不確定期限の場合、結婚した時若しくは結婚しないことが確定した時に期限が到来したものとなる。したがって、本肢においてAが結婚しないまま死亡した以上、結婚しないことが確定したため、Xは、Aの唯一の相続人に対して当該貸金債権の弁済を請求することができる。【平24-5-ア】
問題6 Yは、Xとの間で、Xが半年後に実施される資格試験に合格したら、Y所有の甲時計をXに贈与する旨を約した。その後、Yは、故意に甲時計を壊した。この場合、Xは、当該資格試験に合格した後、Yに対し、不法行為に基づく甲時計の価額相当分の損害賠償を請求することができる。○か×か?

正しい。条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない(民128条)。当該停止条件付き贈与契約につき、Yが故意に甲時計を壊したことによってXの権利を侵害している以上、条件付権利の侵害として損害賠償責任を負う(民709条)。【平24-5-オ】