問題1 取消しが可能な法律行為は、取り消されない限り一応有効とされるから、取り消されるまでは不当利得返還請求権は発生しない。○か×か?

正しい。「取消し」が可能な法律行為は、いったんは有効に成立しているものの、取消権者が取消権を行使することによって、遡って無効なものとみなされる(民121条)。よって、取り消されるまでは、取り消し得べき法律行為に基づいた給付は有効であるから、不当利得は存在せず、不当利得返還請求権は発生しない。【平16-6-ア改】
問題2 無効である法律行為を追認した場合には、新たな行為をしたものとみなされ、初めから有効であったとされることはないのが原則だが、無権代理行為を追認したときは、初めから有効であったものとみなされる。○か×か?

正しい。「無効」である法律行為を追認しても有効であったとはされない(民119条本文)が、当事者が「無効」であると知って追認した場合、新たな行為をしたものとみなされる(民119条ただし書)。また、無権代理行為を追認したときは、原則として契約の時から有効であったものとみなされる(民116条本文)。【平16-6-エ改】
問題3 主たる債務者が行為能力の制限によってその債務を生じさせた行為を取り消すことができる場合であっても、当該債務の保証人が当該行為を取り消すことはできない。○か×か?

正しい。行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意することができる者に限り取り消すことができるが、保証人は含まれていないため(民120条1項)、主たる債務者が行為能力の制限によってその債務を生じさせた行為を取り消すことができる場合であっても、保証人が当該行為を取り消すことはできない(民120条1項、大判昭20.5.11)。なお、主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる(民457条3項)。【平25-5-ウ】
問題4 制限行為能力者が行為能力の制限によって取り消すことができる行為によって生じた債務を行為能力者となった後に承認した場合であっても、当該行為が取り消すことができるものであることを当該制限行為能力者が知らないときは、当該行為を追認したものとはならない。○か×か?

正しい。取り消すことができる行為の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない(民124条1項)。【平25-5-エ】