司法書士試験<過去問題肢別チェック ■不動産登記法「判決等による登記」>

問題1 A社所有の不動産を買い受けたBは、A社に対して売買を原因とする所有権移転登記手続を命ずる確定判決を得た。その後、A社は、C社に吸収合併された。この場合、Bは、C社に対する承継執行文の付与を受け、A社からの所有権移転登記を申請することができる。○か×か?

正しい。Bが、A社に対する所有権移転登記を命ずる確定判決を得た後、A社がC社に吸収合併された場合、C社は民事執行法23条1項3号の承継人である。したがって、BはC社に対する承継執行文の付与を受けて、登記の申請をすることができる。【平15-13-5】

問題2 判決による登記における「判決」が確定したときは、その確定の時に登記申請の意思表示をしたものとみなされるので、執行文の付与は不要である。ただし、例えば、その意思表示が反対給付との引換えに係る場合には、判決に執行文を付与してもらう必要があり、このような場合は、執行文が付与された時をもって登記申請の意思表示をしたものとみなされることになる。○か×か?

正しい。民事執行法174条1項本文は、判決が確定した時に意思表示が擬制されるとしており、同項ただし書は、意思表示が、①債務者の証明すべき事実の到来にかかるとき、②反対給付との引換えにかかるとき、③債務の履行その他の債務者の証明すべき事実がないことにかかるとき、には執行文が付与された時に意思表示が擬制されるとしている。本肢は上記②に該当するので、執行文の付与を要する。【平18-21-ウ】

問題3 Aを所有権の登記名義人とする不動産について、AからBへの所有権の移転の登記手続を命ずる判決が確定したが、その訴訟の口頭弁論終結後にAが死亡し、相続を原因とするAからXへの所有権の移転の登記がされている場合には、Bは、Xに対する承継執行文の付与を受けて判決によるXからBへの所有権の移転の登記を申請することができる。○か×か?

正しい。不動産の売買契約締結後に売主が死亡し、売主からその相続人に所有権移転の登記がされている場合には、本来は当該所有権移転の登記を抹消し、売主から買主への所有権移転登記を申請するべきであるが、先例(昭37.3.8-638号)は、当該抹消登記をすることなく、相続人から買主への所有権移転登記を認めている。したがって、売主に対する所有権移転登記手続を命ずる確定判決を得た買主は、当該判決に係る口頭弁論終結後に死亡した売主の相続人に対する承継執行文の付与を受けたときは、当該相続人とする相続による所有権移転登記がされている場合でも、直接当該相続人名義から自己名義とする所有権移転登記を申請することができる(民訴115条1項3号)。【平19-15-ア】

問題4 Aを所有権の登記名義人とする不動産について、AからBへの所有権の移転の登記手続を命ずる判決が確定したが、その訴訟の口頭弁論終結後にBが死亡し、YがBを相続した場合には、Yは、申請情報と併せて申請人が相続人であることを証する情報を提供して判決によるAからBへの所有権の移転の登記を申請することができる。○か×か?

正しい。不動産の買主の相続人は、相続があったことを証する情報を提供して、買主名義への所有権移転登記を申請することができる(不登62条、不登令7条1項5号イ)。買主が売主に対する所有権移転登記手続を命ずる確定判決を得ていたときは、買主の相続人は不動産登記法63条1項によって単独で申請でき、この場合承継執行文の付与は要しない。【平19-15-イ】

問題5 A名義の不動産について、Bへの所有権の移転の登記手続をAに対して命じる確定判決をBが得た後、Bへの所有権の移転の登記がされる前にBがCに当該不動産を贈与した場合には、Cは、当該判決について承継執行文の付与を受け、直接AからCへの当該不動産の所有権の移転の登記を申請することができる。○か×か?

誤り。A名義の不動産について、Bへの所有権移転の登記手続をAに対して命じる確定判決をBが得た後、Bへの所有権移転の登記がされる前にBがCに当該不動産を譲渡した場合、Cは、当該判決について承継執行文の付与を受けて、直接AからCへの所有権の移転の登記を申請することはできない(昭44.5.1-895号)。この場合、Cは、Bに代位してAからBへの所有権移転の登記を申請し、BからCへの所有権移転の登記を申請することができるからである。【平22-24-ア】

問題6 根抵当権の担保すべき元本が確定したが、根抵当権設定者Bが確定の登記の申請に協力しない場合において、根抵当権者Aが当該根抵当権が確定していることを確認する確定判決を得たときは、Aは、単独でその登記の申請をすることができる。○か×か?

誤り。不動産登記法63条1項にいう判決とは、登記手続をすべきことを命じた給付判決であることを要し、確認判決はこれに該当しない。したがって、根抵当権者であるAは、当該判決に基づいて、単独で根抵当権の元本の確定の登記を申請することはできない(昭54.11.8-5731号)。【平22-24-エ】

問題7 AからBへの売買を原因とする所有権の移転の登記がされた後、Aが死亡した場合において、当該売買が無効であることが判明したときは、Aの共同相続人の一人であるCは、単独で、Bに対する所有権の移転の登記の抹消の登記手続を命ずる確定判決を得て、当該所有権の移転の登記の抹消を申請することができる。○か×か?

正しい。本肢の場合、保存行為(民252条5項)として、Aの共同相続人の1人であるCは、確定判決を得ることにより、単独で、Bへの売買を原因とする所有権移転登記を抹消することができる。【平25-18-イ改】

問題8 A所有の不動産について、反対給付との引換えにAからBへの所有権の移転の登記手続をすることを内容とする和解調書に基づき、Bが単独で当該所有権の移転の登記を申請する場合には、当該和解調書に執行文の付与を受けなければならない。○か×か?

正しい。登記手続を命ずるような、意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決が確定したときは、債務者はその確定の時に意思表示をしたものとみなす(民執174条1項本文)のが原則であるが、債務者の意思表示が反対給付との引換えにかかるときは、執行文が付与された時に債務者が意思表示をしたものとみなされる(民執174条1項ただし書)。したがって、本肢のBが単独で所有権の移転の登記を申請する場合には、和解調書に執行文の付与を受けなければならない。【平25-18-エ改】

問題9 Aは、Bが所有権の登記名義人である甲土地の一部を買い受けた場合において、甲土地の当該一部につきBに対してAへの所有権の移転の登記手続を命ずる判決が確定したときは、Bに代位して甲土地の分筆の登記を申請し、その後、当該判決に基づき単独で甲土地の当該一部についての所有権の移転の登記を申請することができる。○か×か?

正しい。AがBから一筆の土地の一部を買い受けたが、Bが分筆登記手続及び所有権移転登記手続に協力しない場合、Aは、Bを被告として所有権移転登記手続を請求すれば足り、所有権移転登記を命ずる判決が確定すれば、その判決により認められた登記請求権を保全するために代位により分筆の登記を申請した上、分筆後の土地について、単独でBからAへの所有権移転の登記を申請することができる。【平26-16-イ】

問題10 A及びBは、Aに対してBへの所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決を登記原因証明情報として提供し、共同して、当該所有権の移転の登記を申請することができる。○か×か?

正しい。登記手続を命ずる判決正本を登記原因証明情報として、登記権利者及び登記義務者の双方から申請があった場合、当該申請は受理して差し支えない(登研142号)。判決による登記であっても、必ず単独申請でなければならないという制約はない。【平26-16-エ】

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