実務で活躍している司法書士に、「司法書士の魅力」について迫ってみました!
宮内豊文司法書士事務所
司法書士 登山 祐樹 さん
司法書士を目指したきっかけと、クレアールを選んだ理由
——それでは、実務家インタビューを始めたいと思います。本日はよろしくお願いいたします。まず、司法書士を目指したきっかけからお聞かせいただけますか。
登山 司法書士という資格を知ったのは、知り合いに勧められたのがきっかけです。その後司法書士に興味を持ち、書籍を利用してどんどん調べていくと、「街の法律家」というニュアンスが心に残って、庶民の味方というか、誰でも気軽に相談に行けるという、そんな形にあこがれていき、「この資格は目指す価値もやりがいもあるだろうな」と思って勉強を始めることを決意しました。
——お勧めいただいた方は、司法書士の方だったのですか。
登山 いえ、違います。ただ、勧めていただいた方の知り合いに司法書士がいて、結構儲かっているということから最初は勧めていただいたみたいですけれども・・・。ただ、それも大事なことですが、そのときはむしろ、仕事の内容そのものに関心を持つようになりました。
——勉強を始めるときには、いくつかある司法書士試験の受験予備校を色々比較したと思いますが、クレアールを選んだ理由をお聞かせいただけますか。
登山 大手と言われている予備校もありましたが、現実問題としてあまりお金はかけられないですし、また時間もかけたくないということがあったものですから、この条件で考え、今の自分に合うのはどのような予備校か考えたところ、それがクレアールの「非常識合格法」という学習方法でした。
——クレアールが掲げている、試験に必要な部分を徹底して学習するという「非常識合格法」が受講のポイントだったいう事ですね。ありがとうございます。
もう少しだけ、司法書士を目指した際のお気持ちを聞いてみたいのですが、さきほど登山さんより「司法書士は街の法律家」といったお話がありましたけれども、登山さんは、司法書士になって、地元で地域貢献をしたい、あるいは地元で働きたいというようなことをお考えになっていたのですか。
登山 特に地元にこだわっていたわけではありませんが、まだ実家が地元にあるという理由で、まずは地元で働きたいとは考えています。
司法書士資格取得のメリット
——次に、司法書士資格を取得されたメリットなども、お聞かせいただけますでしょうか。
登山 メリットはものすごくたくさんあると思います。とにかく、司法書士は色々な事に関わることができ、実際に行動できるということです。これはある意味、司法書士という肩書があるからこそですけれども、肩書がなかったらやっぱり違うでしょうね。司法書士になって感じたメリットは、依頼者のためにこんなに動きやすく、そして自由に行動できるという点だと思います。
——サラリーマンにはない魅力みたいなものを、普段から感じているということですね。
登山 そうですね。まずは司法書士という自覚を持って、自分で考えて自分で動かなければいけないと思います。私は現在、勤務司法書士という雇用形態です。所長がいますので、所長から言われた仕事をすることはもちろん大事です。しかし、それと同時に、自分が「これは」と思ったことはある程度自由にやれますので、そこが魅力です。
——いわゆる士(サムライ)業務の魅力という感じですか。
登山 そういうことです。
司法書士の仕事とやりがい
——今度は、登山さんのお仕事内容について伺います。司法書士という仕事は従来、登記関係業務(不動産登記、商業登記)が中心になっていたと思います。しかし、平成14年より認定を受けた司法書士は、簡易裁判所において訴訟代理権が付与され、簡裁訴訟代理等能力認定考査試験合格後は簡裁に法定代理人として立てるようになりました。また、近年は登記中心の業務から、債務整理もしくは成年後見など職域がすごく広がってきていると思うのですが、登山さん自身は現在、どのようなお仕事を中心に取り扱っていらっしゃいますか。
登山 現在は、8割位が債務整理となっています。債務整理のお仕事は色々なところに派生していきますね。債務整理をやると必ず他の一般民事事件が絡んできます。例えば、「騙されてしまった」、それに対してどう対処するのか、またお金を借りる際には不動産が動いたりするケースもありますので、その担保を取るということもありますし、そうすると登記設定が必要となります。このように、現在は債務整理中心で、そこから派生する色々な仕事を行っています。
——今、債務整理を中心に色々な仕事に発展していくというお話を伺いましたけれども、実際この様な場面で困っている人を助けて、とても感謝された、あるいはやりがいを感じたというようなことが具体的にあったら、差し支えない範囲で教えていただけますか。
登山 債務整理は誤解されがちで怖いのですが、毎月毎月の支払に追われていて大変だと言っていた人が、逆に過払い金として返ってきた、それはすごく喜ばれますが、誤解されやすい言葉なんです。ただ、その場合は、はっきりしています。本当に喜ばれますし、喜ばれるとやっぱりうれしいです。ただそれは、法律の仕組みをよく理解しないと、微妙なんですよね。「借りるほうが悪いんだ」というような意見だって当然あるわけですから、そこは難しく思っています。ただ本当に困ってどうにもならない人が相談に来られるときというのは、見た感じでわかります。すごく目がフラフラしていて、せっぱ詰まって相談に来た状態の人に、「大丈夫ですよ。安心してくださいね」といろいろと説明していくと、だんだんと安心され、不安もなくなって、落ち着きを取り戻していきます。やっぱり、接しているとわかるんですよ。そのときが一番うれしいですね。
このように、常に依頼者の立場になって接していきます。少し落ち着いてくると、その後は1カ月に1回ぐらいは依頼者の方とお会いして「最近どうですか」と声をかけたりしていきます。その際に依頼者の方が「すごく落ち着いてきました」と、事務所に来たときとは違い、正常な精神状態に戻り、普通に物事を考えられ、落ち着きを取り戻していくのを見ることができると本当にうれしいです。
——まさに、「街の法律家」ですね。法律を知らなかったがために、何かで困っている人の話を聞いて、人生を立て直す力になるところは、私も日頃司法書士の先生方と接しているとよく話を聞きますし、登山さんのお話を聞いても、改めて司法書士のお仕事は本当に大事な役割を担っていることがよくわかりました。司法書士の場合、身近な相談に乗ってあげることができる「良い仕事だな」と思いますので、ぜひ引き続き頑張っていただきたいと思います。
ちなみに報酬などはどうなっているのでしょうか。このあたりの魅力もありますか(笑)。
登山 報酬でいうと、独立開業しているいわゆる自分でのれんを出している方と、私のような勤務司法書士とは違うと思います。のれんを出している人ほど報酬というところにはまだ魅力を感じてはいないです。ただ、将来どういった形になるかはわかりませんけれども、今はとにかく、いろいろな経験を積ませてもらえることに感謝しています。また、勉強したことを実務に活かせるというように、とにかく現場で勉強するのが大切だと思いますし、一番の魅力に感じています。
今後の展望、将来のビジョン
——今は、勉強して実務経験を積んでいるというお話ですが、司法書士の場合、近年は試験に受かって実務経験を積んだら、独立開業する方もいらっしゃれば、仲間と事務所を法人化したり合同事務所を運営する、あるいは企業法務に進まれる方とか、非常に司法書士試験合格後の選択肢が広くなっていると思います。登山さんご自身の今後の展望や、将来のビジョンをお聞かせいただけますか。
登山 実は、それをこの1年でよく考えようと思っています。もともとは事務所にいるのは2年と言っていたのですけれども(笑)、もう1年延ばすということを所長に相談して…。本当にこの1年でどうするのかをよく考えたいと思っています。仮に開業するとしても、一部の地域には司法書士が集中していますので、そうすると集中している地域で開業しても奪い合いということになってしまいますし、私自身奪い合いというのは望んではいません。しかし実際に正直なところ、奪い合いというのはどこの地域でもあると思いますし、逆に司法書士の仕事が、どの地域でも活躍できることを思えば、どこかに飛び出してみるのもいいかなと考えてみたり…。本当にこの1年、いろいろな勉強をさせてもらいつつ、よく考えたいと思っています。
これから受験される方へ
——登山さんはまだお若いですから、もう1年実務経験を積んで、その経験を活かして開業ということになりますと、楽しみですね。せっかく難しい試験に合格して、色々な経験を積んでいらっしゃるのですから、それをフルに世の中のためにもご自身のためにも活かしていってほしいと思います。
最後に、これから司法書士を目指そうとする方、もしくは司法書士を目指して勉強をしている受験生の方へ、実際に司法書士として活躍なさっていらっしゃる登山さんからメッセージをお願いします。
登山 「司法書士」=「人」が全国的に足りていないと思います。「じゃあ、どんな人が足りていないの?」と聞かれたら、やはり前向きに動ける人でしょうね。要は、勉強ができる、できないじゃなくて「司法書士になったら何かやってやろう」という気持ちを持っている人や「何か自分にできることはないかな」と思っている人が求められていると思います。人に言われたことを「ただやるだけ」というタイプではなく、やりたいことはまだ決まっていなくても、「自分で積極的に何かをやっていきたい」という方であれば、世の中から司法書士として望まれていますし、合格後も十分に活躍できると実感しています。
そうなるとやはり、受験勉強に時間をかけてしまうのはもったいないということです。司法書士という資格は、いろいろなことができる資格です。「これはできるのかな」と思った場合でも、動き出して見ると意外にできるものですから、積極的に何かをやっていきたいという人は、早く資格を取ってどんどんいろいろなことに挑戦していくことがいいと思います。そのためには、とにかく「資格取得の勉強に時間をかけるのはもったいないですよ」ということを伝えたいですね。
——資格試験はあくまでも早く合格して、実務の世界でたくさん経験を積んでいくのが良いということは、まさに「非常識合格法」の考え方そのものですね。司法書士試験は、毎年2.8%前後の合格率になっていますので、本当に難関と言われる資格の一つです。試験に合格するためには、まずは短期合格を実現するための勉強に集中すること、試験に出るところを徹底して学習することが本当に必要です。その難関である司法書士試験を突破して、今こうやって司法書士として働くことができて、良かったなと感じていらっしゃいますか。
登山 はい、思います。
——本日は本当にお忙しいところ、お昼休みに押しかけまして、ありがとうございました。今は、日々実務経験を積まれている段階ですけれども、この1年でいろいろお考えになって、ぜひすばらしい未来を自分で切り開いていただきたいと思います。
登山 遠いところを来ていただき、ありがとうございました。