司法書士は「企業法務」になれる?業務範囲と転職するメリットデメリットについて

企業活動における法律全般の諸問題を処理するのが「企業法務」と呼ばれる部門です。企業法務に就職するにはどんな資格が必要で、司法書士の資格は役に立つのでしょうか。企業法務に関する情報をまとめてご紹介します。

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企業法務とは

企業法務とは、文字通り企業における法務部(総務部等)を指します。例えば法律問題全般に対する対応や、契約書の作成や締結、または最近特に注目されているのが個人情報の保護に関するあらゆる規制の確立などが主な業務にあたります。企業法務は企業活動において起こりうる様々なトラブルにその都度対応、またはトラブルを未然に防ぐ為の準備や規制を設けるなどの業務にあたります。これまでは部署の代表者が法律に関する勉強をし、これらの問題に対応していたり、または外部へ協力を要請し処理にあたっていたりという企業が多かったようですが、近年では、法務部を法人自体が設置、または専門職を雇い入れるといった企業も徐々に増え始めてきました。

企業法務に必要な資格とは

企業法務では法律に関するあらゆるトラブルを想定して対処していかなければなりません。契約法務や組織法務、コンプライアンス法務など、多角的な視点で法律の知識を有している人材であるかどうかが問われます。そんな中でも、特に企業にとって多くの利益をもたらすと考えられる資格は、司法書士資格や行政書士資格、またビジネス実務法務検定、ビジネスコンプライアンス検定、社労士などの資格でしょうか。ビジネス実務法務検定とは、実務レベルでの法律知識を有することを目的とした資格です。雇用契約書の策定や契約書の締結など、ビジネスにおいて必要な法律知識を網羅できるのがこの資格です。ビジネスコンプライアンス検定とは、健全な企業活動を推進する為に必要なコンプライアンス知識を得て、あらゆるビジネスシーンに対応できる能力を認定する為の試験です。ビジネスに関する法律といえども、様々な資格が存在します。

企業法務における司法書士の業務範囲は?

司法書士は、簡易裁判所能力認定考査を合格している認定司法書士であれば、簡易裁判所において訴額140万円以下の訴訟を扱うことができます。企業が外部とのトラブルを起こしてしまった際には、法務部を通すか、または顧問弁護士等に依頼し対処法務を行うのが常ですが、司法書士資格を有し、企業の中で資格を活かして業務に当たっている場合は、先述したように訴額140万円以下の訴訟であればこれを処理することも可能です。また、契約書などで生じるトラブルを未然に防ぐ為の予防法務も司法書士が担える業務です。コンプライアンスの遵守は企業にとっても大きな課題。

法務部では契約に関して法律的に問題が無いかを見極める、または相談を受ける業務が必須で備わっており、これらは予防法務(企業がコンプライアンス問題に抵触しないよう長期的な観測で予防、対処する業務)を守る上でも特に重要な業務と言えます。司法書士であれば、法律相談や予防法務も行えるので、長期的なスタンスで企業のトラブルを未然に防ぐことも可能でしょう。

司法書士の資格を有していると、法務部ではとても大きな戦力になることが分かるかと思います。

司法書士が企業法務へ転職するメリット

近年は司法書士資格を有している人が企業法務へと転職するケースも珍しくはありません。一方で多くの企業では弁護士を雇用するケースも多く、たとえ司法書士資格を有していたとしても、一概に企業へ転職するという場合には、弁護士資格を取得した方と一緒に採用試験に臨むケースも多いのも現状のようです。一方で、これまで大企業だけに設置されていることの多い法務部でしたが、コンプライアンス遵守が高まりつつある昨今の時流を受け、中小企業であっても法務部の設置が浸透し始めてきています。登記のスペシャリスト、140万円以下の簡易裁判の訴訟を取り扱える司法書士は、中小企業にとっては、すぐに頼りになる身近な法律の専門家。このように、中小企業の法務部等専門部署設置の流れを受け、今後企業が司法書士有資格者を雇用することは珍しくはなくなると思われます。現在、司法書士は業務の転換期を迎えています。定石であった「事務所に所属する」または「事務所を開設する」という働き方以外に、あらゆる業務形態を模索していかなければならない時期にあるかと思われるので、企業への参入に関しても、増加していく可能性も否定できません。

司法書士が企業法務へ転職するデメリットとは

反対に企業法務へ転職するデメリットとはどういった点にあるのでしょうか。1つは不動産登記案件数が減少傾向にあるということ。人口減少などの理由を加味して長期的に観測すると、今後は減少傾向に向かうと言わざるを得ません。更にリーマンショック以降、不動産関連事案は減少しています。登記のスペシャリストともいえる司法書士にとっては見過ごせない状況ではあります。しかし、商業登記も含めた総合的な知識を求められていますので、「○○のスペシャリスト」という肩書は持てないという点はデメリットと言えるでしょう。

一方で司法制度改革によって弁護士の数が増加したことで、企業法務における弁護士資格を有している方も多く、ライバルが増えていることも見過ごせません。業務範囲の広さだけに着目をすれば弁護士を安価に採用できるのであれば、企業としてもメリットが大きいと言えます。

まとめ

企業法務は企業にとって身近な法律の相談部門です。企業または従業員がトラブルに巻き込まれないよう、対処法務、戦略法務(企業の意思決定に関する法律業務)、予防法務にあたります。まさに安心して企業活動を行う上ではなくてはならない存在と言えます。司法書士有資格者が、これら企業法務へと転職するケースも珍しくありませんが、一方で採用されない可能性も多々あります。司法書士で企業法務への転職を考えている人は、自分を採用すればどのようなメリットが企業に与えられるのかをしっかり伝えられる能力が試されます。諦めずに道を切り開けば、チャンスは大いにあるのではないでしょうか。

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